日常
朝、いつも通り新聞を取りに行き、郵便受けを開けると一通の手紙が入っていた。
家に入り手紙を見ると“星影 恒星様へ”と書かれていた。差出人の名前はなかったが手紙に切手が貼ってなかったから恐らく近所の人が入れた物なのだろう。
(でも、俺の家にわざわざ手紙を送ってくる人なんていたたろうか?まあ大方予想はついている、というかそんなのは一人しかいない)
“小鳥遊 由宇奈”、整った顔に長い黒髪。彼女を見た人全員が『綺麗だ』と言うほどの美人。ただ、性格は容姿から見てとれる清楚なイメージとは違い、明るく、活発で、よく喋る。俺の幼馴染で、幼稚園の頃からの仲だ。
そんな由宇奈がわざわざこんな改まった手紙を出してきたということはつまり、これは...
『ピンポーン』 そんなことを考えてたらチャイムが鳴った。ドキドキしながらドアを開ける。
「おっはよーう、恒星。あれ、なんか顔赤いけどどうしたの?もしかして風邪?」
(誰のせいだよ、まったく)
「おはよう、別になんでもないよ」
ドキドキを抑えつついつもの表情を作って答えた。家に入ると由宇奈は朝ごはんの準備を始める。
「ごはん出来るまでに学校行く準備しといてよ」
「りょーかーい」
鞄に教材や財布などの小物を入れるだけで準備は終わる。暇になったので朝ご飯が出来るまでテレビを見て時間を潰す。
「恒星ー、朝ご飯できたよー」
由宇奈に呼ばれてキッチンに置いてある料理をテーブルまで運ぶ。ご飯と味噌汁。それと、恒星の好みの焼き加減で調理されたベーコンエッグに水々しい野菜を使ったシーザーサラダがテーブルに並ぶ。
きちんと“いただきます”と言ってから料理ーー主にベーコンエッグーーを食べ進める。
「こら、肉だけじゃなくて野菜も食べなさい」
「無理」
恒星の野菜嫌いに由宇奈は呆れたようにため息をつく。
「そんなこと言ってるからいっつもお腹が痛くなるんだよ。たまに学校行く前にトイレに籠るけど、それのせいで遅刻ギリギリになるんだからね」
「だからといって嫌いなものを強要するのはどうかと思いまーす」
「わかった、じゃあもうごはん作ってあげないから」
「すいませんおとなしく食べます」
(おかしい、由宇奈の様子が普通すぎる。でも、内心ドキドキしてるはずだ。ここは男である俺がちゃんと言おう)
「由宇奈、ちょっと話があるんだけど」
「なに?トイレ行ってきたいならはやく行ってきーー」「好きだ!」
由宇奈の喋りに被せるように告白する。
「えっ、急にどうしたの?」
「返事は!」
「はっ、はい。私も好きです。でも、ほんと突然どうしたの?」
「突然って、今朝お前からのラブレターがポストに入ってたから」
「私そんなの入れてないけど」
由宇奈は不思議そうな顔をして言った。表情を見る限り嘘はついていないようだ。
「じゃああれは一体?」
急いで封を開けて内容を確認してみるとそこには
『本日お迎えにあがります』
と書かれていた。
後書きに書くこと特に無いのですが、何も無いのも寂しいので、一話につき一人登場人物の紹介的なのをしていこうと思います
それと、最新話までの情報が含まれるのでネタバレいやな人は飛ばしてください
星影 恒星(アナザー)
手違いで異世界に連れてかれた上、王子の代わりにまでさせられる事になってしまった今作の主人公。ある男に復讐する事と大事な人達を守る事を生きる目的としている。
武器
刀(数珠丸)
特異体質
過剰感覚
・集中力を高める事で感覚機能を上げる事が出来る
無痛症
・痛みが感じられなくなる