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公爵令嬢の心中

読んでくださり、ありがとうございます☆

 

 女性2人の微笑ましいやり取りの背後で、実はずっと一人の男性が背筋を伸ばして立ち、このやり取りを見ていた。


 その男は、話しかけてはこないのだが、オリヴィアの後ろにずっと居る。

 そして、オリヴィアの真向かいに座るマーガレットの全身を嘗め回すように何度も繰り返し見続けては、ニヤニヤし、ブツブツと呟いている。


 さっきも研ぎ澄ませないと聞こえないほど小さな声で、怒った顔もぶたっ鼻も最高だと呟いていた。

 恐らく口にしている言葉はマーガレットへの感想だろう。


 私は、いつも真後ろに控えているこの男の言動が気持ち悪いので、決して耳を研ぎ澄ませず、後ろも振り返らないように努めている。


 無駄にシャラララーンという謎の音を発し、周囲の老若男女を虜にしている場面を目撃しているが、彼に関しては深く考えないのが一番であると理解し、脳の隅へとサッと追いやり蓋をしている。


 このニヤニヤ男は、マーガレットの婚約者のウィリアム・クロスターだ。

 隣国であるアドラシオン王国の四大公爵のひとつ、クロスター公爵家の跡取りなのだとか。

 彼の仕事は、ウェルト国駐在員兼オリヴィアの護衛である。


 そう、オリヴィアの護衛なのである!!



 ねぇちょっと、これを読んでいるそこのあなた!!

 私の話を聞いてくれないかしら?


 この男、どう考えても、メグの事しか眼中に入っていないのよ。

 これで、私の護衛のつもりらしいの。


 ウェルト国駐在員の仕事も侍従と部下にやらせて、ほぼ毎日、私の後ろにいるわ。

 護衛だからじゃないって?いいえ、メグを眺めにきているだけなのよ…。


 赴任日から今日までマーガレットの行き先とかぶるようセッティングされ、一緒に居させられているわ。

 フッ、鼻で笑っちゃうでしょう?


 もうね、あのメグを見てニマニマしている気色の悪い顔ときたら、癇に障るんだわ~。

 メグもメグで、もう慣れたとかで注意もせずに放置だし、気にないでいいって言うけれど…私は気になるよ。

 メグを嘗め回す視線や鳥肌の立つ言動、それが私の護衛という役割を盾に行われているだなんて、自分がしていなくても、なんだか心が汚れていくの。

 護衛の癖に、護衛対象者から近くに居てほしくないって思われているなんて、どうかと思うのよね。


 はああぁぁぁぁ、盛大な溜息しか出ないわ。

 それでも、任務で来ちゃったってんだから仕方ないと割り切るしかない。


 なぜ、隣国の大貴族の彼が、私の護衛なのかというと、それは、アドラシオン王国第三王子が、私の婚約者だからなの。

 一年前に、その婚約者が、なぜか彼を護衛にと寄こしたのよ。

 彼がマーガレットの側に居たくて護衛任務を強要したらしいと後で耳にしたのだけれどね…ちょっとこれは酷い。


 え!?私が王子の婚約者だってことに驚いたですって?

 フフッ、大丈夫よ!

 私も、自分が王子の婚約者だなんて虚偽か夢なのではと、今でも疑っているくらいだから。


 実を言うと、王子から婚約申し込まれたときは、私自身も喉から心臓が飛び出るくらい驚いたの。

 まあ、瞬時に超吸引してもとに戻したけれどね。


 え?そんなに驚く理由?

 私の容姿がとんでもなく酷いとか、性格最悪、悪女、淫乱、どれなんだって??


 う~ん、令嬢だから淫乱はマズいし、自分で言うのもだけれど性格はそこまで悪くないと思う。

 ブスって訳じゃないんだよねーぶっちゃけ、私の見てくれは……美人、すっごい美人!

 いや、これが本当に、かなりのものなのよ。


 いやマジで!稀に見る美しさなわけ。

 もう、本当だってば~生まれた時なんて、絶世の美少女☆☆爆誕☆☆とか、国中に噂が広まっちゃうほどだったらしいし。

 ぜひ我が子の婚約者に!!って、国中の貴族がこぞって手紙を寄こしたとか寄こさないとか、両親からそう聞いているのよ!!


 だから、美人は本当ヨ!

 もう、聞かされ過ぎて、耳タコって感じなんだからね。

 まあ、自慢になっちゃうけど~。


 え、今はモテていないのかって?

 ああ、うん…そうよね、そこが気になっちゃうわよね。

 まあね…でも、できれば、そこは聞かないでほしかったな~。


 それはね、過ぎ去り日の栄光ってやつになったからなのよ。

 まあ、ある意味、別の意味で、人気はあるにはあるのだけれど…。


 という訳で、今では、この国に私をぜひ婚約者に、いやいや、妻に、義娘に、義兄妹に、是が非でもなってください!!!

 なんて、望む勇気ある者はいないのよ…言っていて悲しくなってくるね。


 でもね、そんな私の事を是が非でも自分の婚約者に!!と望んでくれたのが、隣国アドラシオンのヘンリー王子だったの。

 アハハッ、モノ好き~。


 そう、あれは私が社交界デビューを果たす直前の15歳のうら若き乙女時代だったわ。

 我が国の第1王子ジョージ殿下の誕生16年を祝う茶会へと招待されていた日だった。


 ちょっとした理由から私はケーキをバカ食いしていたのだけれど、そんな私の所へと彼は颯爽とやってきて話し掛けてきたの。

 そして、少し話したのち、私を気に入ったとかで、その場で豪快に求婚されちゃったのよ。

 アハッ、ドッキリかと思った~。


 かなり驚いたわね。

 内心では…すごく嬉しかったけど!!


 プロポーズされた瞬間は、冗談かと思考が停止して心臓が飛び出たけれど、彼の真剣な熱い眼差しに、全身に真実であると伝令が駆け巡り、走り抜けた。

 瞬時に、心臓超即吸引回復。


 こんな私に真剣に求婚してくれる奇特な人がまだ居たなんてと、嬉しさを表現した乱舞をその場で踊り出しそうになるくらい心が沸き上がったけれど、歓喜の雄叫びを心の中だけで盛大に掃き出しだけに留めたわ。


 それくらい、私の女としての幸せは望みの無いものと、成長するにつれて私は思い知らされつづけ、もう何年も希望を持っては捨てさせられ続けていたから、この求婚の申し出は、私には1%あるかないかの中庭の奇跡だったの。


 そんな待遇だったのは何故なのかって??

 お前はいったいそれまでに何をしでかしていたのかって?

 私は、いたって健全潔癖よ!

 何もしていないわ。


 でも何かしでかしたから求婚者がいなかったのだろうって?

 いや、だから本当に私は何もしてないのよ。


 しいていえば、そうねえ…この国に、この顔で生まれてきてしまったということかしらね?


 アハハハハハッ、いやぁ、つまりは存在が罪なのよ~なんてね!?

 まあ、ふざけてこんなことを言えるのは、心の中だけなのだけろどね。


 実際、このことを口に出して、誰かに話をして聞かれた瞬間から、過保護な家族や友人が私の事を心配して、これを言わせた者を地獄の底まで探しだして、行動を起こすのよ。


 後から事の顛末を全てが済んでから聞かされて、しんどい思いをするはめになるから口には出さないけれどね。


 そうです。

 私の人生、この顔で生まれたという、たったそれだけの事実が、私の未来を台無しにしているのです。


 私の思い出の不幸自慢ならば、夜が明けるまでネチネチと聞かせることが出来るのだけれど、お付き合いくださいますか?


 あっ、今は駄目みたい。


 ほら、軽い木を板に打ち付けるようなコツコツと言う高音の足音が凄い速さで近づいてきているのが聞こえるでしょう?

 あの音を鳴らすのはこの学院でアイツのみ、もしあの音が図書室の前で止まり、あの扉が開かれるのであれば、面倒事が舞い込むはずだわ。



 そう考えていたら、案の定、部屋の前で音が止まった。


 さてさて、アイツは何の用があるのかしら?

 厄介事でないと良いのですが…


 マーガレット(メグ)とウィリアムの話は、【全力で掛かってこい!】で書かれています。

 お時間ある方は暇つぶしに。

 オリヴィアの婚約者は隣国アドラシオンの第3王子ヘンリー。


 週一投稿と言っていましたが、初月なので週二で頑張って投稿していこうと思います。

 毎週火・金…よろしくお願いします。

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