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【とある公爵の日記より抜粋】
光りへと導かれし者よの際のハロルド視点 短し
あの踊り後、私は年甲斐もなく体を酷使した。
恐らく、筋肉が悲鳴を上げているとはあの時の現象がそうであろう。
そんな状況の記憶は、若き頃の剣術訓練を初めて我武者羅に剣を振っていた頃以来だろう。
腕がパンッパンッ、足がガクガクである。
この時ほど、自分がおじさんであるのを痛感し、焦ったことはない。
汗も尋常じゃなく出てしまっていることに、かなり泣きそうである。
あの現場で自分がオリヴィアを抱きかかえられる人物であったならばと苦しい胸の内だ。
そう、ダンスの最後…足を痛めた彼女を軽々と持ち上げる王子の姿に。
彼女の隣の場所に自分は居られないことに悔しさが沸き上がった…悔しい。
あそこに最終的に立てるのは私ではないのだと、思い知らされる。
悔しい…悔しい。
応援したいけれど、婚約者いるからね…