【1】私と魔法世界とノーチート転生?
はいはい現実逃避現実逃避
西アウス大陸…いや三大陸国家なら何処も軽視出来ない一大一党の宗教がある。
それはアウスガイアガルズ統一神教だ。西アウス、中央ガイア、東ガルズ大陸で
嘘か真か遥か遠い古の時代に三大神勢力が天下分け目ならぬ天地分け目の決戦。
最終的に勝ち残った神こそが今の神々の王アウスガイアガルズなんだとさ。
この世界には神々が残したモノが沢山ある。沢山あるので色々端折っていく。
一番重要かもしれないのが魔術だ。神が残した奇跡の力を地上に生きる人の手で
使えるようにした、或いは使えるようにされたのが魔術だ。神の奇跡の技術なのに
魔術と呼ぶのは「(過信せし者には)魔が差す術」だから魔術なんだそうな。
………だから何だってんだよ。こちとらその統一神教会がやってる魔術の才能を
知れる「神卒式」で普通だったら誰でも使える極小魔術さえ使えない
魔技無能認定だぞ?!
「ブッハハw!? デコイwww?! 数万人に一人をここで引くぅwww?!」
クソデカおっぱい女…腐れ縁のジールめ…スカート捲れ上がるのもお構いなしに
腹を抱えて転げ回りやがって…! 14歳に見えないのは頭の中身もか!?
お蔭でただでさえ詰んでた農家の三男坊という立ち位置が余計にゴミクズだよ…!
来年から俺は成人だってのにな!? 地球よりも成人認定クッソ早いから
この気持ちを抱えたままここでも底辺……ああそうか、ここが俺の地獄道か…。
人間道の次って修羅道じゃなかったのかよ…? なにこの無理ゲ…?
「うっwwwぐぅwwwダメwwwこれ以上笑っちゃwww?!」
もうやだこの女…顔とカラダ以外がブサイク過ぎる…! 付き合いきれん!
>
だからと言っても所詮は村人Rな俺ことルヒトである。モタモタ狭い村を
ウロウロしてたら誰かしらの知り合いに合うんじゃい…!
「あ、おーいルヒトぉ~、ルヒトお兄さんや~ぃ」
声のする方に立ち止まって見れば…もう一人の幼馴染―辛うじて腐れ縁回避な
レベル―のサキアーが手をあざとい気がする可愛い振り方でこっちを見てた。
「………何か用か」
「浮かない顔は何時もだと思ってたら今日はより一層ひどいねぇー」
「うるせぇよ。うるうるせぇよ。うるせぇよ…!」
「何ソレ。笑っていーの?」
言いつつもうクスクス笑ってやがる…! クソが…年齢一桁な小っちゃい頃は
「ルヒトおにぃちゃん♪ ルヒトおにぃちゃん★」ってな感じで可愛かったのに!
10歳過ぎてからずっとこんなノリで絡んできやがって! 俺の転生のヌカ喜びと
クソ甘い幻想をジールと共に打ち砕いた片棒を担いでるのは忘れねえぞ!?
「用が無いならもう行っt」
「もしかしてー、本当に魔技無能認定になっちゃったのー?」
「……ッ!」
動かそうとした足が止まった。止まってしまった。以外と刺さるねぇ…。
「……そっかぁ…昔っからルヒトってジール相手に喧嘩とかで
色々と負け越しだったもんねぇー…」
…おかしいと思ったのは5歳くらいの頃。この世界には魔法が実在すると知って
色々と得意な人ら相手に教わって実践を何度やっても上手くいかなかった。
俺の隣でジールはホイホイと身体能力強化に旋風とか出来てたから…
最初は俺の才能はちょっとやそっとじゃ覚醒しない系なんだ…
俺の才能は「明日から本気出す」んだと思ったが…
「…ある意味ではルヒトって持ってるよねぇー」
「俺は未だ本気出してない」…こんなの情けなさすぎる言い訳だ。実際は
「今のそれ/あの時のアレが本気」だって認めてないんだ。認めたくないんだ。
サキアーの真面目に憐れむ視線に…何かもう涙腺が結界しそう…。
「ダメそうなら私がルヒトをお婿さんに貰ってあげよっか?」
「そんな見え透いたわ…な、慰めなどぉいいい要らぬぅッ!!」
「ふ~ん? へ~え? ほ~ぉ? ホントにそれでいいのぉ~?」
「う、ううう…うわああああああああああ!!」
これ以上無様な泣き顔を見られてたまるかと俺は走り去るしかなかった。
大体サキアーの家って牧畜家じゃねえか…泥まみれになるのも嫌なのに
そこにウンも付いてくるなんて冗談じゃねぇ…! たとえ日々の肉と卵とチーズを
モリモリ食べてミルクをガブガブ呑める頻度高くてお前の外見が今も尚可愛くても
これ以上心身ともにいろんな汚辱に塗れるなんて御免じゃい!!
> > >
…あんまりな状況に俺は最近見つけた村はずれの古ぼけまくり苔むしまくりの
大昔の祠っぽい場所で野イチゴとかコケモモとか桑の実をヤケ食いしながら
やるせない気持ちをテキトー手遊び交えながら振り払おうと頑張ってみる。
「……なにこれ」
そうしたら祠の台座が何ともSFちっくな操作盤に見えない事も無かったので、
勢いに任せて戯れに弄ってたらいきなり転移。内装と窓の外からどう見ても
宇宙空間に存在する宇宙船か何かだっ…………は????????
「認証中…遺伝子コード解析…」
えっ? えっ? えっ? ちょ、俺に何か光…?! つか今「解析」て…?!
「待機限度許容限界超超超過…10938年を認証。遺伝子コード照合率LVI.II%…
大憲章V章LXII条III項ニ基ヅキ是ヨリ貴方ヲ、当衛星…戦略対応超人工軍事衛星
プロープグナートルMMXCIX号最上位管理者:銀河帝国第XVII辺境宙域調査艦隊
"ネブラ・ディ・マグナ=ペース"最高司令官ラルウァ=ウィース・スマラグドゥス
帝国属州宙域カタラクタ星圏総督&終身独裁官閣下ノ最近親血統継承者ト判断シ、
併セテ神聖ピスケス銀河帝国憲法第CLXIII条銀河帝国恒星間及ビ領星系内航行法
第XXIII項二ヨリ貴方ヲ当機最上位管理者ト改メ通常運転ヘ移行サセテ頂キマス。
運転方法変更ノ際ハ大憲章II章XXIニ基ヅク範囲デ…」
…何を言っているのかはサッパリわからんが、何が言いたいのかは…わからん!
アレか? 要するに俺が選ばれたヤツになれるとかそういう…? いやでも
ここで憲法の話とかされてもつい身構えちゃうからクッソ困るんだよね…!!!
もう俺の精神ポイントは0を振り切ったんだよ?!
「…と、とりあえず元の場所に一旦帰してもらえませんか?」
「命令承リマシタ。転送地点及ビ周囲データ再登録後、最上位管理者用ナノマシン
&プローブ各種投与ノ為ノ処置ヲ安全且ツ健康生命最優先第一ヲ基本条項トシテ、
当機権限ノ許サレル限リノ責任ヲ以テ施サセテ頂キマスノデ、予メ御了承下サイ。
是ニ関シテハ大憲章XIII章、特級帝国臣民基本主権XXII条…」
「か、帰してくれるんなら何でも良いんで早めにおなしゃす!」
「承リマシタ。管理者健康生命最優先ノ為、緊急麻酔投与ヲ御容赦クダサイ」
―プシューッ!
え、何か明らかにガスを出し、た…お…t…が…d…(_ _)ZZZ…
《I&S&J》
……………あ、苔臭い…?
「うぁッぬしっ!?」
飛び起きたら元の祠の台座の前に横になってたようだ。
「………ゆ、め…?」
<イイエ。投与調整完了カラ39分シカ経過シテオリマセンヨ?>
「ポォウッ?!」
思わず洋ポップの王様のムーンウォーカー風味な変な声が出たわ。
<オハヨウゴザイマス。二代目スマラグドゥス終身独裁官閣下>
……これ…幻聴でもない…のか?
<ハイ。貴方様ノ脳神経ヲ始メ身体機構ニ一切ノ異常ハ有リマセン>
……誰…っていうか…何?
<失礼イタシマシタ。当機ハ貴方様ノ終身独裁官執政補助ヲ担当サセテ頂キマス
"特級帝国臣民専用ナノクラウドインターフェース"ΦCLXXIIデス>
ファイ172…? ってか普通に俺と脳内で会話してるよな…?
<ハイ。当機ハ貴方様ト体内通信デ質疑応答モ可能デス>
剣と魔法の世界にガチくさいSF要素来ちゃったなー……あーそれ自体は
前世から某星大海シリーズとかで大好物だったけどもさ…。
<空想机上科学デハ有リマセン。現ニ当機ハ貴方様ノ体内ニ実在シテオリマス>
……………だよなぁ。ここまでハッキリ電子音っていうか合成音声っぽい響きが
こんな剣と魔法の世界で脳内に直に聞こえちゃってる段階で認めるしかないわな。
<多少ノ齟齬ハ貴方様ガ現在話サレテイルZ-4原住民言語ノ解析翻訳精度ト、
貴方様ガ当機ヲ初メ銀河帝国臣民基礎一般教養カラノ乖離ト、初代スマラグドゥス
終身独裁官旗下艦隊ガ当衛星カラ"ヴァルゴZ-4"ニ降下後10938年以上ノ
消息不明以下多重情報未確認期間ガ原因デアルト推察イタシマス>
…うん。言ってる事が微妙によくわからんが、突っ込むのはヤメとく。
今の俺には知らなくても良い情報は毒だ。とりあえず…
…えーと…? ファイ172で良かったのか?
<ハイ。二代目スマラグドゥス独裁官閣下>
その呼び方だと俺が何者か余計にあやふや感あるからルヒトって呼んでくれ。
<命令承リマシタ。ソレデハ以後基本呼称ハるひと様ト呼称サセテイタダキマス>
うん。逆に呼び捨てじゃない所は何か妙にシックリきて良いね。流石は機械。
組み込まれてたプログラム通りっぽくて不思議と安心するわ。ってなワケで…
一旦周りを窺って…と………じゃあ、またさっきの基地まで一つ転送よろしく。
<命令承リマシタ。転送シークエンス起動シマス…>
何か視界が光ったりすることさえなく俺はまた宇宙空間を望める…
展望デッキというか…何と言うか…?
<此処ハ通常転送人物品搬出入口デゴザイマス>
玄関…エントランスポータルとかそんな感じかな?
<概ネ該当シテオリマス>
…じゃあ…折角だから2時間くらいで教えられる基本的なスペックとか
設備に道具とかシステムとかの簡単なガイド頼むよ…
<畏マリマシタ>
《I&S&J》
…ひょんなことから俺が手にすることになった―半ば強制的(?)に登録された―
超母星外文明人工衛星…正式名「神聖ピスケス銀河帝国スマラグドゥス終身独裁官
旗下艦隊専用戦略対応軍事衛星プロープグナートルMMXCIX」…ベテルギウス級
―銀河帝国殲滅艦空母平均サイズの700倍サイズ―の航空宇宙空母二千を収容可…
…って…ゆーかさ…いや、そもそも…銀河帝国殲滅艦空母平均サイズ自体…
全然知らないからッ?!
<銀河帝国殲滅艦空母平均さいずハ…>
「わぁー!? やめろッ?! 脳みそに直に流すなッ!?」
…ってオイ地球の海上空母平均サイズより軽く15倍とかオカシイだろ…?!
まぁこんなクソ馬鹿でかいデス☆ターみたいな超級有人軍事衛星がある段階で
地球文明もハナクソほじりながら蹂躙できるんでしょうけども…?!
「ダメだ地球基準で深く考えては…!? 俺の脳がキャパオーバーで死ぬ?!」
…眠らされた間にブチ込まれたスーパーギガハイテクナノマシン? は正式名が
「星間生存補佐極小体メガネブラXXII-Γ型ドラコスミュースDLVI」で
この機械によって身体能力を銀河帝国成人基準の3999倍、各耐久力に至っては
俺が暮らす惑星…アウスガイアガルズ<銀河帝国側の呼称はヴァルゴZ-4>で
惑星原住民たちが「古代竜種」と呼ぶ超クソ強大モンスターの平均値相当、
…強さは古代竜種一体で俺が今暮らしてる村が属するグリンベリル王国そのものが
普通に存亡の危機らしいね…? えーと…その平均って………………バカか!?
つまり平均より弱い古代竜種よりは普通に上ってことダルォがぁあああ?!
そんなカッチカチのコッチコチでムッキムキのメッキメキに強くする意味ッ?!
<申シ訳アリマセン。管理者生命最優先第一ノ為、及ビ先代終身独裁官閣下ガ
施工スル予定ダッタすとっく分ヲ全テ使用サセテ頂イタ結果ナノデスガ…
何分帝国人民トノ遺伝子コード差異ガ此方ノ予測ヲ遥カニ上回ッテ…>
「ああ…うん…もういいよ…どうせ戻せないんだろ?」
<大変誠ニ申シ訳アリマセン。当機ノ機構デ帝国人民基本身体回帰ヲ行ウ場合、
当機ノ予測ヲ超々過デ強化変異変性サレタ2代目終身独裁官閣下ノ身体ニ対シテ
通常機器デハ2代目終身独裁官閣下ノ皮膚ニ通常帝国人民用医療注射針ガ通ラズ、
現在可能ナ対応策デハ小型掘削用微小ドリル等デ代用施工スル…人体想定デハナイ
修繕修理行為ニ相当スルノデスガ、ソノ行為トナリマスト当機ノぷろとこる違反+
権限ヲ遥カニ超越権シテイルタメ現時点デハ身体回帰ガ不可能デス…>
「…うん。何となく分かってた…もういいや次」
…自己再生力は<脳が生きていれば超速再生>レベル…俺個人の総合戦闘能力は
調査ドローンによるものだが…待機時間8000年ごろ…約3000年近く前に
アウスガイアガルズで暴れていたらしいネームド人型異形生命体…当時の原住民は
"銀滅のプセヴダルギロス"と呼んでいた…偶々俺が知ってた寝物語知識が確かなら
ぶっちゃけ神話伝説時代の事で今の戦闘の達人達よりメチャクチャ強かったらしい
古代英雄達が八割がた全滅して如何にか殺しきった大王級の吸血鬼と同じだとか。
つまり今も戦略兵器扱いで各国が抱える古代英雄達の遺産な古代魔導武具の数々を
全部投入してそれを扱える精鋭中の精鋭たちを揃えないと勝負にすらならない級の
マジ鬼畜チート級のバケモノにされたのだ。ナノマシンの人工知能さん曰く
「こうなってしまったのは完全に想定外」らしいが何の慰めにもならん気がする。
剰え体内ナノマシンそのものも高出力プラズマ兵器としても運用できるらしく、
某竜玉に出てるフリージングな宇宙の帝王が人差し指立てて「ヒャアーッw」って
笑い叫んで某戦闘民族の母星をサクッと吹っ飛ばした必殺惑星破壊デスボール的な
超巨大プラズマボールを作れるわ…概ねは手から撃てるプラズマビームだったら
余裕で重機関銃級に連射できるというオマケつき☆
「……………は??????Σ(゜□゜;) 一分間で200発の破壊光弾て…!
単なる実弾のヘビーマシンガンだって人間を数秒で生ゴミにするんだぞ…!?」
<体組織ガばるしぇむ星人ノ硬式キチン質ダトシテモ素肌ナラ十秒程度デスネ。
雄大王種ナイシ雌皇帝種デアレバ分カリマセンガ>
いや知らんよそもそも何処のどいつだよバルシェム星人って…?! っていうか
メインの弾がプラズマビームだから魔法の盾とかも普通に貫けそうじゃね?!
つかプラズマって何属性なの?! 確かプラズマって地上で炎、空中で雷だから…
もしこっちでも複合属性扱いだったらチートどころか悪魔怪獣なんでもこーい♪
なんでもこーい♪ ねーんりきしゅーちゅーピーキピキドカン…レベルじゃね?!
「ダメだ深呼吸深呼吸…!! すーはーすーはーすーはー…!」
…まぁいいや…コレの出力って魔力じゃないみたいだから…魔技無能はデコイ…
うん…うっかり何処かブッ放しても目立タナーイ目立タナーイ………っつっても
そんなの誰も見てない所限定での話だけどなッ!? 見つかったら特質です☆
って誤魔化すしかないわけだけども? …つーかさっきから俺の感情の起伏も
両極端じゃね…!?
<目下貴方様ノ継戦能力向上ノ為ニ鎮静物質ト安定剤ヲ投与シテオリマスガ?>
…何てことしてくれやがッたンですかァ?! だからさっきから一瞬で
キモチ悪いくらい冷静になれると思ってたらッ…!? 俺の脳をヤク漬けに…?!
<脳内麻薬近似物質ノ鎮静&安定物質ヲ使用シテオリマスノデ健康ニハ
大キナ問題ハアリマセンヨ? 本当ニ危険ナ状態デアレバコチラデ導眠剤ヲ…>
………やめよう、深く考えるの。前世だってそうやって自爆したじゃん俺?
転生と言う最大かもしれんポジティブ展開…ここで前向きに…バカにならずして…
地球基準じゃ色々アリエネークッソヤベー異世界を生きていけないんだから…。
…だが母星外超文明軍事衛星プローブグナートルのチートスペックはまだある。
銀河帝国の正式名では"次元工造機構ムンドゥスコローナXVIIIーΣ"…ぶっちゃけ
一言で言えば「チート3Dプリンター」としか呼べないシロモノがある。
10938年もの間、俺のいる惑星含め、そこら辺にあったらしい小惑星帯とか
別な無人惑星から集めに集めた物質で耐熱3400℃なタングステン鋼から
普通のブロンズに宇宙ダイヤことロンズデーライトだウルツァイト窒化ホウ素から
こっちの世界でミスリルとか木目鋼とか聖櫃鋼にオリハルコンやアダマンタイト、
星光銀に抗砕鉄にヒヒイロカネと超高級超品質魔法金属に極めて近い特性の
超合金とか色々生成することさえ余裕らしいので、ついつい何ができるかを
聞いてたら俺の中のダメな青少年がウヒョヒョヒョーイと調子に乗りまくって
ロマンの塊なのに普通に動く超装甲戦車に無人爆撃機だ機動戦死種死MAX軍団や
太陽の牙だーグラム! やらそう、こう騎兵Botむズ…? だとか疾風のように
死なば諸共ザブンGRだのスーパーロボット金字塔な魔神ジャーZ&良いも悪いも
リモコン次第でビューと飛んでく別人28号~♪ から伝説巨神出でオォン!?
この反転Xすごいよぉ、サスガ反転Aのお兄さァん黒歴史の絶好調である!
…と、まぁ色々とお腹一杯な巨大メカを己の内なるダメな青少年の気の向くまま
心躍るままに大量製造ってVR試験場で操縦して遊んじゃって…
一番弱い爆撃ドローン一機でさえ完全破壊に対戦車バズーカ級の兵器が数発分!
ドローンの次に強いアンドロイドなら十数発ないし大型ミサイル数発分!
超装甲戦車になるともう…同じスペック一機かレッサードラゴン数頭!
無人爆撃機なんて…総機動力も音速余裕だからソニックドラゴン必須w!
魔神ジャーZだ別人28号なアレらに至っては…マジで古生大賢竜がががwww!
ヒャーハハハヤリスギタァ/(^Д^)\悪夢枠の大軍団に絶対遵守強制魔眼を操る
唯一皇帝にでもなる気かァ俺ェ?! ただでさえ軍事衛星それ自体が宇宙空間から
ほぼ正確にプラズマ含めた破壊光線砲に戦略熱核兵器に超重力波動弾頭ミサイルに
焼き加減KESHIZUMIをお望みなら太陽光収束反射光熱線照射で地上世界を
灰燼ってレベルじゃねえwwwもう大破壊っていうか絶望の日ないし
有無を言わさない超電磁竜巻回転くらいなら余裕でやれるんじゃねえか疑惑のある
お姉様のお姉様によるお姉様の審判の日ですの★♪☆
「よっしゃ。もう何も怖くねえwww…………じゃねえよ!? こんなのバレたら
俺が魔王か邪神かナニかのヤバいモノ認定で色々と終わっちゃうよ?!
デコイ認定からの逆転展開は世界の敵ルートなんてヤだよ?!」
………あー…………………またナノマシンが俺に鎮静剤か何か打った…?
「………まぁ、いいか…ちょっとやそっとの事じゃ死なないってだけでも…
地球以上に命軽そうなこの世界で生きていくって考えりゃ…」
しかし無駄に汗水たらして働くのも嫌でございまするんるんござるんるん。
畑仕事なんて真っ平ゴメンだったから…何であろうと放逐確定なのは
逆にこれでむしろ上等万歳三唱オーイェェアだったんだけど…
「…まぁ、ダメならダメで次元工造機構で金銀貨を偽造するという手もあるか…
まず異世界でもさぁ…ニートライフが一番の平穏…なんだけど…王道じゃない?」
どっちにしても一回は元金を稼がないとダメだってハッキリわかんだね。
しかも表面擦り減り過ぎてビタ銭とかになってないようなヤツが必要。
やっぱりこっちでもビタ銭だと同じ種類の硬貨でも価値が落ちるっぽいし…?
《I&J&S》
色々思うところはあるが、転生ニューライフ十四年目でようやくチート能力が
手に入って一安心した俺。折角だから色々手に入った能力は確認するだけしないと
ダメだよなということで魔物を狩ったり野盗を狩ったりある意味青少年の馬鹿野郎
ロマンチック全開な秘密基地と化したプローブグナートルのセントラルキッチンで
独身男の「おひとり様ならでは豪快料理実験」とかするけど、一見はモブらしく
村人Rな人生を送り、15歳の成人認定までのおよそ一年を無難に過ごす。
…そして成人の日の翌日、前々から今の親にも言われてたように
「このまま家業手伝いで頑張るか、それとも隣町等に出て独り立ちするか」の
問いに「無論独り立ちで」即答でいざ異世界チート生活やったろうじゃんよ?
ということで意気揚々と楽そうな仕事を探すべく隣町までの乗合馬車に
行こうとしたらそこでジールとサキアーがドヤ顔仁王立ちで待ってた。
「魔技無能のくせに…格好つけて独り立ちとかバカじゃないの?」
「キェェェェアアアアデェェェェタアアアア!?」
「ルヒトお兄ちゃーん? 顔がすっごいコトになってるよー?」
ちなみに一応言っておくとドヤ顔は兎も角仁王立ちしてたのはジールだけな?
でも同い年のジールは兎も角まだ成人まで一年先のサキアーは何故に?!
「私、なんと神卒式で火Δ級って言われたのでぇす♪」
「…チッ…」
「ウッソだろお前ェ!?」
何と言う事でしょう。王級含めた上位五等級は成人前でも対応する良い仕事を
選び放題というバブリーな特権があったのです。この世界で鉄は熱いうちに云々~
って言い出した奴が居るなら俺は出来ることなら今すぐブッ飛ばしてやりたい。
ちなみに同じどころか”風Γ級、雷Δ級”という頑張れば宮廷仕えも夢じゃない
エリート認定な超特遇だった筈のジールにも昨年末に「何で探しに行かないの?」
って聞いたら顔真っ赤になっていきなりスピンキックでブッ飛ばされたよ(/_;)
ナノマシン肉体改造強化変性変異のお蔭で身体は痛くないけど心が痛い。切実に。
ちなみに教会の神官さんや学者志向な魔術師が嫌でも教えてくれる才能等級は
R:王等級>A:アルフ>B:ベート>Γ:ギメル>Δ:ディタ>
Ε:イプス>Z:ツェタ>H:エータ>θ:テータ>I:イオタ…
この十段階。ちなΔから一流ないし超一流扱いの上位五等級ね。
まぁデコイの俺には関係ないけど!
魔術の位階は普通にⅰ<ⅱ<ⅲ<ⅳ<ⅴ<ⅵ<ⅶ<ⅷ<ⅸ<Ⅹまであるが、
個人が使える位階の最高は現代ではⅶ位階らしく、それ以上は集団級魔術や
戦略魔術とされてる。個人で使えるⅶ位階も大魔術とか呼ばれるし。
まぁデコイの俺には関係ないけど!! 大事な事だから二回言った!!!
「……まぁ良いか…別に同じ職場になるわけじゃねえし…」
「…ちょっと、そういう言い方って酷くない? ルヒトのくせに!」
このクソデカおっぱい少女…どの口が言うんでせうか? 一々そのデカ乳を
たゆんたゆんさせるんじゃねえ! 命の危険も顧みず鷲掴みたくなるだろうが!?
…バカが、おっぱい揉みたかったら金稼いでそういうお店行けばいいだろ俺?!
「まぁまぁ二人ともぉ、他にも人が居るんだからさぁ?」
…いや、乗合は今三人じゃね? ウチの村って始発か終点だったろ?
…等と口に出すことは憚られる。サキアーはそういう所に水を差すと
後々で地味にねちっこく責めてくるんだ…身体が超チート科学で頑丈になった分、
逆に一層プルプルトゥルントゥルン絹ごし豆腐感が際立ってきちゃった
俺のクッソ弱々めっちゃ柔々お豆腐メンタルにそれはキツイんだぜ。
「そうだな…さっさと乗ろうぜ。御者さんも暇じゃねえんだから」
御年を召した御者さんはこっちの空気を読まず微笑ましそうに見てたけどな。
さては若い頃リア充ヤリ●ンバカンスシュヴァンガーシャフテンフェスタだなァ?
…………あー……ファイ172には鎮静剤お世話になりっ放しだな…。
>>>
グランベリル王国の王都エムロードへ行くならここが乗り換えになるらしい
サフィーロ伯爵領の領都サップヒールスに到着と同時に俺は所謂商人ギルドこと
バイヤーギルドへ猛然とスプリント走行した。
「えっちょ、ルヒトっ?!」
「あれー? 何か普通に足早くなーい?」
普通に走ったら余裕で追いつかれるので少し本気ダッシュしたんだが……
…ちょっと早くない? そもそも神聖ピスケス銀河帝国人民の平均的な身体能力も
知らんしその人らの3999倍って…あ、そうでした…こっちじゃ俺の身体能力は
古代竜種平均でしたわw
「「「………!!」」」
車並みな俺は急には止まれないので突風と共にバイヤーギルドの事務所へ
飛び込んじゃうわけですが…。
「あ、あの…俺みたいなデコイでも出来そうな仕事ってありますか?」
「「「嘘吐けッ!! そんな身体能力で魔技無能とかフザケてんのか?!」」」
ですよね。フヒヒサーセンw
>
まぁ俺が魔技無能ってのはちょっと調べりゃ分かる事だけども。結局のところ
身体能力は最近目覚めた物理戦闘系アビリティ効果だと誤魔化すしかなかったわ。
この世界は魔術だけじゃなく”特異能”なんて「魔力に依存しない」謎多き異能も
全然普通にあるんだよね。オーイェー異世界ないすぅ!
「デコイでもここまで身体能力が高いアビリティ持ちなら…バイヤーギルドよりも
ハンターギルドに行った方が良くないかね?」
「いやー…ハンターってみんな粗捜し大好き民族じゃないですか…?
そんな所に仕事探しに行ってもトラブルしか無いと思いまして…?
そういう意味では実利を見据えるバイヤーギルドの皆様の怖くて頼もしい
経済戦争の審美眼で見定めて頂けた方が良い気がしまして…?」
ホメ殺して割のいいお仕事ゲットさせて頂くんだぜ!!
「…”経済戦争”という妙な言い回しは兎も角、君のそのアビリティ由来の
身体能力を大いに生かせそうな仕事はあるにはあるが…?」
おんやぁ…? あんまり芳しくない反応で…?
「アゼンタス傭兵共和国のクァッド山林地帯演習の荷物持ちの依頼くらいだぞ」
おうふ。肉体派なのは良いけども…思いっきり外国での出稼ぎじゃないですか。
「ほ、他には…」
「君がデコイである以上は魔導ギルドとの提携依頼はありえんし、
当たり前だが通常の護衛や討伐はハンターギルドの既得権益に刺さるからな…
悪い事は言わないからハンターギルドで荷物持ちを薦めるぞ」
おーまいがーし。まんまみーや。おーまいんごっと。にぇっとはらしょー。
>
トボトボと商人ギルドから出て来れば、ニヤニヤしてるジールと
苦笑いしてるサキアーに鉢合わせる。ニヤニヤ顔でお茶御馳走すると言われて
その後の展開は分かっているが渋々従うしかないお財布スリムちゃんな俺。
「ブッハハwww!! 景気よく走り出した結果がwww!!
ダメもうお腹痛いwww!!」
ホントこのクソデカおっぱい女の性格どブスっぷり何とかなんねえかな。
でも茶店で紅茶とチュロスっぽいジャム掛け揚げパンを奢ってもらってる身なので
大人しく笑いものになるのは致し方なし。こいつホントその点がよくわからんな。
つかスカートの捲れ上がり気にしろ。デデドンとおパンツ見えてんだよ。
無駄にエロいの穿くなよお前クソデカおっぱいでもまだ15だろうが。
世が世なら見ただけの俺が捕まっちゃうことあるんだよクソが。
「んで結局ルヒトはどうすんのー?」
「サキアー近いって…」
「えー? 小っちゃい時は抱き着いても何も言わなかったじゃーん?」
「お前もうそんな年じゃねえだろ…」
「………ロリコン」
「お前もサキアーと1つしか違わないだろぉ!? あと俺も”まだ”15な?!
成人認定されたばっかりだからなあ?! 1つしか年違わないからなぁ!?」
ちゃんと言っておく必要はある。だってサキアーは実年齢で鑑みても
背低いからさぁ…クソデカおっぱい女のジールと並ぶと良くて年の離れた従姉妹。
下手すりゃ若い叔母と姪っ子レベルだからなぁ…はー喉乾いたお茶のm
「そだねー。あ、そういえばもう私もルヒトの赤ちゃん産んでいい年だねー?」
「タワバッファ!?」
「あっ…! ちょ! サキアー! サッサとルヒトから離れなよ妊娠する!!」
そんなファンタジー妊娠するわけねえだろクソデカおっぱい! って…!
「あの、サキアーさん何で余計にくっついてくるのでせうか」
「ルヒトがここでお仕事見つからないなら私の実家に来ればいいと思うなー?」
何だこの悪そうな笑顔ッ…女の子は思春期と共に幻惑の魔神と化すのは
世界を問わず古今東西の定めなのでせうか。
「意地でも仕事は見つけてやる…!」
「そ、そうだね! ルヒトなんかと一緒になっても良い事は無いって!」
「えー? 何でジールにそんな事言われなきゃなんないのさー?」
「善意! 善意で言ってんの! ルヒトと一緒になるとかそんなの相当な――
「絶対に意地でも仕事見つけてやるからなぁ!!」
ダッシュで茶店から出る。ともすればまず寝泊先としての馬小屋を探さねば…。
だってしょうがないじゃない。ジールに奢られちゃうくらいに路銀なんて
ロクに持ってないんだもの。魔技高能なジールやサキアーに沢山の餞別あれども、
俺みたいにデコイ認定されたらよっぽどのことが無い限り路銀なんて無いのよ…
まぁ実家から数日分の堅焼きパンと大四角銀貨3枚:3000ゼント貰ったけどさ…
ノーチートだったら情けなさすぎて泣き腫らしてるところだわ。
《I&J&S》
叫んで走り去ったルヒトをジールは追えなかった。奢った揚げパンどころか
お茶もほとんど口を付けてなかったということは、それほどに気にしていたのだと
いう事を嫌でも痛感させられてしまったせいもあった。
「はぁー…」
ちなみにサキアーは直ぐに切り替え慌ててルヒトを追いかけて行った。本来なら
自分が真っ先にそうすべきだと分かっているのだが、動けなかった。
「あああああああまたやっちゃったああああああ! どうしよおおお?!
さらにルヒトが私と距離ををををををををををををををを!?」
周りの客が驚くのも構わずに頭を抱えながらヤベー級にブリッジして
どうしようもなく悶絶するジール。しかしスカートの裾はちゃんと気にしている。
勝負下着を見せてもいい相手くらいは彼女とてシッカリ弁えているのだ。
「でも! でもルヒトだって私のことをクソデカおっぱいとか!? 私だって
好きでこんなに胸がおっきくなったわけじゃないじゃん?! って!!
それを拳とか足じゃなく口で言えよ私いいいいあああああああああああああ!?!
ああああこのままだとまたサキアーにルヒトがあああああああああああああ!?」
ジールは素直になれない。本当は何だかんだでいつも相手をしてくれるルヒトが
誰よりも大大大好きだと豪語したいのだが、いざ本人を目の前にしちゃうと
何だか妙な敗北感と嬉し恥ずかしさで顔から火を噴きつつ拳や足をルヒトに
叩きこんでしまうのだ。生まれて数年でサクッと魔術の高い才能に開花し、
身体強化魔術も村の中で五本の指に入り、剣も槍も杖も斧も弓もソツ無く使えて
顔も良ければスタイルも胸も実年齢から並はずれまくって高レベルだったから
村どころか近隣の街からも告白してくるゴミクズ野郎は沢山いた。勿論この時から
彼女は強くなろうと打ち負かそうと殆ど態度が変わらないルヒトが大好きなので
他の男なんぞはワンパンで沈めた。ルヒトより美男でもワンキックで轟沈させた。
如何に金持ちで将来有望そうであろうとも露骨な態度な連中は股間クラッシュで
「お呼びじゃねえんだよ一昨日来やがれクソ色ヴォケが」してきたジールである。
しかしそんな性分だからルヒト本人にはついつい軽口を叩いてしまい、気が付けば
単なる妹分だと思っていたサキアーの方がジワジワとルヒトとの距離を詰めて
間違いなく何時かルヒトの心を掴みそうな先に行ってる様に焦るばかり。
「………今度こそ…嫌われちゃったかな…」
鼻声混じりでルヒトが残した飲みかけ紅茶と食べかけ揚げパンを
ルヒトが口にした部分を最後の楽しみにしつつもっきゅもっきゅと
しっかり味わい何か邪な妄想をしながらやっつけていくジール。
「どうしたら素直になれるかなぁ…」
物憂げな顔をしても何も知らない野郎どもには通じないものだ。今でさえ彼女の
先の懊悩悶絶っぷりを記憶から除外して声を掛けるか否か悩んでいる者ばかり。
結局ジールは店を出た後でナンパしてきた野郎共を5人ほどワンパンで沈めた。
虫の居所が悪かったので内2人の頭の天辺にエアカッターを掠らせハゲにして…。
《I&J&S》
仕方がないので猟兵…ハンターギルドである。ここでのハンターギルドは魔物や
野盗などの討伐や商隊や行商人の護衛を請負うのがメイン。魔物の部品とか
そういうのはバイヤーギルドで買い取ってもらうのが基本でまかり間違っても
ココじゃ討伐証明以外に使い道は無い。ちなみにどこぞの異世界と違って
全てのギルドは国家の管理下であり、同名ギルド同士の横の繋がりよりも
国家権力との繋がりの方が重要視されるという至極普通の”組合”って感じだ。
だから国外の同名ギルドで活動する際にはまた再登録などの手続きの必要がある。
まぁ国外はそれ以前に最低でも東西南北の交易語の勉強しなきゃダメだけどな!
だから俺はデコイ認定もあり避けたかった。やはりこちらでもハンターギルドで
仕事を請け負う奴らは下手な傭兵や憲兵よりも血の気が多いのは一緒らしく、
ちょっとでも粗が有ればそこから色々と舐められて長い期間足元を見られるのだ。
まぁコレは舐められたら終わりな荒くれ者社会の悪しき伝統みたいなものだから
致し方ないとして割り切っていくとして…。
「はぁ…」
―う…うぅ…
―つ、強え…
―で、デコイのくせに…何て力だ…
―アビリティ持ちとか聞いてねえぞ…
「…聞く前から絡んでおいてそれは無いわ―…」
ハンターギルドじゃどんなに止めても喧嘩が散発するので職員もよっぽどの
大乱闘になりそうな気配が無ければ止めないのだ。だから、あるある展開が
発生しても流石にほんの数秒で惨事が巻き起こっちゃうと逆に対応できない。
「…と、まぁデコイなんですがこれでも一応戦闘系のアビリティ持ちなんで
腕っぷしは間違いないんですよ…?」
「ソ、ソウデスネ…」
ちなみに美人な受付嬢なんて激レア。居ても元腕利き傭兵とかアマゾネスとか
そういう類の男性ホルモンさえ漂うマッシヴ女傑しかいない。なので野郎まみれ。
夢がありそうで無いのが一番辛いと思う。しかもそれが現実なのは異世界でも
相も変わらないというのが…すごく…生々しいです…。
「俺、ぶっちゃけ斬った張ったの立ち回りも嫌いだし平和主義者なんですよ」
「「「 嘘 だ ッ ! ! 」」」
「ですよねー…」
こんな惨状を作っといて平和主義者とか頭沸いてるとしか思われないわな。
「じゃ、あの…登録したいんですけど」
「……初回登録手数料は一律2240ゼントです…」
「なぬっ?!」
俺のなけなしの全財産3000ゼントの大半を一撃で吹き飛ばす手数料ッ?!
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流石にジールも笑いはしなかった。現在地は荒くれ者を片付けちゃったので
閑古鳥が鳴きそうなギルドのフードコート風な駄弁りスペースである。
「…じゃあこの間までの私との触れあ…戦闘訓練も手加減してたって事?」
「うんにゃ、それまでは全力全開っつうかホントマジで必死だったよ」
「そーいえばデコイでも特異質に目覚める人はいるよねー?
つまりルヒトはそーいう系のアビリティに最近目覚めたってことでいーの?」
「………概ねそんな感じかなぁ」
超チート科学ナノマシン強化とアビリティの差なんて誤差みたいなもんだろ。
何度も言うがアビリティはこの世界に居る奴らが一定の割合で魔力とは違う力で
扱う事の出来る特殊能力全般を表す言葉だ。そんなわけでとりま俺はデコイだが
肉弾戦有利系のアビリティに目覚めたという事にしとこうかね。とりま全身から
クッソやべー多様性プラズマ弾大乱射攻撃もできちゃうのは黙っておこう。
「俺はここで当分ハンターとして稼ぐからお前らは王都エムロードへ行くなり、
ここ伯爵領都で名前を売るなりしとけばいい」
「…ルヒトのくせに…」
「そっかー。それじゃー私は此処のマギウスギルドで見習いでもしよっかなー?
それでマギウスギルドの荷物護送の依頼を出してルヒトと一緒に護送とかー?
できたらいいなーって?」
「…ッ!?」
「サキアー…なぜ敢えて俺と一緒に仕事をしたがる…? まぁ嫌じゃないけども。
つか護送任務をピクニックか何かと勘違いしてないか? まぁ楽しそうだけども」
「…っ?!」
「へー? ほほほーぅ? ルヒトお兄ちゃんは寂しがりなんですかねぇー?
しょーがないお兄ちゃんですねぇー? これはもう私の家の婿養子ですかねー?」
「おいサキアーそういうとこだぞ! あんまり男をバカにすんなよ?!」
「小馬鹿にするのはルヒトお兄ちゃんだぁーけぇーでぇーすー☆」
「くっ…! 何てヤツだ…! 親の顔が見…慣れてた…ッ!! ちくせう!!
サキアーはドンタクス小父さんの豪傑さの欠片も遺伝してねえ!!」
「わ、私を無視すんなごるぁー!!」
「うべし?!」
いくらナノマシンのお蔭で古代竜種平均で頑丈になったとはいえ、
痛いもんは痛いのです。大回し蹴りなので今度はバッチリ見えた。色は赤だった。
やっぱり無駄にエロいデザインでした。ありがとうございます脳に焼き付けます。
「ジールぅ? そんなんじゃずっとそのまんまどころじゃなくなるよー?
別に私はそれで構わないし望むところだけどさー? それでいいのー?
私が先に全部さらっちゃうよー? 総取りしちゃうよー?」
「う…?! ぐ…! ぐぬぬ…!!」
サキアーとジールが何の話をしてるのかは知らんし興味を向けてはいけない。
「女の内緒話に首を突っ込んで生きて帰れるのは同じ女だけ」だって今の俺の
父ちゃんが昔遠い目で言ってたんだ…ってオイ親父ぃ過去に何があった…?!
「しかしハンターランクの細かい事細かい事…」
青銅<赤銅<凡銀<黄金<魔銀<木目鋼<飛行金<金剛鏡<聖櫃金<竜化石晶…
ランク識別用金属プレートだけじゃなく等級もあって20等級<中略<1等級と…
まぁ魔物も野盗も無限は言い過ぎだが居なくなるとも思えない世の中だし…?
「そーいえばルヒトお兄ちゃんはハンターランクが黄金5等級からだっけー?
それってすごいの?」
「…さあな…と、言いたいところだが…絡んできたバカどもで向かってきた奴らは
全員魔適性Ι級らしく俺も真剣組手でボッコボコにしたから…」
「ルヒトのくせに…ま、まぁ私は黄金2等級だったけどね?!」
「ジールの場合は魔技高能もあるが…やっぱりどんな武器もソツなく使える所に
大きな将来性を見出されたからなんだろうな。お前はやっぱり凄いよ」
「ふぁっ!? る、ルヒトのくせにっ!!」
「おうふッ?!」
「………」
脇が甘いのかジールのパンチにキレがない気がする…? いや、俺が
強化された体に慣れてきたせいかな…? まぁいいや。
「しかしサキアーもハンター登録するとは思わなかったな」
「んー…マギウスギルドの雰囲気は嫌いじゃないんだけど…引きこもってるのが…
どうにも私の性に合わない気がしてさー?」
「だからってここでハンター登録しなくても王都に行くとかあったんじゃない?」
「あたふた慌てて登録したジールに言われたくないなぁー?」
「…あ?」
「…なぁーにぃ?」
「「………」」
たまにこの二人は俺をネタに弄りまくってたかと思えば急に睨み合いをする。
”夫婦喧嘩は犬も食わぬが女の喧嘩は虫も食わない”…俺の前世のキャッチコピー。
触らぬ神に祟りなし。折角だから依頼書の張り出しでも見とくかな。この時間じゃ
もう塩漬け依頼(※概ね無期限だが高危険度や割合不足ゆえに誰も請けない依頼)
しかないんだろうけどさ。
「………ほほう…」
早速チート3Dプリンターこと次元工造機構さんの出番の予感がしてきた!