表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
36/347

武昭儀立后

話をするたびに、武后様の事に触れてしまう。

今日は、ついでだから武后様の事について話しておこう。

今後、改めて話す事はないと思う。

武后様は太宗様の後宮にいて太宗様の崩御により出家したが、高宗様の後宮に、高宗様の強い意志ではいられた。

最初は才人の地位であった。

そして、男のお子をお生みになった。

弘様をお生みになったことで、昭儀となられた。

それから、女のお子をお生みになられた。

そんなある日、皇后様か出産祝いに武后様の部屋を訪れたそうな。

部屋には誰もおらず、赤子の顔をみて、あやして帰られたそうな。

武后様と、高宗様が、部屋に入り赤子を見ると、すでに亡くなっていたそうだ。

武后様は泣き、高宗様に訴えたそうな。

怪しいとはいえ、皇后様が殺したとは言えない。

ただ、高宗様に皇后様に対する不信が芽生えたのは、確かだ。

そして、武后様を高い位に就けたいと、考えられた。

そこで、今ある官位は数に決まりがあるので、新しく、“宸妃”を考えて重臣にはかった。

が、反対された。

宸とは、宮廷を意味する漢字なのだ。

大明宮に紫宸殿があるだろう。

宸妃とは、皇后の次の位と考えられる言葉なのだ。

そんな時、呪詛の人形が見つかった。

犯人は皇后様という事であった。

皇后様は、当然、自分ではないと、否定された。

高宗様は皇后様を廃して、代わりに武昭儀を皇后位に就けたいと、重臣にはかった。

王皇后にお子がいないのも、理由とされた。

王皇后の廃位は仕方がないとしても、「立后は、武昭儀ではなく他の方にしていただきたい。」

と、誰も、賛成しなかった。

どうも、陛下は武昭儀に夢中なようだ。

なにもしないでこのまま左遷されるより、いいだろう。

そこで、左遷が決まっていた李義府は、中書省で作られた詔書が審議される門下省に届く前に、あわただしく

皇后王氏を廃して武昭儀を立てられたし、

万人の希望にこたえていただきたい。

と、上表した。

高宗様は、それを見て、喜んで召見し、話を聞いた上、褒美を与えた。

左遷はなくなり、中書舎人留任となった。

やがて、舎人から一足飛びに中書侍郎となった。

李義府の抜擢を見て、

許敬宗、業史大夫・崔義玄、業史中丞・袁公瑜らが、武昭儀を推戴する事により、自分たちも、栄進の機会を掴もうと考えた。

武昭儀立后の反対派は、長孫無忌を中心とする関隴集団、功臣集団である。

武昭儀を推戴する李義府たちは、寒門系、非門閥である。

高宗様は、重臣たちを召集して、また立后の話をした。

ちょ遂良が立后に反対し、頭の頭巾を脱いで

この笏をお返しします。と、宣言し、頭を床に何度もたたきつけ、叩頭流血した。

身をもって諫言したのだ。

高宗様は怒りのあまり、

そやつを、引き出せ。

と、叫んだ。

ちょ遂良は、潭州・都督に左遷された。

皇后様と蕭淑妃は、武昭儀に対抗するために組んでいた。

けれども、巫術は皇帝の生命にも禍が及ぶこともあると、庶人におとされ幽閉されていた。

高宗様は、元の二人の妃が気になって見にいった。

食事を出し入れする小さな出入口のついただけの部屋にいる、二人に同情し、優しい言葉をかけて帰った。

それを聞いた武昭儀は、腹をたて、

杖刑とし・・・

この場面の話はしたくない。

いずれにせよ、死んだということだ。

ただ、蕭淑妃は死ぬ前に、

猫に生まれ代わり、武氏を鼠に生まれ代わらせ、その喉に喰らいついてやる。

と、言ったそうな。

朕にも、そなたにも、あの方と同じ血が、流れている。

お互い、心穏やかに過ごそうな。



高宗様は、武昭儀を皇后に出来ないでいた。

その夜、高宗様は李勣の屋敷を密かに訪れた。

高宗様は李勣に声をかけた。

武昭儀立后、皆が反対するのだ。

そなたは、どう思う?

李勣は、逃げた。

陛下の家事でございます。

外部の者の意見はお聞きになる必要はございますまい。

高宗様は心を決めた。

そして、武昭儀は、武皇后となったのだ。

切りがいい所で、一服しようか。

分かっているだろうが、赤子の死も、呪詛の人形も、武后様の仕業なのだ。

疲れた。

続きは休んでからだ。

おうい、高力士!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ