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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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杏のように

見馴れた景色だ。

後すこしで、長安だ。

蓮は、長安は、初めてだな。

窓の、おおいを広げて、蓮に外を見せた。

初めてだけれども、ここが蓮の本来の住みかだ。

蓮のお家は、どうなっているのかな。

チラリと、杏を見た。

杏は、

私にも、見せて、

と、云って、窓の前にぶんどった。

悪いけど、そっちの窓から見て。

杏は、熱心に、見ていた。

馬車が、門をくぐる時、忠王に向かって云った。

北からの道と、城への道の、交わる所の城近くの南向きの所がいいわ。

あそこなら、蓮に早く気付ける。

忠王は、なにも云わず、うつむいたまま、蓮を自分の方に向け、抱きしめた。

先の話だ。

急いで決めなくていい。

下を向いたまま、答えた。

ごめんなさい。

でも、気になっていたから。

長安に帰るのに十九日かかった。

私たちは、馬車だけど、宦官や宮女は歩くから、早くは進めない。

蓮の誕生日は祝えなかったな。

私の誕生日はすぐだ。

蓮の弟たちにも、この機会に会うとするかな?

いつかは、顔見せしなきゃな。

やっと、云って下さったのですね。

気持ちとしては、あまり会いたくはないですが、お会いして、人となりを知っておかなければ。

いずれ、子供たちをお願いすることになるのですから。

どんな方かも、わからない人に、託せません。

殿下も、一緒に考えて下さいね。

私を、あまり、当てにして貰うと困る。

女子として見て、多分、人として見ていないかもしれない。

そなたに任したい。

そなたの直感を私は信じる。

大切なことですから、丸投げしないで下さい。

陛下も気にしていると思う。

蓮のことを大事にしているからな。

いずれにせよ、私の誕生祝いをすることにして、そなたも参加しなさい。

その時、蓮の紹介とお祝いをしよう。

陛下が、多分顔をだすだろう。

嫡皇孫だからな。

陛下としたら、皆の前で、蓮に箔を付けたいのだ。

私が、後ろ楯だとな。

そうしていたら、誰も蓮の母親の出自を口にしない。

だけど、何人もの兄弟が、突然現れると、蓮の方も戸惑うだろうなあ。

兄弟の方もビックリするだろうけど。

だけど、これ以上、遅らせない。

わかっています。

でも、蓮は、殿下が自分だけの大好きな父上だと思っています。

自分だけの父上でないとわかったら、辛いでしょうね。

いつか、経験する感情だ。

下の子が生まれても、同じだ。

自分で、気持ちに折り合いをつけなければならないのだ。

悪いことばかりではない。

気の合う者も、見つけるだろう。

何事も、成長だと考えて、見守ろう。

心の広い子に育てたい。

辛いことばかりではない。

いいことも、あるんだよ。

と、感じとらせたい。

でないと、逆境で生きていけない。

掖庭宮にいた、そなたならわかるだろう。

母上と作った人形を捨てられないそなたなら、わかるはずだ。

試練を明るく笑って、通りすぎる子に育てよう。

そなたの子だ。

そなたにできたのなら、蓮にもできる。

そなたが、母上のように振るまってくれるなら、大丈夫。

そなたを、信じている。

殿下は、私と蓮のためだけにいるみたい。

そうだ。

そなたは、私の妻であり、母上であり、姉であり、妹であり、 私の大切な想い人なのだ。



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