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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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絵の書きっこ

はあ上、何ちているの?

蓮の書いた絵、見てるの。

好きだなあと思って。

そんなあ、はぢかしいよ。

でも、母上は好きよ。

蓮の絵を見ていたら、子供の時、白羅の民画を持っていたことを、思いだしたの。

民の絵でしょうね。

だって、とても下手くそって、思ったから。

だけど、嫌いじゃなかった。

見れば、見る程、好きになった。

蓮の絵、もう、少し下に貼りましよう。

この位置では、大人は見やすいけれど、蓮には上すぎて、よく見えないわ。




はあ上、どんな絵を持っていたの?

山だと思うんだけど、漢字の山のもとの形。

一本の線で、真ん中が高くなっているの。

そこを、男の人が歩いているのだけれども、山の真ん中あたりの線の上で、寝たような形で歩いているの。

子供でも、“変! ”って、思ったわ。

でも、その人が伝えたいことはわかったわ。

今、山の半分位まで、登ったってね。

だって、上手な人の絵、

山の木や石、雲や隣の山々はきれいに書けても、ここは、この山の真ん中くらいだ、とはわからないわ。

そして、その男の人も、体の半分くらいが顔なの。

本来の形によく似させて、丁寧に書き込んだ絵はよく見るわ。

でも、こんないいかげんな絵、初めて見た。

でも、嫌いになれなかった。

一生懸命に書いたんだ、とは、伝わったわ。

その絵、父上の書斎に捨ててあったの。

くしゃくしゃに丸まって、床に落ちていたから、捨てたのだと思うわ。

父上が捨てたのだと思う。

白羅に行った人が訪れていたから。

お土産にもらったのだと。

くしゃくしゃを伸ばしながら、広げて見た時、つい笑ったわ。

普通、考えられない構図だったから。

父上なら、この絵を見て、気を悪くしたと思った。

こんな下手な絵をくれるなんて、ってね。

だから、捨てたのだろうと。

こんな絵を書く人がいる白羅はどんな国なんだろう?

と、思った。

そうだ。

父上に頼んで、壁に唐の地図、貼って貰いましょう。

母上、白羅って、どこにあるか知りたい。

蓮の絵、母上は好きなんだけど、下手くそな絵を思いださせたわ。

はあ上、下手くちょは品がないよ。

下手で止めとこう。

はあ上は、ちい上、ちゅう王の妻なんだから。

蓮は、本当に父上のいい子なんだから。

聞いたら、父上、大喜びよ。

母上、蓮と丹児の成長の記録、似顔絵に書くわ。

蓮が、この前、絵を書いてくれて、すごくいいなって、思ったの。

絵を見たら、楽しかったことが思い出されたし、蓮の一生懸命書いてくれたのが伝わったわ。

母上も、蓮の真似して絵を書くわ。

下手だけど、笑わないでね。

ちゃんと、品よく言えたでしょう。

杏は、蓮を抱き上げ、くるりと回った。

杏は、はあはあ言いながら、

蓮、重くなったわね。

大きくなったのね。

と言った。

体が大きくなったってことは、中にはいっぱい詰まっているってことね。

蓮の成長を、ずっと、横で見ていたかった。

でも、これからも、蓮の成長に付きあえないわ。

だって、少ししたら、丹児のおっぱいの時間なの。

仕方ないわね。

怒りんぼう丹児を、待たすわけにはいかないわ。

父上の予言は当たったと思うわ。

丹児、おっぱいの時間が待てないの。

少し遅れたら、泣き方がすごいの。

わ~ん、お腹すいた。

わ~ん、早く。

わ~ん、おそい!

母上、大あわてよ。

蓮なんか、くしゅ、くしゅ泣いて、待ってたのにね。

蓮を見ると、こっちが申し訳ないと思えたわ。

でも、蓮のことは安心してる。

だって、これからも、蓮は父上と一緒だから。




蓮、母上とお互いに、似顔絵の書きっこしない?

蓮は母上を書いて、母上は蓮と丹児を書くの。

二人、一緒でもいいし、一人一人でもいいわ。

その時は、お互い相手に好きな衣を着せたり、変な格好をさせたりするの。

ふふ、たのちちょう。

いいよ。

長い時間かかると、丹児が怒りだすから、時間を決めてしましょう。

りぇん、はあ上のこと、上手に書けないかも、

はあ上を、ガッカリちゃちたくない。

母上の方こそ、

これ大人が書いたの?

って、言われるかもと、ちょっと心配。

白羅の民画はヘタって、言うくせにね。

でも、お互い、一生懸命、頑張りましょう。

ね。

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