第十二章 キセキ視点 近づいて来る存在
「八月※※日
俺は見てしまったよ!!確かに見たんだ!!
今現在時刻は夜の十一時過ぎ、俺は看護師達の目を掻い潜って、屋上へ辿り着いた。隠れられる場所な らいくらでもあったから、なるべく音を立てずに急いでいた。
俺はあの後、ネットでこの病院に巣食っている『死神』についてもっと詳しく調べると、その『死神』 が最も多く目撃されている場所は、病院の屋上だったんだ。
だから俺は真相を確かめようと、これから毎日夜中に屋上を偵察する事にした。初日に会えるなんて 思ってなかったから、このページは破って隠しておく事にした。
俺は屋上の扉の隙間から覗いたんだ。そこに居たのは、確かに『ドウブツ』だった。大きな真っ黒い翼
が月の光を反射して、目は異常な程光っていた。
正直俺はその場から逃げ出したかったけど、好奇心に負けてその場に居続けた。『ドウブツ』はしばら く夜空を見上げながら、急に俺の方を見たんだ!!
俺はさすがに怖くなって扉を閉めて離れたんだけど、その閉めたドアをドンドンと叩く音が廊下に響い て、俺は急いで自分の病室に戻って布団を被ったよ。
幸い帰り際に看護師はいなかったけど、さっきまでずっと我慢してた眠気が襲ってきたから、慌ててこ のノ 」
恐らくソウボは二度寝をした後、昨夜起きた事件の事を一時的に忘れていたから、朝あんなに落ち着いていたんだ。そして最後の文字が擦れていたのも、眠気に負けた証拠。
モエさんに、この紙が一体何処にあったのか聞くと、ソウボの使っていたベッドの下に落ちていたらしい。確かに紙には埃がまだ少し被さったまま。何かの拍子にベッドの下に落ちたまま忘れられていたんだ。
でもこの文字は明らかにソウボが書いた文字、モエさんの話によれば、一ページだけが切り取られたノートも病室から見つかった。つまり、これはソウボが残した『手掛かり』。
ノート切れ端はモエさんが預かり、この病院に潜んでいるモノについて、自分でも色々と調べてみると言っていた。そして、あまりこの件に入院中の私が関わらない方がいいと忠告もされた。
でも、ソウボの行動と翌日の死から考えると、その『ドウブツ』を見ただけでも、ソウボは亡くなってしまった。それに、隣の病室に居た患者さんも、特に『ドウブツ』とは関わりを持っていないのに、突然亡くなってしまう。
つまりその『ドウブツ』を一目で視認しただけでも、その人の命が終わってしまう。『ドウブツ』についての調べを進めるうちに、モエさんの命も危険に瀕してしまうかもしれない。
でも私が見た限りでは、今のモエさんは誰にも止められそうになかった。弟の突然死が相当ショックだったんだろう。決めた事にどんどん突き進む姿は、ある意味ソウボとよく似ていた。でも彼と同じく、モエさんも後を追わなければいいんだけど・・・・・。




