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第17話 最強の配信者

 モニタールームは相変わらず様々な映像が壁面に映っていた。

 配信を楽しむ神々のコメントや、プロジェクトセブンデイズに参加している配信者のステータスが表示されている。他にも街に飛ばしたドローン映像も映っている。


「いい登場シーンね、これは」


 小さく微笑むと、私――レイラは化け物に好奇の視線を向けた。

 デスクの上に開いた情報ウィンドウには、映画さながらの映像が流れている。

 人型の化け物に追われ、車が走っていく。かなりの緊迫感だ。背中から蒸気を出して追ってくるなんて、狂気的な光景だし。

 池崎瞬の視点映像を見ながら私はちらっとコメントに視線を向けた。


「すごい。盛り上がっているわね」

『逃げろ逃げろ』

『なんかすげーのいるw』

『あれ絶対研究所から逃げ出したパターンのやつだろ』

『なんか蒸気みたいなの出してるぞ』


 チャットで盛り上がる人間たちを見ていると、自然に笑みがこぼれる。ゲーム企画が成功しているのが嬉しいのもあるけれど、人間のコメントに紛れてハイライトされている神々のコメントが面白い。


『あの硬そうな身体を見ているとジークフリートを思い出すなぁ。やつは竜を倒すために鉄のように硬い肉体を手にしたからな』

『硬いといえばアダマンタイトが思い浮かぶがあの身体とどちらが硬いのかの』


 他のコメントと比べてちょっと浮いているわ。ジークフリートとかアダマンタイトとか、世界観が違うこと言っているし。

 運営側だから神々のコメントだけわかりやすくしているけれど、そんなことを知らない人間たちは、あの硬質の化け物を見て盛り上がっていた。


「あの化け物の名前は、蒸気を噴く者(ヴェイパー)と呼称しましょう」

蒸気を噴く者(ヴェイパー)ですか。わかりやすくていいですね」


 隣のデスクからミランダが話しかけてきた。

 彼女が担当していたプレイヤーは只野椎名ただのしいなに全滅させられたので、私が担当している一千万円プレイヤーのサポートを手伝ってもらっていた。


「この化け物のおかげで神々も大喜びしているわ」

「まぁ一千万円プレイヤーは緊迫感が段違いですもんね。そりゃ退屈で死にそうな神々にはいい刺激になってるでしょう」


 オレンジ色のミディアムヘアを耳にかけ、ミランダが苦笑する。


「しかし、あの化け物は何者なんでしょうね」

「なんらかの原因で変異したゾンビウイルスに感染した者と思われるわ。より強く進化したのね」


 私は断言した。

 このウイルスの感染者は瞳が黄色く光るし、その特徴を受け継いでいるのだからアレはゾンビの変異体だと考えられる。


「一千万円プレイヤーの人たち、みんな生き残ってくれるといいですね」

「ええ、そうね……」


 ミランダに頷くと、私は重々しく息を吐いた。

 この企画はゲームであってゲームじゃない。現実にゲーム要素を組み込んだものだから死傷者が出ることになる。前回はお金に困った債務者たちをプレイヤーとして放り込んだけれど、その際も死傷者がかなり出てしまった。


(これじゃデスゲームね……プレイヤーたちに恨まれて当然だわ)


 今回はよりゲームが面白くなるように配信者たちを集めた。とはいえ、死傷者が出るようなゲームをただの配信者がプレイするわけがない。

 そこで集めたのは底辺配信者や、配信者でありながらどうしてもお金が必要な者たちだ。


「でも難しいでしょうね。蒸気を噴く者(ヴェイパー)なんて化け物がいるんじゃ、彼らに勝ち目なんて……」

「あら? 知らないの? プレイヤー側に化け物がいるじゃない」


 私が唇を不敵につり上げると、ミランダが小さく首を傾げた。


「もしかして、只野椎名のことですか?」

「そうよ」

「いや、確かに彼女は強いですが、さすがにあんな化け物が相手じゃ……」

「彼女の経歴に目を通してないようね」


 やれやれと私は首を振る。その動きにあわせて綺麗な空色の長髪が揺れた。


「只野椎名、本名シエナ・ヘルベルト。彼女はテロリスト育成機関・ヘルベルトの出身で、そこでは子供を訓練や手術で強化し、人間の限界を超えた兵士に育て上げるらしいわ」

「そ、そんな子がなんで配信者にいるんですか?」

「ヘルベルト機関を抜け出して、現在は逃走資金を稼ぐために配信して生活しているらしいわ」

「逃走資金を配信でって、すごい時代になりましたね」


 驚きの表情を浮かべたミランダに私は頷く。


「ええそうね。で、そのヘルベルト機関の最高傑作が只野椎名ってわけなのだけれど、おそらく彼女は人類最強。変異体と人類最強の戦いなんて最高の見世物になるでしょう?」


「面白かった!」


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