第36話 裏切り者の誤算
僕――佐竹は爆破のタイミングを待っていた。
アパレル系の店舗に身を潜めたまま壁際に立って全神経を耳に集中する。
(爆弾は二カ所に仕掛けた。それで敵ごと池崎君たちを倒せれば、僕の計画は始まる)
そう思うと商品棚越しにタイジュに確認を取る。
「そろそろだよ、準備はいいかい?」
「わかってる」
よし、タイジュは気づいていない。僕が黙って池崎君たちが逃げるルートに爆弾を仕掛けたことに。
蒸気を噴く者を倒したという報告には焦ったが、復活したなら好都合だ。
僕の一人勝ちが見えてきた。もうすぐだ。もうすぐ、池崎君たちを始末できる。
「よし、来るよ……」
足音が近づいてくると、僕は呟いた。
爆弾のスイッチはタイジュが持っている。僕はここでじっとしているだけでいい。
すぐそこで足音が響くと、池崎君の声が聞こえてくる。
「もうこんな近くに……!」
「逃ガサナイ」
僕が商品棚から覗き込むと、池崎君の後ろにごつごつした巨体が迫っていた。
近すぎる! 全然蒸気を噴く者を引き離せてないじゃないか……!
「おいおい、どうすんだよこれ……!」
タイジュが困惑の声を上げた。
「こうなったら――」
「ガアアアアアアア!」
蒸気を噴く者に飛びつかれる瞬間、池崎君が人間離れした動きで避けた。
すごい、あんな動きができるなんて。
「コノ、チョコマカト」
蒸気を噴く者が池崎君に突っ込んでいく。
不味い……!
池崎君が避けると、ごつごつした巨体がこっちに迫って来た。
商品棚を吹き飛ばし、僕の目の前で蒸気を噴く者が立ち止まった。
「あ、ああ……」
「隠レテイタノカ」
「ぐっ……!」
首をつかまれ、軽々と持ち上げられる。そして僕を持った手を振りかぶると、蒸気を噴く者が通路に向かって物凄い勢いで投げた。
グシャ!
通路の柱にぶつかる音が響くと、全身に激痛が走った。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「今後どうなるの!」
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