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29.トロール族

私はデカダンの手の平の上に乗ったまま森の中を進む。


オリビア達はデカダンに注意をはらいながら、一緒に獣道を歩く。



「みんな警戒しなくても大丈夫よ。デカダンって優しい目をしてるじゃない。トロール族って純粋なのよ」


「まったくエマ様には驚かされる。トロールと友達になる人族はいませんから」



私の言葉にエドモンドは肩を竦める。


しばらく歩いていくと大きな樹が伸びている場所に、トロール達の集落はあった。


なんだか前世の日本の縄文時代の住居みたいね。


門を潜ると、多くのトロール達がこん棒を片手に集まってくる。


それを見たデカダンは片腕を大きく広げた。



「この人族達は族長に会いにきた客だ。だから喰ってはダメだぞ」



デカダンは片手を振り回し、ズンズンと歩いていき、一軒の竪穴式住居の前で私をおろした。


住居の中に入るとデカダンよりも一回り大きなトロールが厳めしい顏で座っていた。



「デカダン、この人族達は何者だ! 我々トロール族は人族に虐げられたきたのだぞ。その恨みを忘れたか」


「族長、この人族は変わっているぞ。俺達と友人になりたいそうだ」


「友人? 人族は我等を謀るから信用はできん」



ジロリと族長は私を見て、体を持ち上げてこん棒を手にする。



「人族は全て皆殺しだ!」


「ちょっと待ってほしい。この娘はワシをバカになどしなかった。ワシのことを友達と言って、手の平にも乗ってくれたのだ」


「それだけで心を許すから、トロールは知能が足りないとバカにされるのだ! デカダン、その人族に騙されているのがわからないか!」



デカダンは私達を庇って、両手を広げて族長を止める。


私はデカダンの足に片手を置き、もう片方の手を広げる。



「私はクレタの街の街長のエマ。デカダンの言ってることに嘘はないわ。私達は争いに来たんじゃないの。あなた達トロール族と友達になりにきたの」


「人族の言葉は信じられん」



トロール族の族長は私に顔を近づけ、険しい表情をする。


すると私の後ろから歩いてきたホプキンが両手を広げて、族長を見る。



「ワシはドワーフ族のホプキン、エマは亜人だからとバカにする人族ではない。ドワーフ族が証明しよう」


「おらは獣人族のゴンベだ。エマは優しい女の子だ。エマは嘘なんてつかないだ。いつもおらに優しくしてくれるだ」


「俺は鬼人族のジドウだ。俺もエマが作った街に住んでいる。エマは鬼人族だからといって怖がったりしない。みんなを平等に扱ってくれるんだぜ」



ゴンベもジドウも前に出てきて、私の弁護をしてくれた。


私の隣に来たグレースが族長を指差す。



「エマはね。街へ逃げてきたゴブリン族やコボルト族も受け入れたのよ。ゴブリン族なんて街に来てから、体もキレイに洗って、キレイな服を着て、街で楽しく暮らしてるわ。エマは亜人種の味方よ。だからトロール族とも友好を深めたいって、わざわざ森の中まできたんじゃない。人族のことは信じなくていいから、エマのことは信じてあげて」


グラースが、そんなことを思ってたなんて知らなかったわ。


だって亜人達って種族によって色々な個性があって楽しんだもん。


族長は体を持ち上げ、顔を左右に振る。



「トロール族が『暗闇の森』の三分の一を占領したから、人族はトロール族の森を盗もうとしているに違いない。ワシは騙されんぞ」



ギギギー、ギシッという軋む音が聞こえ、竪穴式住居の屋根が空中へ持ち上がっていく。


両手で家を持ち上げてガイアが姿を現した。



《トロール族の長よ、エマを信じよ。我はエマの友人だ。エマと争うということは我等ドラゴン族と争うということだぞ。それでも良いのか?》


「ドラゴンとも友人になっているのか! いかなワシ等でもドラゴンには勝てぬ。ワシ達もエマと友好を結ぼう。しかし友好を結ぶのはエマ個人とだ。人族は好かぬ」


「それでいいわ。人族を代表してお礼を。ありがとう、族長」



ガイア、シド、空から助けに来てくれたのね……でも族長の家を壊しちゃって大丈夫なのかしら?



その日はトロール族の集落で宴会が執り行われた。


ガイアは集落の外れに降り、酒を飲んでいる。



「だからトロール族はつまらんのだ。酒も飲まぬ人生など、何が面白いのか」



ドラゴンの人生だから……ドラゴン生では?


でもトロール族がお酒を飲まないなんて知らなかったわ。


何でも飲んで食べるイメージなのに。



族長は鹿の丸焼きを食べながら、ジロリとガイアを睨む。



「ワシ達は生まれた時から酒は飲まぬ。酒を飲むと目も回るし、気持ちが悪くなるからな。あんな地獄は二度と味わいたくない」



族長さん、お酒を試したのね……そして下戸だったんだー……



私達はダンカンから焼いた鹿肉をもらい、少しづつ食べる。



「族長さん、ゴブリン族やコボルト族、他の亜人族達も『暗闇の森』に帰りたがっている者達がいるの。だから彼等に戻る場所を作ってあげてほしいんだけど」


「それはできぬ。ワシ達は『暗闇の森』の一部を占拠はしているが、全ての『暗闇の森』の統治は魔族の者達が管理している。ワシ等トロール族は奴等にとって駒にすぎん」



え……既に『暗闇の森』は魔族の管轄になってるの!?



私達が思ってたより、ずっと早く魔族達が活発になってる。



このままだとクレタの街が危ないかも……


早く魔族と仲直りをしちゃくっちゃ!

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