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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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警戒・李林甫

父上、何か用でしょうか?

おお、たんも一緒か。

俶に伝えたい事があったのだが、まあいい。

一緒に聞きなさい。

関係ないと思ったら、出たらいいから。


陛下が、三月に年頃の皇子たちの妃選びをすると、云っている。

俶、そなたが選ぶわけではないが、四、五人選ぶことになると思う。

たん、そなたの妃も選ぼうか?

係にも、聞かねばな。

俶は絶対、娶らねばな。

少し早くありませんか?

私なんかは、十五才だったから、早くはないぞ。

俶は、私が十六才の時の子供だ。

だから、陛下には俶が初孫なのだ。

陛下は、俶に男の子ができたら、安心出来ると言っている。

正月が来たから、俶は今、十六才だな。

我が家では、適齢期と言える。

三月に妃選びをする。

だから、一ト月後は、式を挙げるつもりでいなさい。

たんも、選んで欲しいなら、言いなさい。

私は、自分で選びたい。

父上の選んだ女子は、後で文句が言えないからな。

私は、遠慮しとく。

俶は、遠慮できんぞ。

長子だからな。

心構え、しときなさい。

それとも、好きな女子でも、いるのか?

いえ、ご心配なく。



それと、これは忠告だが、宰相の李林甫、

そなたたちも、これから朝議に出るようなるが、出たら感じると思うが、我の挙げ足をとるような事をするのだ。

これまでも、何度か、陛下に訴えを起こしている。

その謀反の話の中で、我が疑わしいと言うのだ。

けれども、いつも、陛下の側で高力士と張きが弁明してくれて何事もなくすんでいる。

どうも、狙われているような気がする。

そなたたちも、常に気を付けていなさい。

李林甫は、人当たりはいいが食わせ者だ。

付き合うな、とは云わないが、挨拶程度にしときなさい。

いや、付き合うなと云っておく。

後でイチャモンをつけられない様にな。

怖いお人だ。

どうも、我が皇太子になったのが、気に入らないようだ。

李林甫は寿王を推していたからな。

だが、寿王の目はもうない。

玉環様が陛下の側にいるからな。

陛下の眼はいつも玉環様を見て、朝廷を見ていない。

李林甫のやりたい放題だ。

朝廷の頂点にいる人だ。

逆らう者はいない。

そのつもりでな。

我も含めて、心配でいかん。

今に、我も謀反人にされるかも。

ただ、我と陛下は強い信頼関係で結ばれている。

我の謀反など陛下は信じない。

心配はいらん。

不安をあおる位云っておかないと、李林甫のにこやかな表情に騙されるからな。

ただ、陛下は御自分が内乱を起こしているから、怪しい芽はつんでおきたいのだ。

だから、噂だけでも知っておきたいのだ。

私を疑っているわけではない。

ああ、それと、玉環様、陛下が死ぬまでお側にいるだろう。

親が早くに死に、幼い時から他人に育てられた人だ。

他人の気持ちを読むのには、長けている。

陛下は、それも気に入られている。

また、武恵妃も食事の好み、気にかけること等、知っている事は伝えたはずだ。

寿王の皇太子就任の後押しをさせるためにな。

だが、こんなふうになるなんて、誰も思っていなかっただろう。

我は最初から、聞かされていたがな。

玉環様には嫌われないように。

一族も、やがて高位にのぼるだろう。

批判的なことは云わないように。

陛下は一兵卒をその場で将軍にできるお方。

李林甫は、陛下に気に入られそうな人を潰している。

優秀で気に入られる。

見た目で気に入られる。

性格で気に入られる。

いろいろあるだろうが、見ても驚かず関与しないように。

何故なぜって?

李林甫は自分の地位が脅かされるのを畏れている。

李林甫はそうやって、自分を守っているのだ。

だからだ。

さわらぬ神に祟り無しだ。


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