表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海峡を渡る風  作者: ゴッホゴホゴホ
6/6

村長キッブスと息子

「親父、なぜあんなマジリ者を村に入れた?」

井戸の傍に立っていた村長のキッブスが、息子の言葉に眉をしかめた。額を斜めに横切るように黒子が三つ移動し、眉間の皺と合わせて梅干をつくる。顔は似ていないくせにこの親子、不快な表情だけはやたら似る。どちらも本人より、見ている人側が不快になるという意味で。

「仕方ないだろう。マジリ者と言っても勅書持ちではな」

「勅書持ち?あのマジリ者、都の勅使なのか!」

シュレクが目を剥いて驚く。

イクトールの政治中枢は都であるティクトールに集中している。そのティクトールからこんな山奥に勅書がくるとは。まして、呪われた者であるマジリ者が持ってくるとは。

「本物かよ?」


「間違いない」

「何でこんな村に?」

「調査で立ち寄ったそうだ」

「何の?」

「わからん」

キッブスは首を横にふる。

正直なところ気になる。しかしやぶ蛇も困る。あのマジリ者、自らを使者ではなく「調査に立ち寄った者」と言っていた。勅書は保険のようなものだ、とも。つまりこの村が目的、もしくは目的地ではない。

なら下手につつくよりは早めに去ってもらいたい。

勅書の真贋を除けば不審でもない。何せここは辺鄙な山奥。都の上位者が使者に立つ大事より、下位だが身体能力に優れた下層民が、雑用のため寄ったほうがあり得る話。

「とにかく、奴は放置だいいな?」

キッブスの言葉に、シュレクは舌打ちするのだった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ