表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
81/347

裴耀卿

陛下、司徒に任じてくださりありがとうございます。

そなた、司徒の偉さが解っているのか?

司徒は、三公の一つで上古五帝の一人、少昊の時代からある役職の一つだ。

三公は、太尉・司徒・司空の三役を言う。

あの太宗様の友であり、高宗様の叔父上の長孫無忌が太尉であった。

そなたは、その次ぎの役職なのだ。

由緒あり栄誉ある役なのだ。

そのつもりで、担うように。

そりゃ、上に三師もあるが、三師は名誉職で権限はないに等しい。

ちなみに、三師は、太師・太はく・太保の三役を言う。

そなた、朕の息子の中では出世頭といえよう。

いずれにせよ、そなたは今は偉いのだ。

胆に銘じなさい。

一月に、信安王韋を河東、河北行軍副大総管に、裴耀卿を副総管に代えたら、奚と契丹との戦は順調に勝つことができた。

やっぱり、作戦が大切なのだな。

契丹は、朝鮮に一番近い営州の平盧節度使の管轄だ。

奚は営州の西南、幽州の范陽節度使の管轄だ。

いずれにせよ、朝鮮半島から西側、唐の北側の蛮族だ。

裴耀卿が、

蛮族はいずれまた国境を犯して侵入してくるでしょう。

だから、守りに手を抜かないように。

とのことであった。

あの者は文官なのに、戦の時も切れる男子と思ったが、一度使って様子を見てみたい。

二、三年前、

江南地方は兵役の負担がなかったので、民は豊かで米が余っていますから、長安に運河を使って運んではいかがでしょうか?

との、上奏をしてきた。

今まで、何度か似たようなことを言ってきた者がいたが、成功しなかった。

あの時は、断ったが、あの者ならやらせてみてもいいな。

そなた、どう思う?

そうですね。

食糧事情が悪くなるたびに、洛陽に大移動しなくてもいいのは、ありがたいです。

中宗様の時、食べ物に困って、重臣の者が、洛陽に行っていただきたい。

と、お願いしたら、怒鳴り返されたと言うからな。

中宗様は長安へ帰ってからは、洛陽へは一度も行っていない。

洛陽は中宗様にとって、いい思い出がないからな。

怒鳴る気持ちも、わかる。

裴耀卿の技量を計る、いい機会だ。

まあ、長安に帰ってからの話だ。

四月に上陽宮の東の川辺で宴をしたが、迷惑でなかったか?

そろそろ暑い頃なので、戦勝を祝い、かつ慰労と言うことで、趣向を変えてやってみた。

宮中でしたのなら、酔っても、そこいら辺りでひっくり返ればいいが、川辺ではそういうわけにもいかん。

皆に、かけ布団敷き布団を下賜した。

もし、眠るなら使うようにとの意図だったのだが、皆、肩にかついで帰ったそうだ。

上陽宮には住んではいないが、俶と丹丹がよく行っているようだから、皆には開放できなかった。

二人とも、王府では、やはり遠慮があろうからな。

息を抜く場所が必要だ。

馬も連れてきたのだな。

緑児が馬の扱いに慣れていてよかったな。

陛下、すみません。

実は、あの馬は俶が丹丹に譲ったのです。

だから、今は、丹丹の馬なのです。

あんなに小さな女の子の物なのか?

はい、申し訳ありません。

俶が、嫌ったわけではなく、丹丹が馬を、あの馬を好いたのです。

そして、馬も丹丹を好いたのです。

俶を会合に連れて行っている間に、丹丹が馬を構ったものですから、馬の心を奪われたのです。

まるで、男女の三角関係だな。

まあ、仕方がないか。

俶には、もっといい馬を探さねばな。

馬には乗っているのか?

まさか、あんな小さな女の子が乗ってませんよ。

友達だと言って、ただ一緒にいます。

母親がわりだと思えばいいのだな。

そうですね。

時期的には、事前から用意したように合いますね。

丹丹が馬を持っていると知ったら、他の子どもたちが、おさまらないでしょう。

特に、男の子はな。

表向きは、俶の馬としておくか。

そなたも雑事が多いな。

ああ、捕虜が多く手に入った。

皆に、奴婢として下賜できる。

この頃は、下賜する奴婢がいなかったから、

ー昔前の話だが、奴婢が足らないと、安楽公主なんかは農民の家の女子を連れ帰ったりしていたから。

助かるよ。

俶が王府で、何事もなく順調に育ってくれたら、言うことなしだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ