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海峡を渡る風  作者: ゴッホゴホゴホ
2/6

2 山を走る影 B

森深い山道を、熊の毛皮を被った男が走っていた。左手は包帯を幾重にも巻き、右手は蛇を象った物々しい杖。しかしその杖に意味があるのか疑問なほどの山歩き、否、山走りである。急峻とまでいわずも坂。それを猿か狐のような俊敏さで登る男は、ふと何かに気付き動きを止める。地肌もあらわな崖下に膝をつき、男が唸る。

目の前には壊れた編み傘と、その主と思われる白骨。身元を示すものはなきに等しく、耳があった場所に輪形の耳飾りがあるのみ。

男は耳飾りを拾い上げる。

「穴が五つ。五十代、か」

この地の慣習からそう判断する。

「直接の死因は転落で間違いない。しかし」

視線を移せば、折れた矢が白骨の脇腹あたりに。これが転落を誘ったとなれば、きな臭い。

ともあれ、できることなどない。耳飾りを小さな布にくるみ、それを懐にしまう。

「家族がいれば届ける。安らかに眠り、天に帰れ」

しばし黙礼し男は再び走り出した。こんな山に人は少ない。次に赴く村になにがしか関係のある者がいるだろ。身内か、あるいは。


・・・あるいは。







男は重要人物である。名前はまだない。


次話でようやく話が動く予定。

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