自分③
更新遅れて申し訳ない
ゴングが鳴ったと思った瞬間の出来事だった。
先生がいなくなっていた。
死んでいた、というわけではなく、文字通りいなくなっていた。
「お前、先生をどこにやった…?」
風の精霊は自分の質問には全く興味のない、というように手を軽く振り、指を自分の足の方に指を向けた。その指の方を見ると、先生は刺身のようになっていた。胴体は綺麗に輪切りにされ、円状に盛り付けられ、その真ん中に先生の首が置いてある。
ふざけるな、と声を出そうとするが声が出ない。精霊が怖かった。腰が抜けて動けない。だが、同時に綺麗だ、と思ってしまった。周りに花が咲き、精霊が赤と白の服を着た美青年に見えてきた。
その美青年に先生にしたことをしてやりたいと思ったし、自分も同じことをされたい。そう思ってしまった。だけど何故だろう。先生の仇を討とうという気持ちにはなれなかった。単純な興味、あんなことをやったらどんな気持ちなんだろう。そう思っている自分がいた。
そんなことを思っていたら精霊が自分の右手を指差す。
見ると、剣になっていた手が切断されていた。
痛い、という感じはないが血が大量に出る。意識が朦朧とする。苦しい。死ぬのが怖い。それ以上に、精霊を殺す、という気持ちが上回っている。だから切断された手の痛みは感じないのかもしれない。精霊の方を見ると、笑っていた。無邪気な笑い。なんの気持ちもなく、自分は何か悪いことをしましたか?と言っている風に感じる笑いだった。だが、その笑顔を見ても、先生の仇を討とうとは思えない。あるのは純粋な殺意、やられたからやり返す、という気持ちだけだった。その思いだけで精霊の方に行き、右手を当てる。
「錬成: 無限剣」
そう言った瞬間に精霊の体から青い剣が大量に出てきた。風の精霊は風になれず、黄金の血を流しながら倒れていた。
「やった———」
思わず声に出して叫んでしまう。観衆が見える。その観衆達が祝福の声を上げる。歓喜の声を上げる。自分は嬉しくなりガッツポーズを挙げようとしたがあることに気づいた。
———————自分の両足がなくなっていた。
この話は、自分をつなぐ物語。
この話は、自分を作る物語。
この話は、3人の人による、神話を作る物語。
この話はまだ続きます。
ゲイボルグ出してなからね。