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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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多くの死

東宮で、皇太子の世話をする賛善大夫・杜有鄰の娘が、皇太子の妃である良ていとなっていた。

その良ていの姉が、左驍衞兵曹・柳勣の妻であった。

勣はすっとんきょうな性格で、有名な人が好きで、能力のある人と付き合いたがった。

し川太守裴敦復が、付き合いのある北海大守李ようを紹介した。

十一月、柳勣は上京し、李ようを介して、著作郎である王曹などと友逹になった。

皆、当時の名士であった。

柳勣は妻の一族と、うまくいっていなかった。

困らせてやろうと柳勣は、皇太子が乗っている輿を指さし、

義父の杜有鄰が皇太子に予言書と称して、でたらめを伝えている。

と、言った。

何人もの人の前で言ったのである。

当然、噂になった。

噂を知り、李林甫は、吉温と御史に取り調べを命じた。

結果、柳勣が首謀者であると、わかった。

吉温は柳勣たちを連れて、御史台に入った。

十二月、柳勣、杜有鄰、王曹たちは皆、杖死となった。

大理寺に遺体が積み上げられた。

妻子たちは、遠方に流刑となった。

都も地方も、震え上がった。

李ようの息子、嗣かく王、李巨は義陽司馬に貶められた。

監察御史、羅希せきは李ようのもとに、遣わされた。

死刑執行、殺すためにである。

皇太子は、良ていを東宮から出し、庶人に落とした。

李林甫に、因縁をつけられるのを恐れたのである。

俶との話し合いで、迷いはなかった。

ぎょう郡大守・王きょは連座とされ、江華司馬に貶められた。

王きょは驕っていた。

李ようと皆で自分たちを“先輩”と呼ばせていた。

だが、置かれている状況を恐ろしがっていた。

李林甫はそんな気質を嫌った。

だから、こじつけて、その者たちを排除したのである。

年が代わり、天宝六載(747年)

李よう、裴敦復も死んだ。

李林甫は皇甫惟明、韋堅の兄弟たちに御史を遣わし、“死を賜るよう”に上奏した。

刑の執行のため、また、羅希せきが遣わされた。

羅希せきは、青州から嶺南へと、近くの者から殺していった。

通り道の郡県は、恐れおののいた。

李ようの死の悲惨さが伝わっていたのである。

李適之は畏れて、毒薬を飲んでみずから死んだ。

いたぶられたくなかったのである。

羅希せきが江華に来た。

王きょは毒薬を飲んだが、死ねなかった。

羅希せきがそこまで来ているとわかると、みずから首をくくって死んだ。

羅希せきは、今度は安陸の道を進んだ。

裴寛は殺されたくなかった。

だから、羅希せきに平身低頭叩頭して、殺さないように頼んだ。

羅希せきは赦し、通り過ぎていった。

偉い人が自分に跪いたのが、羅希せきも気分が良かったのだろう。

李適之の息子とうが父親の遺体を迎えに、洛陽近くまで来ていた。

李林甫は、李とうを誣告するように命じ、河南府で杖死させた。

給事中の房かんは李適之と仲が良かったので、連座とされ宜春太守に貶められた。

李林甫は韋堅を恨んでいた。

だから、人を遣わして、江州、淮州で韋堅の罪を探させた。

死の理由が欲しかったのである。

広運潭を掘った時、多くの墓や塚を壊したことがわかった。

だから、一緒に運河を掘った船夫たちも共犯として捕らえた。

牢獄は、人で溢れた。

仕置きとして、衣を剥ぎ取り腹ばいにさせた。

ぎゅうぎゅう詰めであった。

日焼けした背中の中の、たった一つの白い背中が微動だにしなくなった。

その背中を見て、李林甫は、制止した。

皆、凍えて死んだ。

あんなに、お金持ちであったのに、韋堅は裸で死んだのである。

家族の不幸を見とどけさせてからの死であった。

心も苦しめたのである。

韋堅は、幸せ者であった。

余程、憎かったのであろう。

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