二つの世界
「俺には妹はいないけど。誰かと勘違いしてないか?」
「そんなわけありません。もしかして、三年会えなかったから恒のこと忘れてしまったんですか」
「まぁまぁ恒、恒星は今日こっちに帰ってきてから何も食べてないんだ。話は食べながらにしよう。」
恒は元いた席に着き、恒星はまだ手のつけられていない食事の置いてある席に着き、食べ始める。少ししてから王が質問して来た。
「一つ聞いてもいいか、恒星。なぜいきなり柊と手合わせをしたいなんて言ったんだ」
「あいつが俺の両親を殺したから仇を討とうと思ったんだ」
王が不思議そうな顔をしている。それから急に笑い出した。
「何を言ってるんだ恒星。確かに我が嫁は殺された。だが、犯人を捕まえたのは柊だ。それに我はまだ生きているぞ」
「俺の親はアンタじゃない。会ったのだって今日が初めてだし。それと、さっきからこっちとか、あっちとか言ってるけど一体なんの話なんだ?」
「この世界とは別の世界があるのだ。 我々は二つの世界を、現実世界、もう一つの世界と呼んでいる。」
パラレルワールドみたいな感じかと聞いてみたが、少し違うものらしい。
「三年前ある事故でリアルの恒星はアナザーの方に行ってしまい、今までずっと探し続けてきて、ようやく見つけたと思ったら」
「アナザーの俺だったというわけか」
どうやら二つの世界では性格などは違うものの、同じ人間がいるらしい。こっちに来てから見知った人がいたのはそのせいのようだ。
それはそうと、恒がさっきからじっと見つめてくるからどうしたのか聞いてみた。
「本当にそっくりですね。あっちの世界のお兄様もかっこいいです。お父様、恒の目でも分からなかったのですから、こっちのお兄様が見つかるまで王子になってもらいませんか?」
「確かに、名案だな。お願いできるか恒星」
「無理に決まってんじゃん。何も言わずに何日も居なくなったら由宇奈が心配するだろ」
「案ずるな。由宇奈にはちゃんと『恒星を借りる』と言ってあるから」
「そんなんで人一人拉致できたら警察いらないだろ」
その後も必死に拒否していたが、結局王子代理をすることになってしまった。
妹の名前は恒と読みます
あと、話の進みが遅すぎるので投稿ペース上げます