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vivre―黒い翼―  作者: すずね ねね
2章 les derniers adieux
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影【1】

「レイダリアまでの旅には、エミリアン王子も同行することとなった」


エドワールにそう告げられたのは、いざ出発しようという直前になってからだった。

通常レイダリアで姫を嫁がせる際、儀式を通して7日7晩掛かる。

それと前後するように婚姻相手を招くのだが、今回はそもそも一緒に居るのだから、旅も同行させようということらしい。


「クレイアイス騎士団が同行することになる」


「大所帯だな」


「そうだね。だがまぁ、問題はないだろう。何かあれば指揮系統はこちらになる。問題があれば言ってくれ」


「あぁ……そうだ、エドワール。これは噂なんだが、冒険者の間で魔物の生態系に変化があるというものがあってな。お前は来るときに何か聞いたり目にしたか?」


青年が尋ねると、エドワールは記憶を辿るように目を細めた。


「いや……、だが、そういうこともあるのではないか?」


「ないとは言い切れない。だが、そう簡単に生態系が崩れはしないと思うんだが」


「そうか。各地を旅し、色々なものを見聞きする君が言うのならそうなのかもしれんな。レイダリアに戻ったら調査させよう」


エドワールは頷くと、自身が指揮する騎士団に指示を与えるために去っていった。


旅の間の編成は、エドワールの騎士団がオルガの馬車の前方を守り、青年たちの荷馬車が続き、その後ろにエミリアンの馬車と護衛のクレイアイス騎士団、そして残りのエドワールの騎士団だ。

エドワールが指揮する灰狼騎士団は、100人からなる大所帯だ。

そこにクレイアイスの精鋭を集めた15人の騎士が加わることになる。

指揮する男はまだ若いが有望な人材なのだという。


「そろそろか」


整然と並んでいた隊列が動き始め、青年が呟いた。

荷馬車の側で待機していたヴァレリーとファブリスも、前を見据えて頷く。


「杞憂で終わるといいが」


「ま、なるようにしかならんさ」


ファブリスが動き出した列に続いて歩き始める。

ヴァレリーは歩くようにセバスチャンを促しながら、その後に続いた。


青年はエドワールとの伝令と連携を速やかに行えるようにと、馬を与えられていた。

馬の手綱を引いてやりながら、ふとオルガの馬車の方を見た。


すぐ目の前を進む馬車は、窓が少し開いていた。

中からオルガが景色を目に焼き付けるように外を眺めている。


「ヴァレリー」


青年が声を掛けるとヴァレリーも気がついたのか、オルガの方をじっと見つめた。

エドワールの計らいで、気軽に馬車に近寄れるようにはなっている。


「ちょっと行ってくるね」


ヴァレリーはセバスチャンの背で丸まっていたピィを抱き上げると、小走りでオルガの馬車に駆けて行った。


青年の位置からは何を話しているのかは聞こえないが、周りを護衛していた騎士の一人に馬車の中を勧められたのか、ややあってヴァレリーもオルガの馬車に乗り込んだようだった。


旅は順調に進んでいると言えたが、人数が多くどうしても時間は掛かった。

レイダリア国境まで戻るのに、青年たちが費やした倍近くの日数が掛かったのだ。


道中凶悪な魔物に遭遇することもなく、青年とファブリス心配も杞憂に終わった。

そうして3週間近い日数を掛け、一行はようやくレイダリアへと帰ってきたのだった。

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