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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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死後の相談

ねえ、蓮、もう寝たみたい。

杏、こうやって杏の顔をみるのは、随分ひさしぶりの気がする。

いつも、忙しくて見れなかったのだなあ。

嘘つき、蓮の顔を見るのに忙しくて、他のものを見る暇がなかったくせに。

やっと、私の顔を見たのね。

物も言いようだわ。

ごめん。

そんなふうに言われれば、返す言葉がない。

蓮を生んでくれて、ありがとう。

私にはこの言葉しか、思い浮かばない。

そなたの母上の事で、思い出したのだが、私たちの死について、言い忘れたことがあってね。

私たちは同時に、死ぬ事はない。

私が、先に死ねば、そなたが式に出てくれるだろう。

そして、その後、そなたの寿命を生きるだろう。

怒らないで、

もし、見目麗しい男子が現れて、そなたの事を慕っているといったら、どうする?

バカね。

蓮より、素敵な男性はいないわ。

私は、だれにも、心を動かされないわ。

だって、もし、あなた以外の男性に引かれようでもしようものなら、私、蓮に嫌われる。

私、蓮のいい母親でいたいの。

そして、死んでも、大好きな母上って、慕われ続けられたいの。

だって、殿下は、蓮の大好きな父上だから、私は、殿下を慕い続けなければならないの。

蓮のおかげで、殿下、得してるのよ。

変な心配はいらないわ。

そなたの話を聞いて、喜んでいいやら、怒らなけなければならないのやら、考えてしまう。

まあ、蓮のためとはいえ、私を想い続けてくれるのは、やっぱり嬉しい。

では、反対の場合だ。

私が生き続け、そなたが先に死んだら、どうしてもらいたい。

そなたの母上の言葉、

言っておかないと、してほしいようには、してくれないからね。

その通りだと思う。

だから、今、聞いておこうと思って、

私、うううん、

私、宮中の側室たちとは一緒にいたくない。

死んでまで、身分に縛られたくない。

死んだら身分は関係ないと、私は思っている。

でも、多分、他の人たちは自分の高い身分にウットリしてるわ。

私、そんな人たちとは、近くにいたくない。

一人でもいいから、別のところにして。

だって、殿下と同じ陵に入るまでなのでしょう。

一人でも寂しくないわ。

あっ、大切な事を言いわすれていた。

杏、死んで私を待っていてくれるのだな。

間違っても、生まれ変わらないでくれ。

私が、死後の世界にいった時、そなたが居ないなんてことのないように、これだけは、お願いする。

大切なことだ。

頼む。

わかったわ。

待っている。

じゃ、場所は春明門を出た所がいいわ。

そうすれば、陛下が洛陽に行くたびに、蓮の顔を見ることができる。

墓まできて、拝まなくてもいいわ。

ただ、通る時、心の中で声をかけて、

そうすれば、蓮を感じられる。

顔を見ることができる。

これが、私の願い。

ああ、棺は母上のように、お願い。

棺の件に関しては、そなたの母上のようには、できない。

もっと大きくなるから、蓮茶は三倍は必要だと思ってる。

あっ、小さな棺は駄目だ。

大きくなった蓮が見て、気を悪くする。

立派な棺にしておかなくてはな。

それこそ、そなたと同じで、蓮に嫌われたくないのだ。

私たち、二人の心を今から支配しているのだなあ。

蓮は。


殿下、二人目の子のことですが。

後、なんか月かで乳離れします。

洛陽では無理です。

長安を考えて下さい。

わかった。

父上にも、気を使うように、言っておく。

私の子を産むのが嫌で、あんな事を言ったのかと、ちょっと不安だった。

そなたの言葉で、心が安らいだ。

殿下は私のことを信じていないのですか?

私も、偉そうなことはいえませんが、ちょっと寂しかっです。

それと、蓮の弟か妹が、生れた場合の事ですが。

実は、上の二人の弟ですが、仲が悪いのです。

だから、恥ずかしくて、殿下に会ってもらいたくなくて、

年子なので、年が近いぶん、張り合うのです。

上の子がやっとできた事が、下の子が見ていて、真似して、すぐに出来るようなるのです。

下の子は自分はすごいと偉ぶるし、上の子は要領を掴んだところで、真似され、「ずるい。」と、声を荒げます。

年の近い男の兄弟は難しいと思います。

私は妹を望んでいます。

男の子の場合もありますので、ちょっと知っておいた方がよろしいかと、言わせていただきました。





私は女の子がいいです。

そして、今、蓮にしてあげているような、遊びをさせてあげたい。

むやみに、禁止したくない。

周りを安全にして、してほしそうなら、してあげたい。

お転婆さんでもいい。

わがまま娘でもいい。

あんまり、我慢ばかりさせたくない。

心は自由にさせてあげたい。

結婚相手は、自分で選ばせてあげたい。

男子は迷わなくてもいい。

気にいったなら、全員、妻にできる。

だけど、女子は一人しか選べないから、迷う。

せきたてたり、無理強いさせないで下さい。

男子でも、一人だけとなれば、迷うはず。

待ってあげて下さい。

気持ちを尊重してあげて下さい。

女の子でも、一人の人間。

大切にしてあげてください。

私たちが自由にさせているように思えても、その周りには、縛る仕来たりが、女子にはあるのです。

蓮のように、お願いします。

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