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第12話 新しい仲間たち

 佐竹さんのあとに続いてリビングに戻る。中央にある四人掛けのソファーを横切り、ダイニングに行くと、テーブルに六人分のシチューと缶詰が置かれていた。

 そこに三人の男女が座っている。一人はさっき挨拶した天ケ瀬で、あとの二人は若い男女だ。赤毛の男の方はさっき門で見たが、ピンク髪の女は初見だ。


「ではまず、紹介するよ。仲間に加わった池崎君だ。仲良くしてやってれ」


 佐竹さんが紹介してくれると、俺は軽く頭を下げた。


「よろしくお願いします。職業はギャンブラー、運の強さで生き残ってきた感じです」

「ギャンブラーだと? ふざけた野郎だな。こいつ役に立つのか?」

「運が良いなら囮に使ったらいいんじゃない? しぶとく生き残りそうだし」

「おいお前ら、ちょっと酷くないか? 言いすぎ言いすぎ」


 辛辣な言葉に俺は苦笑した。

 短い赤毛の男といい、長いピンク髪の地雷系女子といい、まったくこいつらときたら初対面なのに見下してくるなんて失礼な奴らだ。


「まぁまぁ二人とも。仲間は多い方がいいでしょう」

「そうよ。ギャンブラーだって何かすごいスキルとかアビリティを持ってるかもしれないわ」


 佐竹さんと天ケ瀬がフォローしてくれた。

 それに気分を良くした俺は唇をつり上げた。


「ふっ、なら教えてやろう。ギャンブラーのアビリティ『ギャンブル精神』は課金アイテムを二分の一の確率で半額にし、残り二分の一は五割増しで買える能力だ」

「……」


 みんな黙ってしまった。じっとりとした視線だ。

 なんだこの、こんな世界に来てまでギャンブルしてんじゃねぇよって空気は。

 俺はその空気に耐えかねて口を開く。


「なんだよ、その反応は……まぁ確かに負けたときのリスクはデカいが、勝つ確率は五割なんだぞ? 公平なギャンブルだろ」

「ダメだこいつ、完全にギャンブル中毒者だ」

「何かに熱中してる人は素敵に見えるっていうけど、ギャンブルは別だわ」


 赤毛の男とピンク髪の地雷女が呆れた顔で言ってきた。


(勝率五割は結構な博打だから、やっぱりリスクを考えると課金をするのが怖くなる気持ちもわかる。いやでも、半額は魅力的だしな……)


 などと俺が思っていると、佐竹さんが場をとりなす。


「まぁまぁ、それくらいにして、自己紹介くらいしたらどうだい?」

「そうだな。俺はタイジュだ。職業は土木作業員で、近接戦に強いスキル持ちだから前衛をやってる」


 タイジュは赤毛で目つきが悪い。革ジャンを着たチンピラ風の青年だ。

 俺が「よろしく」と軽く頭を下げると、タイジュは缶詰に手を伸ばした。


「おう、よろしくな。この缶詰は……パンか。うわっ、メープルパンかよ。シチューには食パンとかだろ。甘いパンって……」

「しょうがないでしょ。スーパーのパンは全部カビだらけだし、缶詰パンはこの味しか残ってなかったの」


 ピンク髪の女は無愛想にそう言うと、俺に視線を向けてきた。


「料理担当の海月うみつきよ。今日のメニューはアサリの缶詰で作ったシーフードシチューに、パンは運よく手に入った缶詰パン。味は甘いのばっかりでプレーン味は私の分しかないけど、さぁ召し上がれ」


 テーブルに並んだ料理を示してきた。

 外見は二十歳前後で、ピンク髪を結ってツーサイドアップにしている。しかも服装は、フリルが可愛い黒のセットアップ。これだけ見るとメンヘラそうだが、料理できるなんて家庭的な女だ。

 海月が持っている缶詰パンに向かってタイジュが手を伸ばす。


「おいずりぃぞ。俺にもプレーン味くれ」

「聞こえなかった? 私の分しかないのよ、残念ね」


 すっと缶詰パンを遠ざける海月に、タイジュが探るような視線を送る。


「嘘つけ、まだ隠し持ってんだろ?」

「あ、訂正するわ。私と青井くんの分しかないの」

「てめっ、青井ばっか贔屓しやがって」


 タイジュと海月が言い争う横で、天ケ瀬が微笑む。


「はいはい、喧嘩しないの。海月さん、半分くらい分けてあげてもいいんじゃない?」

「……うーん、まぁそれくらいならいいけど」

「よっしゃ、プレーン味ゲットだぜ」

「天ケ瀬さんに感謝することね」


 タイジュは目当てのパンを貰えてご機嫌だし、海月も素直にパンを渡している。


『シチュー美味そう』

『いいなー』

『天ケ瀬ってママっぽいよな』


 そうだよな。包容力があるっていうか、見た目若いのに大人っぽいよな。

 みんなとのやり取りに夢中でコメントを見てなかったが、ママっぽいという言葉が目に入ると俺は心の中で同意していた。


「僕たち五人に、青井君も入れたのが今のメンバーだよ」


 佐竹さんは自慢げに言った。


「そうですか。良いチームそうですね」

「ああ、みんな一千万円プレイヤーだし、頼りになるよ」


 俺に頷くと、佐竹さんはスプーンを手に取った。


「さ、料理が冷めないうちに食べようか」


 さっきまで死ぬ思いで逃げていたが、落ち着いて飯まで食えるなんて、今日の俺は運が良いな。

 そう思いながら俺は缶詰パンに手を伸ばしたのだった。



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