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【とある公爵の日記より】

ハロルド視点


 オリヴィアが漸く目覚めた。


 本当に良かった。

 怪我は重傷では無かったが、目が覚めない事態にかなり動揺した。


 私は片時も離れず、だが周囲に彼女への想いを悟られないようにと尽くし、自身の心を落ち着けるために手に取り開いた本の内容も全く入らない状態であったが、平然としているかのように振舞い続けた。


 彼女が目覚めて、漸くまともな呼吸をする事が出来た。

 心から安心した。

 何度もこのまま目覚めなかったらどうしようと…

 自分の家で彼女を面倒見ようと考えた。


 それも悪くはないが…目覚める方が何万倍も良い事なので、無事で良かった。


 そして彼女は更なる難題にぶち当たっていた。


 ツインレイ、国葬後の儀式に付き添えとの王命だけれど、彼女に踊る役目があるなんて、国代表としての出席とオリヴィアの極秘護衛をしろと命令されて、慌てて国を追い出されたから、彼女にそんな役目があるとは聞いていなかった。


 王自ら護衛を命じる程だ。

 今日のような危険がまたあるかもしれない。

 足を怪我しているならば、やめさせたいのが本音。


 それがこの国での彼女の評判に関わると聞いても、そんなのはいいからと、私はやめさせたかった。

 ついでに婚約も破局してくれたらいいのと、私がウェルト王国で評判を回復し、彼女のことを幸せにすればいいのだと、性格の悪い私は密かに願った。


 だって、あんなにも目の前でイチャつかれたら、内なる心は嫉妬の渦だ。


 婚約破棄、そうしてくれたなら…私が彼女の総てを手に入れたい。


 そう、分かっている。

 自分は結局、彼女を誰にも渡したくないのだ。


 どんなことを言われようと、絶対に傷つけさせないですぐせるように、私がこの手で守りたい。

 なんて、考えが過ってしまった。


 でも、そんなこと、オリヴィアは望んでいない。 


 だから私は彼女のために私が何か出来ないかを必死で考えた。

 私は彼女を助けて守る。

 今はそれだけ…それだけだ。


 オリヴィアが無事、踊り終えますように。

 私には、そう願うことだけしか許されていない。


頑張れ!

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