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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

極道転生! TS魔法美少女に産まれ変わったのでダンジョン生配信で日銭を稼ぐぜええぇ!!オーホホホ!


 俺の名前は土門綺羅星どもんきらぼし。真島組一家若頭のじゃけえ。


 今日は東方組との抗争中じゃあ。アイツ等は俺の可愛いがってる舎弟をなぶってくれたからのう。


 俺が先人切って焼き入れないとしめしがつかん。


綺羅星きらぼしの兄貴~! もうちょっとで東方組の奴等の事務所制圧できそうですぜぇぇ!」


「あぁ?! 馬鹿野郎! 俺を下の名前で呼ぶんじゃねえ! 土門の兄貴と呼びやがれ!」


「へ、へい。すみやせん。土門の兄貴~!」


「おう。分かれば良いんだ。鮫島。疲れたろう。少し下がって休んでろや。後は俺が乗り込んで制圧してきてやるからよう」


「あ、兄貴~! へ、へい。分かりやした~!」


 舎弟は大事に仕手やらにゃあいかん。それは極道の世界じゃ当たり前の事よなぁ。


 そして、俺は乗り込むゼえ! 東方組の奴等の事務所へとなぁ!



◆◆◆


「オラァァ!! 東方組共。良くもうちの可愛い舎弟をいじめてくれのう! 覚悟せえやぁ!」


「……お! 綺羅星兄貴。さっきようやく制圧した所です」


万梨阿まりあ? なんでぇ。お前が全員やっちまったのか?」


「……はい。兄貴のお手を汚させたくありませんでしたから」


「そ、そうか……それは良い心がけだな」


 ち、ちくしょう。俺の舎弟達の中でも特に優秀な万梨阿に先を超されちまった。コイツは腕っぷしも立つが俺への……


ギュルル!!


「ぐ、ぐおぉお! いきなり腹が痛くなっちまったじゃねえか! 万梨阿。俺はトイレに行ってくる。ここを見張ってやがれ」


「……は、はい。綺羅星兄貴。愛してます」


「馬鹿やろう! 土門の兄貴と呼びやがれ」


 万梨阿の野郎。何か最後言ってやがったが何を叫んでたんだ?


ギュルルルルプリプリ!!


「うぉぉおお!! 腹が痛えぇ!! 今朝食った賞味期限切れの納豆が当たっちまったのがぁあ?! 下痢が止まらないぜぇええ!」



「……綺羅星兄貴の叫び声。素敵」


「く、くそ……ふざけやがって……天下無敵の東方組をなめんじゃねえ……土門の野郎は呑気に下痢か……く、喰らいやがれ糞野郎」


ドンッ!


「な?! お前。まだ意識があったの? 綺羅星兄貴ー! 逃げてえぇ!」


 意識があった東方組の1人が最後の力を振り絞り。手に持っていた拳銃の引き金を引き、1発の弾丸を放った。


 その弾丸は東方組の薄い事務所の壁を簡単に貫通し、土門綺羅星どもんきらぼしが閉じ籠る。トイレ内へと侵入。尻をこうとした土門の腹へと到達した。


ドンッ!


「うしっ! やっと腹の痛みか収まったぜ……後はケツを拭いて東方組の奴等を締めて………なんじゃこりゃああ!! 俺の腹から血がどばどば出てるじゃねえかぁあ!」


「綺羅星兄貴! 大丈夫ですか?」


「………万梨阿……人がトイレ中に勝手に入るなと。散々教えてやった……ろうが……よう」


「綺羅星兄貴?……兄貴?……綺羅星兄貴しっかりして、綺羅星兄貴~!!」


 享年28歳 土門綺羅星どもんきらぼし。東方組事務所にて死亡。



 ……なんじゃあ? 俺は死んだのか? くそ万梨阿の奴は大丈夫なのかよう? 心配だぜ。アイツは俺が居ねえと直ぐに泣きじゃくるからな。


 くそ……意識が薄れて行く……これが死ぬってやつかよう。


「………オギャアオギャア」


 何だ? 俺は死んだんじゃなかったのか? つうかここはどこだよう?


「や、やりましたね。奥さん。元気な女の子ですよ。おめでとうございます」


 あん?奥さん? 馬鹿野郎。俺は男だ。このやろう。


「……女の子。じゃあ名前は綺羅莉きらりちゃんね。このマテリアルに産まれて来てくれてありがとう。私の赤ちゃん」


 あん? 綺羅莉きらりちゃん? マテリアル? 私の赤ちゃん……どういう事だ? 俺の事か?


 ……どうやら俺の事みたいだな。つうかこの状況。アニメで良く見た転生ってやつじゃねえのかよおぉ?!


綺羅莉きらり生誕から14年後》


「ショッカー!!」「ジョッキー!」「ジョーカー!」


「あれは……綺羅莉きらりちゃん。また悪いモンスター達が暴れているよ。魔法少女に変身して退治しよ…があぁ?!」


「誰が綺羅莉きらりちゃんじゃあ。ワレェ! 俺の事は星宮ほしみやって名字で呼べやって何回言えば分かるんじゃあ? マスコット」


「ぐえぇえ! ご、ごめんよ。綺羅莉きらりちゃん。で、でも、今あの悪い奴等を倒せるのは綺羅莉きらりちゃんしかいないんだよ」


「んなぁ分かってるわ。アホォ……ちょっと待っとれ。全世界生配信の準備をするからのう」


「ぜ、全世界生配信って、だから綺羅莉ちゃん。今はそんな事をしている場合じゃ……ぐえぇえ!」


 全く本当にうるさいマスコットじゃ。たかだか道行く若い女の子に自分達の裸体を無償で見せているだけじゃろうがのう。


「ジョッキー!」

「い、いやぁぁ!」

「ジョーカー!」

「来ないで、変態!!」

「ジョリジョリ!」

「い、いやぁぁ! 気持ち悪い」


「き、綺羅莉ちゃん。あの人達。ヤバイよ! 変態さん達だよ。早く倒さないと女の子達のトラウマになっちゃうよ」


「わ~とるわい。準備はもう終わったきに……本番開始じゃあ……ポチっとなじゃ」


「本番? 何をかな?」


「あん? 俺の魔法少女としての生配信に決まっとろうがよう! キラリン! 超絶魔法美少女 キラリだよ~! 今日も全力で悪い人達をお仕置きして、ゴリゴリ懲らしめちゃうからね~! だから皆は私に向かって一生懸命、スパチャを投げちゃってね~! キラリからの大切なお願いで~す! キラリン」


〖キラリチャンキターー!!〗

〖今日もキラキラしてるよ~!〗

〖キラリちゃん。素敵~!〗


「……えっと。君は誰だい?」


 黙れマスコット。このご祝儀スパチヤがなけりゃあ、俺の嗜好品も買えんのじゃ。


「それじゃあ。今日も張り切って殲滅しちゃおうね。マスコッ……ルナルナ。私の魔法のステッキ発動してくれる?」


「え! 駄目だよ。キラリちゃん。あの位の悪い人達は素手で倒さないと。星物スターダストの無駄使いだ……ぐえぇえ?!」


「良いから早うださんかい。ワレェ!! あんな奴等でもなぶり倒してたら時間かかるやろがい。魔法のステッキで殲滅するんじゃ。のう?ルナ公よう」


「……は、はい。今出します。出させてもらいます」


 ルナ公はそう言うとのう。何処からともなく魔法のステッキを出したんじゃあ。


「わぁ~! ルナルナ。ありがとう。そ・れ・じゃ・あ! 発動しようかな。キラリンキラキラ……チャンソーに早変わりしやがれぇえええ!」


「……駄目だ。もう駄目だよ。キラリちゃんの本性が全世界に生配信されちゃったよ~!」


「ジョッキー?!」「ジョリジョリ?」「ジョーカー?」


「ホラホラ! ショッカー君達!! チェーンソーで切り刻んでやるから覚悟しやがれえぇえ!!シャシャシャ!! シャハアァアア!!」


〖……人体の一部が空中に吹き飛んでる。グロ画像〗

〖画面の向こうは世紀末♪〗

〖キラリちゃん。クレイジーでヤバすぎ~!〗


 俺はこの現代魔法社会にTS魔法少女配信者として転生した。そして、その日を生き残るための日銭を稼ぐ為。活動する。


☆☆☆



「ルナ公。火いぃ!」


「ヒィィ!! 了解だよ。綺羅莉きらりちゃん」


「誰が綺羅莉きらりちゃんじゃあ? 俺の事は星宮って名字で呼べって言っとるだろうが」


「ヒィィ!! ごめんね。綺羅莉きらりちゃん、ボク今度から気をつけるからおきゅうえないでよ」


「アホウ。舎弟の面倒は兄貴がみるもんなんじゃあ。そんで舎弟のルナ公の身体がバッキばになってるならよう。お灸を据えて治してやらにゃあ。俺の面子めんつが立たねえだろうがよ」


「だ、だからって、小さいボクに身体全体にお灸を据えないでほしいんだ。綺羅莉きらりちゃん~! ボク、燃えちゃう。身体全体が燃えちゃうよう~!」


「……おう! 花火みたいでそれも風流じゃのう。どれ、ルナ公。いっちょその景色を見せてくれや。あしゃしゃしゃ!!」


「………(この魔法少女狂ってるよ)」


「ふい~! ヤニの代わりにしゃぶるスルメイカは美味いのぉ~!」



《星宮家》


 俺は元の世界じゃあ、ヤクザだったがのう。今は転生して女として産まれたんじゃあ。


 そして、とある目的の為に金が必要で、現役魔法少女配信者として、日々悪い奴等をぶちのめしとるんじゃあ。


 そんで今は生配信が終わり、家に帰宅中なんじゃきぃ。


「……相変わらず。掘っ立て小屋みたいな家じゃのう。ボロボロじゃ」


 死ぬ前の人生はヤクザだった、産まれは裕福な家庭に産まれた。親も普通で大学卒業後、親友のたけしの誘いに乗ってヤクザになった。


 その後に抗争の流れ弾に当たって死にこのマテリアルとか言う世界の現代日本に産まれたんじゃ。ここじゃあ魔法と科学が仲良しこよしらしくてのう。ダンジョンやら超常現象やらが日常的に起こるんじゃあ。


 そんで魔法少女とか言われとる奴等にコスプレして、科学と魔法の奇跡の融合物体ステッキでワラワラとわくモンスター共をなぶり殺しにできるちゅうわけじゃな。


 話がそれたが、俺はこのマテリアルでは女として産まれ、謎の生き物ルナ公のせいで魔法少女として活動する事になったんじゃあ。


 これを金儲けに利用しないヤクザはおらんよな?


「………」


 家の前をボーッと眺める。俺が女として生ました星宮家は、数年前に親父が経営していた会社が倒産。その後、親父はお母に多額の借金を押し付けて行方不明。


 今は俺と一緒に借金を返しながら貧乏に暮らしちょる。


「唯一の楽しみは賞味期限ギリギリで特売で買ったスルメイカをチューチュー擦りきれるまで吸う事だけ、金が入るのぉ……金が。借金を返してお母を幸せにできる位の金が……中に入るか」


 そう。金が入る。だからこの魔法少女の力で配信を行い、日銭を稼ぐしかねえのさ。


「ただいま帰りました。お母様、遅くなってしまい申し訳ありません」


「あら? 綺羅莉きらりちゃん。お帰りなさい。劇団の撮影練習はもう終わったの?」


「はい。お母様、今日も綺羅莉きらりは大活躍でしたわ」


「まぁ、それは凄いわね。流石、私の娘だわ~!」


 壊れかけた扉を開けると、俺の外見と瓜二つの美少女……いや、俺のお母が出迎えてくれた。昔は金持ちだった名残なのかお嬢様言葉で会話をしないとしめられるんじゃあ。

 

 中身は極道者に何をさせるんじゃあ。お母様よう。そして、お母には俺の魔法少女生配信については教えていない。


 うちにはテレビしかなく電話も黒電話じゃあ。つまりインターネッツが通ってない。


 お母はライブ配信なんて言葉も知らんし見れん、俺はそこに目を付けたんじゃあ。ヤクザ人生の時に身につけた。


 闇金式携帯契約をルナ公名義で契約。これでスマホをゲットし、どこでも配信ができる環境を整える事ができた。


 最近配信を始めたばかりだが。評判は上々、チャンネル登録者数も、もう少しで1000人はいくのう。まぁ、お母には俺の絶世の可愛いさに惚れ込んだスカウトマンから劇団に誘われて撮影稽古していると言って誤魔化しているがのう。


綺羅莉きらりちゃん。今日は豪華に月見うどんなのよ。凄いでしょう~? 奮発しちゃった」


「まぁ、それは素晴らしいですわね。お母様、流石ですわ~!」


 少し天然な俺のこの世界でのお母。貧乏なのにいつも俺と入る時は明るく振る舞ってくれるのう。


 ……俺を産んで、ここまで育ててくれた大恩人。この人を幸せにできなくて何が極道者じゃ? 


 のう俺よう。幸せにしてやろうや。この大切なお母様をよう。



「ふい~! お母様の月見うどん美味かったの~!」


「……綺羅莉きらりちゃん。家とお外じゃあキャラが違い過ぎないかな? それじゃあ視聴者さんにドン引きされちゃうよ」


「あん? 馬鹿がルナ公わよぅ。お母様にドン引きされなければそれで良いのですわ」


綺羅莉きらりちゃん。口調交ざってる。綺麗な言葉と汚い言葉が折り重なってるよ。綺羅莉きらりちゃん~!」


「いちいちうるさいマスコットじゃのう。それよりもチャカ出せや。ルナ公……ダンジョン配信を始めるからのう。しゃしゃしゃ!!」


「………悪魔の笑い方だよ。魔法少女の力を授ける娘を間違えちゃったよ。ボク~!」



☆☆☆



「おぉぉ! あぶってしゃぶるサキイカは美味いのう。最高じゃきぃ」


「き、綺羅莉きらりちゃん。生配信前に干し物をライターであぶっちゃ駄目だよ。ここはもうダンジョンの中なんだよ。消火探知機が反応したらどうするの?」 


「黙っとれえ。ルナ公! 俺は配信前にスルメイカ吸ってないと、配信中にイライラして仕方ないんじゃ」


「し、仕方ないって……駄目だよ。綺羅莉きらりちゃん。君は正義の魔法少女キラリなんだ……ももも?!」


「お~! 美味いかルナ公。社会のルールなんてギリギリを攻めないと面白くねえじゃろう? 俺は法律違反で捕まるか捕まらないかのスリルを楽しんでんだ。邪魔するなや、ルナ公よう。しゃしゃしゃ!!」


 く、狂ってる。この魔法少女はやっぱり狂ってるよ~! 助けてロート博士~! 


 ボクが間違ってた。本当に間違っていたよ。こんなとんでもない女の子に魔法少女の力を授けちゃったボクは間違っていたんだ……


《11年前 星宮家》


 ボクの名前はルナルナ・ルアーナ。正義の秘密結社オクタグラムに所属する高性能自立型生物だよ。


 そんなボクが何でこんな場所に居る理由はね。魔法少女と契約して色々な補佐をする為なんだよね。


 それで今日やった来たのは星宮さん家。この家の女の子は魔法の才能と凄い量の魔力を持っているらしいんだ。


 だから今回はその娘を魔法少女にスカウトして、今後増えていくであろうダンジョン被害や謎の敵に対抗する為に一緒戦ってもらいたんだ。


 まぁ、普通はそんな事に関わりたくないって言って断られちゃんだけど。強い魔法少女は居てもらわないと困るしね。


 見込みのある魔法少女候補は意志疎通ができない幼少の頃に契約して逃げられないように……違う違う。この地球の平和の為に一緒に戦ってもらうんだ。


「それで今日の生け贄じゃなくて、ターゲットは星宮ほしみや綺羅莉きらりちゃんか~、いったいどんな女の子なんだろ……」


「おい! そこの黒豚。俺の部屋でなにしちょるんや?」


「え? だ、誰の声? 星宮ほしみや綺羅莉きらりはまだ喋れない筈なの…にぎぃ?!」


「なんじゃ我? 喋れるんか? どんな生きもんじゃきぃ……良く見たら黒豚じゃなくて豚猫じゃったか。紛らわしいのう!」


「ま、待って!、星宮ほしみや綺羅莉きらりちゃん。ボクは怪しい生き物じゃないんだよ」


「嘘コケ阿呆が。こんな喋るマスコット怪しいくないわけがないじゃろうが。どこの組のもんじゃあ? お前。つめられたくなかったらさっさとハケやコラァ!」


 ひ、ひいぃ!! な、何なのこの小さい女の子は何で怖い口調でボクが脅されちゃってるの?


 それよりもなんでこの子はこの年でこんなに言葉がペラペラなの~?


「お、落ち着いて。ボクの名前はルナルナ・ルアーナ。君のパートナーになる高性能自立型生物さ。星宮ほしみや綺羅莉きらりちゃん。君は選ばれたんだよ」


「あ? 選ばれた? 何にじゃあ?」


 よ、良かった。話は聞いてくれる頭は持ってるみたい。これなら丸め込めるね。ボクにゆるりに契約してもらって、どんどん魔法少女として働いてもらおっと。


「うん。君は選ばれたんだ。魔法少女に……星宮ほしみや綺羅莉きらりちゃん。ボクと契約して魔法少女になって……」


「オラァァァ!!」


「ぶるぁぁああ?!」


 ……え? え? え? な、殴られた? ボク。殴られて壁に身体がのめり込んだんだけど。何で?


「何じゃあ? それでのうのうと魔法少女に契約したら。魂が汚れて最後は化物になる中寸法か? それとも宇宙エネルギーの潤滑油か? おう? あんまりなめとると痛い目みる事になるぞ。黒豚」


「ヒ、ヒイィ! そ、そんな契約内容じゃないよぉ。ただボクと契約してもらって、未来に起こり始めるダンジョン被害や化物達と一緒に戦ってほしいんだ」


 労働者として凄く大変になるけどね。


「………お前のその目、にごりきっとるのう。信用できん目じゃあ」


「ギクッ! 何でバレてるの?」


「甘い話しには絶対裏があるもんじゃ。じゃが魔法少女の力か。便利そうで良さそうじゃな」


「で、でしょう! お願いだよ。星宮ほしみや綺羅莉きらりちゃん。今月のボクのノルマも厳しくて、契約が取れないとボク、左遷されちゃうんだ。だからボクを助けると思って魔法少女に……」


「おし! じゃあ、俺の代わりにお前が魔法少女の契約をしろ。それで力は俺が使ってやる。これでお互いWINWINじゃな。しゃしゃしゃ!!」


「そ、そんな! それじゃあボクだけが大変になっちゃうじゃないか。魔法少女の契約なんてしたら身体は疲れて大変なんだよ。綺羅莉きらりちゃ……ぐも?!」


「やっと。本当の事を話したのう。黒豚よう……話せ。お前が俺に隠している秘密を。その後に、お前自身に魔法少女契約をさせて、俺はその力を存分に酷使してやるからよ。しゃしゃしゃ!!」


「いや、いや、いやだあぁ!! いや~!」


 それから十数年ボクは綺羅莉きらりちゃんの魔法少女仮変身媒体の役割として使われ続ける事になっちゃたんだ。


◇◇◇


「よっしゃ~! ボチボチ魔法少女生配信始めるかよぅ。今日も出てくる敵をチャカでバンバンいかせたるわ」


 桜色の髪、アイドルみたい顔、胸も年の割に大きくて綺羅莉きらりちゃんは見た目は凄く可愛くて天使したいな娘なんだ。


 だけど中身が終わっている。中身はただの狂喜染みたおっさんみたいな性格で口調も、怖いヤクザそのものなんだもの。


「うぃ~! ルナ公。魔法少女に変身するからよう、力貸せや。そこから生配信スタートだ」


「え? 待ってよ。綺羅莉きらりちゃん! 焚き火しながらスルメイカを焼いているのに配信するの? そんなの狂っているよ」


「あ? 細かい事は編集でどうにでもなるじゃろう。じゃあ、配信スタート開始じゃあ……星に願いをキラリンチェンジ~! 魔法少女キラリ参上だよ~! 皆、こんにちは~! 今日もこのチャカでバンバン気持ち悪い人達を懲らしめいくから、バンバンスパチャしてね~! キラリからのお願いだよ。キラッ!」


〖キラリちゃんキター……あれ? ダンジョン内燃えてる?〗

〖キラリキラリ~!…………キラリちゃんの後ろに映ってるのって焚き火か?〗

〖それに何か燃やしてるよね? モンスターがそれにつられて寄ってきて、火が身体に燃え移ってる〗


「シャッハーッ! よう分からんがどんどん来いや! 俺のチャカでチャカチャカ言わせてやるわ!」


 だ、駄目だ。この魔法少女。配信をした後、編集できると勘違いしてるよ。これ事前撮りじゃないから、キラリちゃんが繰り広げるとんでもない光景が全世界リアル配信されてるよ。


「最悪の魔法少女だよ。駄目だよあの娘。早くどうにかしないとボクが上から消される前に、綺羅莉きらりちゃんを殺らなくちゃ」


☆☆☆




〖ボクが上から消される前に、綺羅莉きらりちゃんを殺らなくちゃ……〗


「あわわわわ!!」


「………何じゃこれはルナ公よう」


「えっと……これは、これはね。キラリちゃん。これはその違うんだよ。ボクはキラリちゃんをるなんて考えるわけないじゃないか」


「殺る気満々にしか見えないがのう。スゥー……ハァー……ゲホゲホ!!」


 七輪しちりんで焼いているゲソの焼き焦げた煙をヤニの煙代わりに吸ってみたが上手く吸えんのう。


「キ、キラリちゃん。大丈夫? 背中をさすってあげようか?」


「背中を刺してあげようか? じゃと? ルナ公。お前どれだけ俺をほふりたいんじゃあ?」


釣竿の糸の先端にルナ公をくくり付けて、宙ずりの状態のルナ公の下に、炭をいた七輪を下に置いてやる。焼き入れじゃな。


「あぁぁ!! 熱いよ。キラリちゃん! ボクの身体が焼き焦げちゃうよ」


「おう。そうか……人をほふろうとしたマスコットにはお似合いのウエルダンじゃな。つうかこれだけの距離があれば火傷なんて負わんわ」


「ボクの扱いが雑すぎるよ。キラリちゃんはブラック企業みたいだよ~!」


「うるさいわ。ルナ公。これはみそぎと制裁じゃ。お前は俺に弓を引いたからには、責任はきっちり取らせんわ」


「うええんん!! キラリちゃんのバカ~!」


 俺を殺そうとしていて馬鹿とはのう。じゃが俺は見た目は子供じゃが中身は大人。ちゃんと話を聞いて、悩みを解消してやらればならん。


「まぁ、仕置きもこの辺にして理由をちゃんと聞いてやるわ。何が不満じゃあ? ゲロってみろ」


「………ボクに契約を押し付けて、好き勝手魔法を使っているじゃないか。自分の生命力を全然使わないでさ」


 ほう。やはり魔法を使う度に何かしらの身体の代償は支払うんか。


「喋り続けろルナ公よう」


「ロート博士も酷いよ。こんな暴力的な女の子に魔法少女の力をあげちゃうなんて、キラリちゃんは口は悪いし、行儀は……良いけど! 普段の生活は……規則正しいね。生配信の評判は……凄く良いね。何で? 何でこんなに生配信のスパチャ額が凄いの?」


 ルナ公の奴に今日の配信の日銭額を見せてやった。すると動いた金が大きいと気づき、さっきまでとの態度をガラッと変えよった。


「………つまり何じゃあ? 職場環境が最悪だから、俺を殺って職場改善を求めたって事なんか?」


「うん!うん!うん!うん!」


 ……コイツは~! おもいっきり首を縦に振りおってよう。どんだけ俺に鬱憤うっぷんを溜め取るじゃあ? たく……じゃがルナ公は俺の第一舎弟。この問題を放置している場合じゃないのう。


「ルナ公の意見はよう分かった」


「え? それじゃあ。ボクの代わりに魔法契約を書き換えてくれるの? やった~! これでボクも少しは長生きできる……」


「おう。今から本社にカチコミに行くぞ。あのマッドサイエンティストをしめて、職場改善してやるわぁ! しゃしゃしゃ!」


「……マッドサイエンティストをしめる? ロート博士をしめる?……だ、駄目だよ。そんなのボクがクビになっちゃうよ! キラリちゃん~!」


☆☆☆

《1時間後 秘密結社オクタグラム本社》


 本社へ帰って来たとみせかけて、中へと侵入した俺は本社の動力原をファックし、本社で働いている社員共のケツを魔法のステッキでしばき倒してやったわ。


「ぎゃあああ!! や、止めてくれ。キラリ君。ハァーハァー」


「しゃしゃしゃ!! 黙っとれ。マッドサイエンティスト……ルナ公の為に職場改善しろや。ブラック企業様よう」


「あわわわわ!! 止めてキラリちゃん。ロート博士はキラリちゃんにお仕置きされると興奮しちゃうんだよ」


「も、もっと虐めてくれたまえよ。キラリ君」


「ちっ! マゾサイエンティストが。お仕置きしてるから条件をのめや。ルナ公含む謎の物体X共がちゃんと正社員として働ける職場にしろ。じゃなきゃあこの本社を爆破してやるわ」


「キ、キラリちゃん……」


「な、何だね? 私はここの最高責任者だ。幾ら君でも、そんなの無茶な要求のめるわけが……」


「条件を受け入れれば、俺の罵倒ASMRを100通り録音して、お前にくれてやるわい」


「……うむ。それならば直ぐにやろう。今度から魔法で使う魔力をカロリー消費にし、足りない分は本社の動力原で賄おう」


「おう。英断に感謝してやるわ。良かったのう。ルナ公。これでお前が死ぬことは無くなったわ。しゃしゃしゃ!!」


「……そんな。僕達。勧誘者が幾ら抗議しても変わらなかった会社がキラリちゃんの脅しと誘惑で簡単には変わっちゃうなんて、不幸過ぎるよ~! この魔法少女社会はさぁ~!」


「おう。喜んどる。喜んどる……良かったのう。ルナ公よ。これからも俺の舎弟として、ずっといてやるからよう。覚悟するんじゃのう!」


ジー………ピコンッ!


〖キ、キラリちゃんの相方思いに感動!〗

〖職場の環境改善(物理)に敬礼〗

〖一緒ついて行きます。キラリの姉御〗

〖見た目は魔法少女。中身は兄貴〗

〖キラリ!イエスイエスイエス!キラリ! オー、クレイジーフリーダムビユーティフルキュートガール!〗


「……おっと。配信切れ忘れ取ったのう。すまんのう観ててくれた皆。またのう」


ブツンッ!


 俺は慌てる事なく配信終了ボタンを押し、切れ忘れ配信を終えた。だが、これがいかんかった。


 この切れ忘れ配信が全世界に流れた事で、そこそこ見られ始めた魔法少女配信者の俺が、トップ配信者として世界から注目され始めるんだからのう………


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