プロローグ
「ウオォォォォオ‼︎」
ボスガルム(正式名称では無い)の前足での攻撃を盾で受け止め、そのまま後衛の元へ行こうとしたボスガルムのヘイトを《ウォークライ》でこちらへ向ける。
また、こちらへ攻撃を仕掛けて来たボスガルムの攻撃を受け止めながら、ヒーラーのエルさんの回復を受ける。
「エルさん、さんきゅ!」
「どういたまして!」
勿論、一方的に殴られてるだけでは無いが、所詮VIT極振りの俺の火力なんかたかが知れてるので、余程余裕のある時以外は全部守りに徹している。
そこにジンが脇を駆け抜けて、《五輪切り》を放つ。
「五輪切りぃぃ!」
…いつも思うんだが、あいつは叫ばなきゃスキルが使えないのか?
しかも侍の格好しながら西洋剣使いやがって…
ヤッベ⁉︎
こんなこと考えてるうちに、いつのまにかHPが1割切っちまった!死ぬ!
「ワォォォォォォォォォォオン‼︎」
このタイミングで遠吠えかよ!
マズイ!麻痺が弾けなかった⁉︎
こんな時に大技使うんじゃねえよ!クソ犬っころが!
いくらパッシヴに確率でHP1で生存するスキルがあるからといって絶対じゃねえし!
ヘイトこっちのままだから足振りかぶってるよ!
「ガハッ」
クッソ、発動したのは良いがクソ痛え。
「回復頼む!」
「任せろ!」
ん?なんでジンが返事をしたんだ?
ガシャン!
そう疑問に思った時には既に遅く、後頭部からガラスの砕ける音が聞こえてきて、俺の視界が暗転した…
第1の街の噴水の前
「また俺だけ死んだー‼︎」
死に戻るとクリア報酬が半分しか貰えなくなるし、デスペナがキツイのに‼︎
ジンめ、あんにゃろー、しばき倒してやる。
HPが1の時はポーション投げつけるなってあれほど言ったのに‼︎
これで3回めだぞ‼︎
ふざけんな!
あいつが居ないとクリアするのが難しいのに、居ても難しいって、どういうことだよ‼︎
ピコーン
あ、倒したみたいだな。
こうなったらレアドロップでもしてないと気がすまんぞ。
どれどれ、ポーチの…えぇっと…見つからんな…
ソートすんのめんどくせー
えー、あ、あったあった。
お、武器じゃん。
いつもは素材系なんだが、武器は初めてだな。
レアドロップだと良いなーっと、
詳細を見ると、
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【騎剣オートクレール】
ATK:VIT×2 VIT:5000 移動速度:1/2
知将オリヴィエの愛用していた剣。
死地に赴く時もその輝きは消えず、
血に染まることで、尚も美しくなる。
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………は?
なんだこのチート剣は⁉︎
VIT補正値も騎士剣の中ではダントツで高いのに、何よりヤバいのがATKだろ。
なんだよVIT×2って…
VIT極振り大歓喜じゃん…
この剣の情報をどうしようか…
俺は直接倒したわけじゃ無いのにチート武器を手に入れてしまったよ…
やっぱね、俺だって男だし?
無双をね、やりたいと思う時だってあるわけだよ。
…一回くらい、良いよね?
みんなには黙っとこ…
「おーい!孤高さん!さっきはごめんなー!」
ジンたちが帰ってきたみたいだな。
満足したし、今日は早めに切り上げるか。
「良いよ、気にしてないし。」
「あれ?いつもはキレるはずなのに、今日はなんかソフトだね。何かあったの?もしかしてレアドロ?」
さすがエルさん、痛いところを突いてくるな…
「いや、ジンに何を言っても無駄だってことを悟っただけだよ。」
「ひっでぇ⁉︎いや、今回は悪かったとは思ってるよ。
だけど、今更だろうがよお〜!」
「あ、そうだ、この後オフで飲みに行かない?」
「俺のセリフスルーかよ⁉︎」
あージンが何か言ってるなー
「あー、ごめん、今日は用事があって行けないわ。
二人で楽しんできてくれ。」
「そうなのね、じゃあ今日は無しにしよっか。」
「また俺を無視かよー!」
「ごめんな。また今度行こうぜ。」
「分かったわ。じゃあここで落ちるわね。またね。」
「おう」
よし、俺も落ちるか。
メニューを開いてログアウトを押す。
視界が白く染まっていった…
「ねえ⁉︎俺のこと最後まで無視⁉︎流石にそれは酷くない⁉︎なんで誰も答えてくれないの⁉︎」
あージンが何か言ってるなー