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四章 魔力と知力


 

『魔法』

 それは全人類の夢。それは完全無欠の技。

どこの世界でも魔法に憧れる人間がいることを忘れないで欲しい。

そのために今日は見本市に出せそうな人間を用意したんだから。

べ、べつに貴方のためなんかじゃないんだからね!勘違いしないでよね。


「よし、魔法だぁ。」


 テンション高めで朝を迎える陽道。

よっぽど魔法を使いたかったんだろう。しかし他の宿泊者なのでやめたほうがいいですよ。

って、聞いてないか。


「さて、行ってきます。」


「気を付けてな。」


 宿屋のおっちゃん、その名もシルレンに挨拶をして宿から出る。

急いでギルドに向かう。


(まだ来てないな。急ぎすぎたか。)


 キュベラはまだ来ていなかった。陽道はギルドの中でしばらく待つ。

十分ぐらいしてキュベラがギルドに入ってきた。


「おはようございます。それでは街の外でやりましょうか。」


「そうですね。」


 陽道はその意見に賛成する。街の中でやればとんでもないことになりかねないからだ。

魔力と知力は共に500まで上げている。何とかポイントを作ったのだ。

そのほかのステータスはガクッと落ちている。


「それじゃあ、ここらへんで。」


 街から少し離れた場所に来た。陽道の心臓はバクバクなっている。

ちょっとした興奮状態だ。


「まず魔法のことを簡単に説明しましょう。」


「お願いします。」


 キュベラは魔法のことを説明し始めた。


 魔法とはオリジナル魔法、元素魔法、特殊魔法の三種類あります。

オリジナル魔法は継承魔法とも言われますね。これは、生まれつきなので伝授することはできません。

元素魔法は炎、風、水、土の四つで構成されてます。魔法の中では最も基本的なものですね。

特殊魔法は時間、空間、闇、光の四つです。こっちは高度な魔法です。僕はこの内の一つ、空間魔法が少しだけ使えます。

それでは実際に使ってみましょう。


「い、いま?」


「元素魔法なら簡単ですよ。」


 陽道は少し慌てて、反応する。慣れてないものは苦手なのだ。

楽しみにしてたということもあるが。


「まずは単純なことから始めましょう。炎の球を作りましょうか。呪文はそれを想像できる言葉なら何でもいいです。」


「え、えーと…。」


 そう言われて陽道は悩む。そして思いつく。

陽道はその呪文を唱える。


「灼熱の火球。」


 バスケットボール程の大きさの火球が出てきた。手のひらの上で浮かんでいる。

陽道としては野球ボール程の大きさでよかったのだが。


「大きすぎませんかね?」


「魔力調節できてますか?」


 陽道はそれを聞いて、「魔力調節?なにそれ?美味しいの?」と思っていた。


「消してください。」


「消えろ。…消えましたね。」


 火球を消す。意外すぎるほど簡単だった。

魔力を少し消費していた。


「魔力量が多いようですね。調節するのは難しいかな。」


「え、ええ。」


 調節とか言われても分かんねえよ、といいそうになるのを我慢する。

短気は損気と自分に言い聞かせる。


「大技ならちょうどいいですけど、細かい技は慣れないうちは無理そうですね。」


「そうなんですか。」


 それなら大技を教えてくれと思う。陽道の魔力と知力は500それを三倍にすれば1500。

常人のステータスではない。


「でもそういった細かい技の方が有利になったりするんですよね。魔法使いはサポートですし。」


「でも…。」


 調節ができないなら意味無いじゃん、と思う。

キュベラは話を続ける。


「魔力調節とは魔法の出力を抑えることです。やろうと思えば出来ます。魔法とは想像力ですからね。抑えられるよう念じてみてください。」


「はい。…灼熱の火球。」


 細心の注意を払い発動する。野球ボールほどの大きさの火球が手のひらで浮いている。

しかし毎回こんな神経を使うのは嫌だと思う陽道。今度やるときは魔力と知力を少なくしようと考えた。


「もう一回やってください。成功すれば次に進みます。」


「灼熱の火球。」


 今度も成功した。陽道の精神はすり減っている。

もう細かい技は出来ない。


「今度は大技です。いざというときに使ってください。その魔法は火柱です。地面から炎の柱を出す魔法です。呪文は自由です。」


「うーん…灼熱の火柱。」

 

 今度は細かい調節などいらない。地面から炎の火柱が立ち上る。

これも普通より格段に強い。


「大技なら決まってますね。」


「やっぱ大技がいいな、うん。」


 陽道はこの魔法が気に入った。後に「火柱の陽道」と呼ばれるのだがそれは別のお話。

陽道は魔法で戦ってみたい、と思うのだった。



「じゃあ次で最後にしましょうか。」


 心を読んだかのようにキュベラが提案する。

最後の技は…。


「火球を操る技です。ずっと手のひらで浮かせてても意味ないですから。」


「そ、そんなこと出来るんですか?」


「出来ます。」


 陽道は無理だと言って欲しかった。それも神経を使いそうだからだ。

長距離ドライブした気分だった。


「まず僕がやるから見ててください。…火の玉。」


 野球ボールほどの大きさの火球がキュベラの手のひらに現れた。

そして、呪文を続けた。


「飛べ。」


 段々と上へ飛んでいく火球。陽道はやっぱ難しそうと思っていた。

キュベラは更に続ける。


「止まれ。」


 手から一メートルぐらい離れたところで火球を止めた。

そして次の瞬間。


「正面の木を焼き尽くせ。」


 火球は正面の気をめがけて飛んでいった。そして木は燃えた。


「やってみてください。」


「……はい。」


 陽道は精神を統一して、火球を出す。

呪文を続ける。


「浮かべ。」


 「飛べ」、だと物凄く高く飛んでいきそうな気がするから「浮かべ」にする。

火球は陽道の手のひらから浮いていく


「正面の木を焼き払え。」


 灼熱の火球が正面の木を焼き払う。陽道はため息をつく。

もうこんなことはやりたくない、なんだかネガティブな感情が浮かんでくる。

何をする気も出てこない。絶望だ。


「あ…魔力切れですね。慣れないうちは使いすぎるものです。しばらく我慢してください。」


「…。」


 反応することさえも出来ない。陽道の心は闇で埋めつくされていた。

そして、二十分後。何とか動けるようになった。

もう慣れないことはあまりしない、そう心に刻む陽道であった。



次回予告

リリィとの活動、何やろうか。

リリィ、それ「wanted」…。

無理だって。無理。

「無理じゃ、無い。」

五章タイトル初めての賞金首

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