表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
17/347

杏の怒り

殿下、悪いんだけど、牛とヤギの乳持ってくるよう言ってくれる?

補給しとかなきゃ。

次のオッパイの時、お腹一杯飲ませてあげたいの。

いいよ。

二杯頼んで。

お酒じゃないけど、付きあって、


殿下、白ヒゲがはえてる。

杏だって、はえてる。

私がとってあげる。

杏は、両手のひらで忠王のほほをはさみ、上唇の上をなめまわした。

すこし離れて見て、

まだ残っている。

もう一度、

と、言って、顔を寄せたとたん、急に泣き出した。

腹がたって、たまらない。

いつも、蓮の側には、侍女をはべらすようにしていたのに、何で、あの子が一人で声が出なくなるまで、泣かなきゃいけなかったの?

どうして、オッパイの時間です。

って、連れてきてくれなかったの?

小さいけれど、今は、蓮がこの上陽宮の主よ。

主だとは思わなくても、赤ん坊が泣いているだけでも、気になるのが、普通じゃない?

ほほに当てた手は忠王の肩に移っていた。

頭を忠王の鎖骨にあて泣いていた。

今まで、明るく振る舞っていた分、激しかった。

忠王の両手が杏の体を抱いた。

忠王の右手が背中を慰めた。

どうして、ちゃんと世話をしてくれないの?

いる意味がないじゃない。

一体、何をしていたの。

殿下、宮女たちの交替、頼めるかな?

もう、顔も見たくない。

罰してやりたい位、あの人たち、ここでの仕事ぶりだと、どこにも通用しない。

甘やかした私が悪いのだけど、まさか、蓮にああいう形で手抜きする、とは。

許せない。

知り合いだから、少しでも楽させてあげようと。

ちゃんと出来ていなくても、あとは私がするから、って

うるさく言わなかったの。

裏切られた気分よ。

どうせ、あの人たち、部屋の前でたむろして、聞き耳たててたのね。

蓮を放ったらかしにして。

替えれるものなら、全員替えて!

わかった。

私も腹立たしかった。

でも、杏の知り合いだから、悪く言うと、杏が嫌がると思って、何も言わなかったのだ。

私の腹立たしさの分、杖刑十回、いいかい?

杏はうなずいた。




杏、そなたは動揺している。

今日は、疲れただろう。

蓮の側で、すこし休むといいよ。

忠王は杏を抱き上げ、蓮と並べた。

大と小か?

私がはいると、大、中、小。

笑って一人言をいった。

真ん中で寝ていた蓮をすこし寄せ、

杏が寝返りをして、まわりの木枠で体を打ったら痛いおもいをするから。と、

布団をかけた。

あのね、

杏が声をかけた。

ん、何?

顔を寄せてきた忠王の両耳をつかみ、引き寄せ、唇をあわせた。

唇を離して、

今の私の気持ち。


口づけって、口を合わすだけじゃなかった気がする。

どうやるか、わからない。

乱暴なやり方ですね。

突然で驚きました。

御主人様からの口づけは、耳から血がでても大歓迎、

私にお任せください。

忠王が唇を重ねた。

しばらくして、

御主人様、部屋から出たくなくなりましたが、先程の件、どういたしましょうか?

蓮に関することは、優先して。

後は、お願い。

杏、蓮よりもたくさん眠るんだよ。

蓮の母上なんだから、

鼻をつついて、出ていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ