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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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代宗の仏教

元々、代宗は、祭祀が好きであった。

だが、未だ、仏を重く見ていなかった。

宰相の元載、王縉、杜鴻漸は、三人共、皆、仏が好きであった。

王縉は、仏が大好きで、生臭い野菜(ニンニク、ニラ、ネギ)、血生臭い肉を食べなかった。

それに、杜鴻漸も、寺を造るのに限りがなかった。

代宗は、かつて聞いた。

仏は、報恩を云うが、善悪の報いはあるのだろうか?

元載たちは、上奏した。

国家の幸運が長く続くことは、天から受けた幸せです。

天の助けは、宿ったり、育てたりするものではありません。

何でそうなるのか!

天の助けは、定まった物ではありません。

時に、小さな災いがあったとしても、最後は、害にはなりません。

安祿山、史思明も、皆、子の災いが逆の方向に盛んになったので、背いたのです。

僕固懐恩も兵を称えていましたが、内心では、軽んじていたのです。

だから、出兵して、病死したのです。

回鶻、吐蕃も、大挙して唐に深く侵入しましたが、戦わずして退去しました。

これは、皆、人の力の及ぶところではありません。

どうして、報恩が無いと云えましょうか!



代宗は、それから、仏教を深く信じるようになった。

禁中に、百人以上の僧侶を常に養った。

蕃族の侵入があれば、すぐに、僧侶に命じて仁王経を読経させ、お祓いをするように命じた。

侵入が去ると、すぐに、厚く褒美を賜った。

蕃族の僧侶・不空の官位は、卿官となった。

爵位は、国公であった。

禁じられた宮中の門の出入りを、許された。

勢いは、権力をもつ貴い人になった。

都の美しくて、利益が出る良田の多くは、仏教の寺の物になった。

天下の僧侶と尼僧は、鞭打つことの無いようにとの、詔を出した。

忻州にある五台山に、金閣寺を造った。

鋳銅の上に金を塗り、瓦とした。

掛かった費用は、莫大であった。

王縉に、中書令の符牒を給った。

五台山の僧侶、数十人を四方に振り分け、布教をさせた。

効き目を求め、活動させた。

元載たちと侍る時は、代宗は、いつも、ゆったりと落ち着いていた。

話の多くは、仏のことであった。

これより、長安の内外の臣下や民は、信仰による効き目、変化の様子を伝えさせられた。

皆、仏を奉る事で、人は疲れ、役に立たなくなった。

政事は、日ごと罰を加えられ、乱れた。


八月三日、

鳳翔等の節度使、左僕射、平章事の、李抱玉が入朝した。

固く、左僕射を辞退した。

代宗は、許した。

八月?日、

また、鳳翔節度使も辞めたいとした。

代宗は、許さなかった。


八月二十日、

杜鴻漸が、千人の僧侶を養った。

もって、蜀の憂いを無くすようにした。


九月十七日、

吐蕃の兵数万人が、霊州を囲んだ。

遊騎が潘原、宜祿にまで来た。

上は帥から、下は兵士までの三万人を、川中節度使から けい陽に駐屯させ、鎮を移すように、郭子儀に詔が出された。

都には、戒厳令が出された。


九月十七日、

郭子儀は、奉天に鎮を移した。


山ろうが、桂州を手に入れた。

刺史・李良が、追い払った。

冬、

十月一日、

朔方節度使の路嗣恭が、吐蕃を霊州城下で破った。

二千以上の首を斬った。

吐蕃は、引いて、去って行った。


十二月四日、

郭子儀の父親の墓が、盗掘された。

犯人を、捕らえようとしたが、捕まらなかった。

人は、魚朝恩が、郭子儀のことを嫌っているので、魚朝恩の仕業ではないかと、疑った。

郭子儀が、奉天から入朝した。

朝廷は、郭子儀の父親の塚の事で、何かあるのでは無いかと心配した。

郭子儀は、代宗を見上げた。

代宗が、語ろうとした時、郭子儀は涙を流して云った。

臣は、久しく将兵たちに手荒な真似を禁止しませんでした。

軍の兵士たちの多くは、人の墓を暴いています。

今日、こんな事になったのは、天のとがです。

人のする事ではありません。

この郭子儀の言葉に、朝廷は安堵した。


この年、鎮西節度使を、元の安西節度使とした。


白羅王・憲英が、亡くなった。

子供の乾運が、立った。


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