仲良し家族
ただいま、蓮。
さあ、おいで。
もう、君は七カ月、そろそろ父上と、呼んでよ。
それとも、母上かな?
杏、蓮の様子はどうかな?
寝返りが上手になって、移動ができるのが楽しいみたいで、どこまでも続けるから、寝台から落ちないか心配。
でも、ちゃんと見てるから大丈夫。
そうか、父上にも、見せてくれ。
さあ、父上は寝台の反対側にいるからな。
さあ、蓮、こっちにおいで。
まあ、蓮、父上ったら、上手じゃない方の寝返りの方に、蓮を置いたりして、
じゃ、挑戦ね。
父上がそっちにいるから、蓮、一生懸命、苦手克服よ。
落ちないように、側にいるから、殿下、心配しないで、
蓮、父上のところにおいで。
自慢の息子、蓮、がんばれ~。
すごい、すごい、
あと少しだね。
殿下が声かけしたら、真っ赤な顔して、努力中よ。
おいおい、何の努力なんだ。
なんか、臭ってきたぞ。
蓮、ヒドイ父上ね。
さあ、きれいきれいしましょう。
お湯を用意して!
さあ、お召し変えの時間です。
大人しくしててね。
あまり、動かれたら困るわ。
いい子ね。
母上が言う事がわかるのね。
お行儀がいいこと、
蓮だって、気持ちいいのね。
殿下の躾のおかげで、扱いやすいわ。
お、蓮、スッキリしたな。
新しい衣か?
なんか、豪華な衣だなあ。
朝、宮中から届きました。
父上が気をきかせたのだなあ。
たくさん、あります。
今度、お会いしたら、御礼をおっしゃって下さい。
あいよ。
殿下らしくない、お返事ですよ。
じゃ、誰らしい?
そんなの、知りません。
蓮を抱いている杏を、二人まとめて抱きしめた。
私は幸せだ。
長安には帰りたくない。
別の家になんか、住みたくない。
ずうっと、三人でいたい。
十王宅はいやだ。
忠王宅がいい。
まあ、我が儘ですこと。
私は蓮といたい!
杏といたい!
私より、蓮の名を先に呼びましたね。
そなただって、私より、蓮の名を先に呼ぶだろう。
それは、そうですけど。
私、先に呼んでほしかっです。
そなた、変ったな。
殿下の事、好きになったと、言いませんでした。
好かれるのも、大変なんだな。
今日、初めて知ったよ。
はい、はい、
杏といたい。
蓮といたい。
これで、いい?
ありがとう。
と、言って、顔を近ずけた。
ほっぺかな、唇かな?
杏の口は、鼻を舐めていった。
前みたいに、愛情表現してくれない。
私、不満。
前はうっとうしかったけど、今は懐かしい。
蓮を忠王に渡して、椅子を持ってきた。
そして、椅子の上に乗り、忠王を呼び、蓮ごと忠王を抱きしめた。
私、幸せ。
言わなきゃよかった。
力関係が、変わった気がする。
ああ、私、バカ。