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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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新しい屋敷

やっと、着いたな。

以前とは、様子が違うので、まるで、わからない、

お上りさんだな。

誰かに、来てもらわなければ、困るな。

制服らしきものを着た男が現れた。

忠王様ですね。

呂と申します。

俶様の、お世話をおおせつかわりました。

屋敷の方に、ご案内いたします。

そのまま馬車に、乗っていてください。

すぐですから。

馬車は永嘉坊に着いた。

前よりも、興慶宮に地所をとられて、坊自身が狭くなっている。

この屋敷は他の屋敷と違って、一部ですが、興慶宮と接しています。

それと、あまり、目立たないようにとのことでして、入り口は狭くなっております。

お気に召さないようでしたら、いずれ手を入れられたらとのことです。

案内され門を入ると、すぐに、池が眼にはいった。

川に通じている。

杏が、悦んだ。

蓮を植えるわ

あっ、すでに植えております。

今は秋ですので、枯れ葉が見苦しいので取っており、分かりませんが、春になれば芽をだします。

部屋を覗いて、まわった。

寝室です。

あの、丸い寝台が、部屋の中央に置かれていた。

蓮が、喜んだ。

忠王の腕の中で、はしゃいでいる。

蓮、そなた、また遊んでもらおうと、企んでいるな。

忠王が、笑っている。

笑い顔が、顔に馴染んでしまっている。

最初、会った時とは、別人だ。

しかめっ面をした、気難しそうな親王だった。

怒っているのかと、思った。

私、なにか悪いことをしたのかな?

緊張したのを覚えている。

いい顔になった。

昔を知っているだけに、なお、思う。

杏は、幸せをかみしめた。

蓮が、私たちを幸せに導いてくれている。

蓮が、期待している。

蓮、なにがしたい?

蓮は、布を手に取った。

呂、丈夫な、きれいな布を持って来てくれ。

後は、私たちで見てまわる。

案内は、もう、いい。

蓮、そなたの、寝台だ。

皆で、また、並んで寝ような。

とっと。

とっとは、部屋ではダメだ。

言っただろう。

忠王は、指先で、蓮の鼻をつついた。

蓮が恥ずかしそうに下を向いた。

蓮、わかってて言ったのね。

だから、言っただろう。

蓮は、わかっているから、変な事を言わないように、って、

賢い子だからな。

な、父上にはわかっていたよ。

どさくさにまぎれて、家の中なのに、とっとで遊んでもらおうとしたんだ。

ダメだとわかっていてな。

いったい、誰に似たのかな。

忠王は、蓮を抱いたまま、腰をかがめて、杏と目線を合わせて言った。

そして、じっと杏を見た。

杏は、なんだか、恥ずかしかった。

杏、この屋敷はどうかな?

庭に、川と、池があるのが、素敵。

陛下が、蓮を大切に思って下さっているのが、よくわかります。

有り難いです。

そう思うなら、蓮をいい子に育ててくれ。

私とも、仲よくな。

夫婦が仲よくしてたら、子は、それだけでいい子に育つ。

いずれ生まれてくる子と、みんなで、幸せになろう。

さあ、布がきた。

杏、広げて、蓮、上に乗って。

杏、腕が痛くなる前に、言うんだよ。

じゃ、よいっと。

キャッ

よいっと。

キャッ



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