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六章 驚愕のお買い物

異なる世界でフリーライフ

 


 『デート』。

 それは禁断の妄想。それは究極への一歩。

モテない男が魔力百倍にして襲いかかるものである。

結局相手の男によって撃退され、愛を深めさせるだけなのだが。

まあそんな話はおいといて、だ。

不本意ながらデート?をすることになってしまった男がいる。

毎度おなじみあの男だ。


「疲れが取れてる。いいことだな、うん。」


 宿のベッドで起き上がった陽道は一人でつぶやく。

一日で取れるはずの疲れではなかったはずだが。


―――――コンコン


 ドアをノックする誰か。普段はこんなことはない。

陽道は二つの可能性を考えた。


1.知り合い。


2.白金貨10枚という大金を手に入れたのを聞きつけた盗賊。


知り合いの可能性が高い。まあ訪ねてくる知り合いなど指で数えるほどしかいないのだが。

陽道は「どうぞ」と答えた。入ってきたのは…リリィだった。


「今日は休みだと言ったはずだよ?」


「うん。」


 陽道は「じゃあおまいは何しにきたんだ」と言ってしまいそうになる。

休日に自分に会う理由が分からないのだ。


「買い物。」


(それって…。)


 陽道の頭に『デート』と単語が思い浮かぶ。

すぐに否定するが。


「来て。」


「ちょ、ちょっと待って…!」


 リリィに手を引かれ、部屋から出る陽道。

以外にもリリィは力強かった。


「どこ行くんだよ。」


「色々。」


 商店街のような場所に連れて行かれる。

確かに、色々なものがあった。


「武器屋に防具屋、魔法道具屋…なかなか面白いじゃん。」


 陽道はキョロキョロと辺りを見回す。

元々、少しだけだが買い物が好きだった陽道である。


「うん…なかなか面白いじゃん…。」


 陽道が見た店の、というか屋敷のような場所には『奴隷商会』そう書いてあった。

陽道は少しだけ気分が落ち込んだが、すぐに元に戻す。

自分とは関係の無いことなのだ、と陽道はそう思った。


「どうしたの?」


「いや、何でもないわけじゃないが…大丈夫だ。」


 陽道の表情の変化に心配するリリィにそう答える。

実際、心配してるのかは定かでは無いが。

普段リリィが表情を見せることはない。相手に焦りや緊張といった感情を知らせないためだ。

戦いの中で身についた癖なのだ。


「で、どこ行くんだ?」


「…。」


 リリィは無言で歩き続ける。陽道は逃げるわけにもいかず、ついて行く。

無言の美少女というのは陽道にとってまさに天敵のはずだが、陽道はなんとも思わなかった。

普段なら逃げ出してるが。


「ここ。」


「ここってお前…。」


 リリィが指さしたところ。そこには『不動産』と書かれていた。

おそらく本当は別の言葉なのだろうが言語翻訳の都合だろう。

どのみち家を買う場所であることは間違いなかった。


「入ろ。」


「な、なんで家を買うのかな?」


「お金あるから。」


 つまり今まではお金がなかったから宿暮らしだったが、サラマンダーを倒したおかげでお金が手に入ったので家を買うという。

陽道は僕には関係ないじゃん、と思っていた。

すぐにそれが間違いになるのだが。


「何で僕まで?」


「一緒に住むから。」


「ぶっ!」


 陽道は頭がこんがらがった。かつてないほどに。

心の中で「落ち着け」と念じる。そうすることで何とか落ち着く。

深呼吸を数回する。


「…どういうこと?」


「パーティー、だから。」


「そういうことか。うん…まあいいや。」


 陽道は考えるのを放棄した。あまりに突然の出来事で脳が機能を停止したのだ。

そのうち復活するが。陽道が慣れてるとは思えない。


「はい、いらっしゃいませ。」


 日本の不動産とはずいぶん違う。不動産に行ったことなどない陽道だが何となくそれを感じた。

間違い探しをやりに来たわけではないので、意識を現実に戻す。


「どういった物件をお探しでしょうか?」


 その質問にリリィが答えた。陽道はリリィに任せることにした。


「壁外区」


 リリィはそう答えた。それが何か分からず、リリィに説明してもらった。

まとめるとこうだ。


この王都は四つの壁で仕切られている。一番の外側は『スラム区』。

隔離に近い感じで放って置かれてる。スラムの外からスラムに入ることはできるが中から外に出ることは外から来た人以外は無理。

次に『市街地』。ギルドや宿、商店街がある。ここに家を買うハンターは多い。スラムを通らず市街地に入る道は南、北、東、西の四つ。

その次は『壁外区』。大商人やwantedを倒して儲けたハンターなどが住む。

中心に『壁内区』。貴族と国王が住む場所である。国王の城が一番中心となっている。

この街はこんな感じで円形になっている。


半分くらいが陽道の付けたし。だが、間違いではない。


「で、壁外区か。」


「そう。」


 所持金的には買えないでもない。最低でも白金貨3枚は必要だが。

ひとり十枚持っている『タルタロス』なら買えるのだ。


「では、こちらをお読みください。」


 物件の資料のようなものが渡された。流石は壁外区、全部が大きな屋敷だ。

陽道とリリィは気にいる物件を探す。


「これは?」


「値段見てみろ。」


 リリィが選んだのは白金貨8枚のバカ高いお屋敷だ。そんなの買ってどうするんだ、と陽道は思う。

ハンターには必要ないのだ。精々、精神安定剤になるだけだ。


「最高白金貨5枚だ。」


 探して探して、探しまくる。一時間後やっといい物件が見つかった。

値段は白金貨5枚。少し大きな屋敷だ。


「分かりました。明日鍵をお渡ししますのでもう一度こちらにお越しください。」







  翌日。

不動産にて鍵を受け取った陽道とリリィは自らの家へと向かった。

市街地から壁外区へ入る。鍵を見せればすんなり入れる。


「ここか。」


 西洋風のお屋敷。あまりに大きく、身分不相応といった感じだった。

買えたのが幸運でしかない、陽道はそう感じた。

リリィはなんとも思わなかったが。


「庭も広いな。」


 畑が何個か作れそうなくらい庭が広い。陽道は親が金を持っていたが流石にここまでではなかった。

家の扉を開ける。そこには外に置けよ、としか思えない噴水が設置されていた。

その奥には横に階段が二つ。登ったところに扉がある。

陽道が思ったことは…


「二人じゃ管理しきれねえ。」


 自分が甘かったと思います、そう一人でつぶやく陽道だった。




次回予告

二人だけじゃこんな屋敷管理しきれない。

そう考えた陽道は人を雇うことにした。

メイドや執事そういった人を。

まあどうせなら可愛いメイドがいいが。

だがそれは創作であって…。って居たよ、居ましたよ。

美人で優秀なメイドが。

次回タイトル完全無欠


メイド良いですよね。

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