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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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玄宗の計画

忠王様、陛下がお待ちになっております。


陛下、なにか御用でしょうか。

ああ、そなたと少し話がしたかったのだ。

俶は順調に育っているようだな。

はい、私の方から言うのは、手前味噌なのですが、見てのとおりです。

そなたには、朕の予定というか、計画というか、教えておかねばと思ってな。

十年後に、そなたを皇太子にすると言ったな。

朕は、俶に、皇帝となる王道を歩ませたいと思っている。

俶を、初めて冊封する時は皇太子の息子、すなわち郡王としたい。

だから、俶が十五才になる一年前位には、そなたを皇太子とする。

その一年で、そなたも、俶も、与えられた立場になれろ。

そして、俶を郡王とする。

皇太子の長男で、皇帝の嫡皇孫の郡王だ。

あとは、朕の死で自動的に位が進む。

それまでは、俶を初めて冊封するまでは、朕は唐のため、自らを節して生きる。

朕が病にでもなれば、そなたたちを守れない。

もし、その時がきて、朕がまだ元気でいれば、最後の恋がしたい、

笑うな。

その時は、寛容な気持ちでとがめないでほしい。

これが、朕の計画だ。

そして、願いだ。



上陽宮を訪れて驚いた。

そなたが、あまりにも、いい父親なのでな。

朕は多くの子に恵まれた。

だが、多いぶん、一人一人との絆は強くない。

そなたが、いい例だ。

そなたを見て、いろいろな生き方があると考えさせられた。

父上、違うんです。

私は、母上に育てられました。

今思うと、母上は最後まで、父上を想っていました。

私を通して父上を想っていたのです。

いつも、父上が来るのを待っていました。

父上はたまに訪れると、からんでくると思われたと思います。

でも、口に出したい事がいっぱいありすぎて、混乱するのです。

自分でも、思いがけない事を口にしたりしたようです。

亡くなった方です。

とがめないで、偲んであげてください。

ところで、陛下は私が育たないと、占者に言われて、母上に私を託したとか。

最近、知りました。

それを聞いた時、どんなに嬉しかったか。

私は、父上に捨てられた、と思って恨んでいたのです。

私は蓮に、私がしてほしかったように、しているだけです。

求めても得られなかった父上との絆を、蓮との間に築いているだけです。

私に罪悪感を持たないでください。

私も、蓮以外の息子には手をかけない父親ですから。

それと、私は自分がどう考えても、皇帝として、相応しい人物とは思えないのです。

蓮との中継ぎだから、仕方ないのですね。

私は、皇帝として、多くの失敗すると思います。

並の人間ですので。

そして、私の失敗の尻ぬぐいを、多分、蓮がしてくれると思います。

その償いの気持ちで、今、蓮に接しているのです。

私は、将来、蓮の苦労の種になるでしょう。

私は、これからも、蓮のよき父親であり続けなければならないのです。

私は、計算高い、普通の人間なのです。

御自分を責めないでください。

これは、驚いた。

朕も、そなたと同じで、俶を無事に育て上げたら自分にご褒美として、絶世の美女との恋を考えていたのだ。

けれども、恋に時間をとられたら政務がおろそかになる。

その時は、俶に朕の失政を補ってもらおうと。

朕はそなたと同じだ。

計算高い、似た者親子だ。

ははは




今日はそなたと話せてよかった。

お互い、考えていることがわかった。

誤解が減ることだろう。

それと、張説が五年前、朔方軍節度使を経験している、

朔方軍の事については、詳しいはずだ。

なにかあれば、相談しなさい。

ただ、張説の事は部下にはこちらからは言うな。

張説は金に汚ない。

部下にはかならずしも、評判がいいとは言えない。

だから、いつまでも、微賎の出だと言われるのだ。

宰相になっても言われるのだ。


ああ、宴がはじまるぞ。

早く、行け。


十五年後の朕の恋は覚悟しとけ。

ボケも始まる頃だから、なりふりかまわんぞ。

見苦しいぞ。

ははは

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