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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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李林甫の計画

開元二十九年(741年)

八月、安祿山は栄州都督になった。

それと、平盧兵馬使であったのが、昇進して平盧軍使との謙務であった。

その前に、河北に采報使が仕事ぶりを調査するために、訪れていた。

訪れた采報使に祿山は、たんまりと、袖の下を渡したのである。

また、祿山は勤務地である平盧の上役から、回りの者にまで、常に厚く贈り物をしていた。

だから、誰も祿山を悪く言わなかった。

互市牙郎であった祿山は、市場との関係で便宜をはかり、見えない収入があったのである。

この周りに対する気配りが、結果として表れたのである。

安祿山が栄州都督になった。

李林甫は、ニンマリとした。

計画は順調といえる。

考えに、考えての計画であった。

今は、宰相といえば牛千客しかいない。

しかし、字が読めないから、いないと同じだ。

私の天下だ。

だが、いつか、科挙出身者が台頭してくるのが心配の種だったのである。

陛下は、玉環様に夢中で、政務に関心を示さない。

だから、相談を持ちかけても、深く考えないで返答する。

陛下は、安祿山を気に入っている。

張九齢が諫めても、云うことを聞かなかった。

その安祿山の評判が、すこぶる良い。

いずれ、手いっぱいになった范陽節度使から、長城外の平盧にも節度使を設置するようになるだろう。

あそこには、契丹と奚がいるから手が抜けない。

その時、安祿山を推薦しても認められるだろう。

蕃族の節度使だ。

科挙出身者は学問が出来ても軟弱者だ。

と言えば、説得力を持つだろう。

蕃族は、戦に長けている。

安祿山は、戦功も多い。

学問ばかりしていた科挙出身者とは、比べものにならない。

安祿山を節度使にすれば、前例となり、

節度使に学問はいらない。必要なのは、勇猛さだ。と、科挙出身者を排除出来る。

節度使にさえさせなければ、宰相への道はない。

この頃の陛下は、玉環様のことしか頭にない。

すぐに、我の説明に納得するだろう。

節度使の時、武官顔まけの活躍をした張説の事など、思い出しもしないだろう。

玉環様は、私にとって女神のようなお方だ。

昔の陛下なら、拒まれるようなことが叶うのだから。

ありがたい方だ。

親族にも、我を脅かすような、切れ者はいない。

安祿山を節度使にするために、陰で力を貸さねばな。

字が読めないのだから、朝廷に居ることにはならないだろう。

これで、我は安泰だ。



懐妊して、安心したわ。

実は、私の父と母、なかなか、子どもが出来なかったの。

父上を見たら、わかるでしょう。

もう、五十才越えているの。

ずいぶん、側室を推められたんだけど、縁談の時、母上の事を好きなのに断られたから、いっぱい条件をだして受け入れてもらったそうよ。

その中に、側室は持ちません。

があるの。

だから、母上はなにも云わなかったんだけど、父上の方から断わったそうよ。

だから、父上、私が産まれたら、すごく喜んで、

男がなんだ、女子で良かった。

って。

それ、もしかして、蓮にたいするイヤミ?

ううん、蓮蓮の立場はわかってる。

皇太子の長子だもんね。

皆、男の子を望んでいると思うわ。

蓮、珠珠に嫌われたくないんだ。

一緒にいると、ますます、好きになる。

だから、話を聞いて、ドキッとした。

だから、珠珠が両親みたいでなくて良かったと、思って。

蓮が珠珠に男の子を産んでほしいのには理由かあるんだ。

今回の婚姻で五人の女子を娶ったけど、郡王は正妻が一人であとは“よう”が十人の決まりなんだ。

ようは、側妻、妾ってことだろう。

珠珠を、ようにしたくないんだ。

正妻にしたいと思っている。

だから、珠珠が男の子を産んだら、正妻にするのに、誰も、文句が言えないだろう。

だから、男の子にこだわっているんだ。

わかった、珠珠。




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