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蓮華 代宗伝奇  作者: 大畑柚僖
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出会い

ねえ、にいにい、恋人みたいにして周りを騙そうよ。

丹丹、カッコいい恋人がいるみたいにしたら、若い女の子、にいにいを見て、羨ましがると思う。

フッフ

丹丹、悪趣味だよ。

だって、誰もが羨むカッコいい兄上がいるんだから、利用しなくっちゃ。

父上が知ったら、丹丹、叱られるよ。

元宵節だよ。

皆、自分の楽しみに夢中で、他人のことなんか、気が付かないよ。



さあ、蓮にい、行こう。

丹丹は俶の左腕に、手をまわした。

丹丹、ちい上がもう一緒じゃないから、にいにいとしか、元宵節にこれないんだね。

昔は、みんなで出かけたのにね。

そうだね。

ちい上、必ずはあ上に布で作った縁起物の簪を買ってた。

棺に入れたけどね。

陛下、太真様のこと、大事にしてるんだね。

なんか見覚えがあると思ったら、瑁伯父上の妃だった人なんだ。

丹丹、滅多なことを言うんじゃない。

他の人ならともかく、皇太子である父上の家族は、口にすべきではないんだ。

陛下は、非難されないやり方で太真様を娶ることも出来たんだ。

だけど、私のために陛下は・・

父上から事情を聞いたから、玄宗様のことを私は悪く言うことが出来ないんだ。

私は、悪くは言わないよ。

丹丹も東宮に住んでいるのだから、父上の考えに従ってくれ。

いつもは、丹丹の考えを尊重してくれるにいにいだから・・わかった。

ちい上が一緒じゃないと、なんか寂しいね。

私は王府を構える、広平王だ。

丹丹と一緒に、寂しいなんて言ってられないよ。

にいにいと皆を騙すんだろ。

今日だけは、べたべたしても我慢するよ。

言った口の下、前を歩く男女に眼がいった。

なんか、私たち負けてるね。

人混みの中、年配の男と若い女子がじゃれあっているのだ。

男の腕にぶら下がりながら歩こうとする女子に、その手を振りほどこうとする男が、えらく目立った。

俶が掃き捨てるように言った。

ふしだらな!

喧騒の中、聞こえないはずだった。

だが、若い女子が振り返った。

女子は二人の視線に気が付いたのだ。

二人は、思いがけず見とれ、一瞬表情が止まった。

丹丹は、兄を見た。

俶は見つめたまま、動かなかった。

女子は、男に笑いかけた。

丹丹は言った。

あの二人、父娘だわ。

仲のいい父娘なんだ。

多分、いつもあんな調子なのね。

にいにい、丹丹に付き合って。

丹丹は二人に付いて行った。

しばらく歩くと、宝飾店に入った。

櫛と簪のところで、いくつか並べ、

父上が選んでよ。

父上が選んだら、母上が喜ぶわ。

私、店の中、見てるから。

ウロウロして、鈴のところで止まった。

丹丹も、隣で鈴を見た。

女子は、一番小さな鈴を手にしていた。

もう少し、大きいのにしたら。

声をかけた。

父上、お金、簪ぶんしか持ってきてないから。

母上の簪、贈り物だから、いいの選んで欲しいの。

私の分、予定外よ。

でも、お金、余ったら、買ってもらおうと思って。

あなたも買うの?

迷ってる。

恋人に買って貰おうと思って。

ウフッ、さっき、一緒にいた人?

恋人じゃ、ないんじゃない。

だって、ソックリな顔してた。

エッ。

似てるなんて、言われたことないわ。

そう。

でも、口を半開きにしてたら、ソックリだった。

やっぱり、兄妹なのね。

エヘ、ばれた。

父上、決まった見たい。

じゃ、


緑児、あの二人の後をつけて、父親の名前と、住宅を調べて。

丹丹、なに話してたんだ?

あの娘、金の鈴を買って貰うって。

蓮にい、丹丹にも買って。

いいよ。

私たち、ソックリだって。

驚きだな。

ソックリだなんて、初めて言われた。

二人は、お互いの顔をつい見てしまった。

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