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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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嫡皇孫

杏、そなたにそんな返事を返えされたら、何て言ったらいいかわからないよ。

私はそなたとは喧嘩はしたくないんだ。

ましてや、蓮が眠っている傍でなんて。

私たちが仲良くしなければ、蓮が悲しむよ。

忠王は、側にすり寄り両手で杏の手をくるんだ。

ごめんなさい。

でも、殿下が私が厭がる事を言うから、つい感情的になって、

私が悪かった。

これから、気を付けるようにするよ。

今、思ったんだけど、この前の喧嘩かに似てるよね。

ちゃんと言っとくけど、私は殿下が好きよ。

だから、自信を持って。

そんな、オロオロするような態度をされると、解ってないって、私も腹がたつ。

本当?

嬉しいな。

忠王は杏を抱きしめた。

ありがとう。

私は顔に自信がないし、自分にも自信がないんだ。

こんな、軟弱者で、ゴメンよ。


ねえ、杏、胸が大きくなってない?

なんか、前と、抱き心地がちがう気がする。

顔の位置も違う感じ。

もう、本当に無神経なんだから。

ソロソロ、おっぱいの時間なの。

だから、胸が張ってきてるの。

ヘエ、こんなになるんだ。

なんか、得した気分。

宝物が増えた気がする。

ちょっと、飼っているブタが太って、喜んでいる飼い主みたいよ。

そんなんじゃないよ。

小さいおっぱいが大きなおっぱいになったから、ただ、嬉しいだけ、

もう、また喧嘩になる!

ゴメン、杏のおっぱいなら、どんなおっぱいでも、いいよ。

私は、おっぱいが好きなんじゃなくて、杏が好きなんだから。

わかってくれた?

はい、はい、

ねえ、蓮がこっちを見てるよ。

私たち、うるさかったのかも、

ねえ、頬ずり作戦しない?

蓮の頬に、両方から、好き好きするの。

いいなあ、私がしてもらいたいくらいだ。

本当に子供なんだから。

顔はおっさん、なのにね。

ひどい、私の劣等感を刺激するなんて。

すねないでね。

と、云って、

両手の人差し指を、恨めしそうに見ている忠王の両頬に、立てて押した。

えくぼ!

強張っていた表情が、溶けかけの雪だるまのようにくずれた。

杏は私を自由に操れるんだね。

本当に御主人様だ。

蓮の向こう側にまわり、杏は忠王に合図をした。

蓮、好き、好き

うわ~ん、

蓮が泣きだした。

顔を離すと泣きやんだが、まだ、ヒックヒックと言っている。


おかしい?

いつもは喜ぶのに、

思いだした。

私も、父上に頬ずりされて泣いた事を、

ヒゲが痛かった事を。


気がきかなくてゴメン。

ヒゲが原因だとおもう。

また、殿下を傷つけてしまって。

これで、許して、

杏は中腰になって、寝ている蓮ごしに、しょぼくれている忠王の唇に自分の唇を合わせた。

少しは、許してくれた?

こんなんじゃ、厭。

今は、蓮のおっぱいを優先させてくれる?

当たり前だろう。



もう泣かないで、

と言いながら、授乳をはじめた。

側で、忠王が語りはじめた。

陛下が蓮を嫡皇孫とした意味、杏はわかっているの?

蓮は私の長子だ。

でも、杏が正室でなく側室なので、嫡子ではない。

相続の時、長子より、嫡子が優先される。

だから、陛下が自分の嫡皇孫とする事によって、孫だけど、跡継ぎだと公にされたのだ。

皇帝陛下の言葉だ。

重い言葉だ。

陛下は蓮を皇帝にしたいと、お思いだ。

蓮は将来、皇帝になるかもしれない。

けど、なれないかも、しれない。

あまりに、先の話すぎて、それまでになにが起こるかわからないからね。

当然、なれるものと考えていると、いけないと思って。

ただ、可能性をもっているという事を心に留めといて。

陛下は、蓮を気に入っている。

びろ、”とは言わない。

だが、蓮の為だ。

嫌われるような事はしないでほしい。

これはお願いだ。

私も父上から皇帝になるよう、言われている。

私だって、本当になれるかどうかわからない。

でも、長子である蓮には皇帝になってもらいたい。

なぜか分かる?

予測できない将来の、順調にいったらの話だけど。

蓮が皇帝になると、私は杏と同じ陵(墓)に入れる。

皇帝は、再生・復活を望まれない。

私はそなたと永遠をすごしたい。

新皇帝の母となるそなたは、皇太后となる。

そして、崩御した皇帝と同じ墓に入る妻として、皇后となる。

他の女子は厭だ。

喧嘩をしても、そなたがいい。

奴婢だったとしても、皇太后になれる。

皇后になれる。

気にしなくていい。

“子を以てたっとしとする”

中華の伝統だよ。



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