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23.ドラゴンと宴会

私、シド、レイラ、ジドウ、竜人族の二人は大空でドラゴンと対面していた。


巨大なドラゴンの顏が私達の目の前にあり、大きな口や牙、鼻の穴が見える。


ドラゴンは臭い息を吐き、私達を睨んでいる。



《最近、『暗闇の森』を騒がせているのはお前達か?》



身振り手振りを使って、私は必死にドラゴンへ訴える。



「それは違うわ! だって私達、森の中に住んでいないもの!」


《それでは何をしにきたのだ? 用がなければ自分達の住み家へ帰れ!》



……それはできないわ! 


……だって私達はスタンピードを止めないとダメなんだから……



ドラゴンへ何と説明しようか迷っていると、レイラが大声を張り上げる。



「私は『暗闇の森』のエルフ族のレイラ。ドライアドの系譜に連なる者よ。『暗闇の森』の混乱を収拾するために、魔族へ会いにいきたいの。だからこの場を通して」



《ドライアドに連なる者か。それでは喰うわけにはいかぬな。『暗闇の森』の騒ぎを収拾するというのは誠か?》


「だって、今回の騒ぎは『漆黒の森』で魔族が活性化したのが原因でしょ。だからオーク、トロール、オーガ達が『暗闇の森』を戦をおこして、他の亜人達を追い出したの。それが原因で、今、森の中でスタンピードの兆候が出てるわ。それを止めたいの」



私は必死になってドラゴンへ訴える。


ドラゴンは威嚇を止めて、静かに私を見つめている。



《スタンピード? それは何だ?》


「魔獣達が興奮や恐怖で暴走することよ。このままだと『暗闇の森』はめちゃくちゃになるわ」


《それで魔族に会えば、本当にスタンピードは止まるのか? お前達が魔族達に殺されて終わりであろう》


「私達の街が潰されそうなの! 何もしないで黙ってジッとしているなんてできないわ!」



私は大声を出して両手を振る。


ドラゴンは翼をはためかせながら、ブフーと鼻息を吹いた。



《我も自分の巣を壊されるのは我慢できぬな》


「住み家を荒されたら許せないわよね! あなたはドラゴン、魔獣の王、大空の覇者だもの!」 


《我は王か? 覇者か?》


「ドラゴンと言えば魔王も恐れる魔獣じゃない! 大空の覇者に決まってるわ!」


《そう我は王で覇者だ。もっと褒めてよいぞ》



あれ? ドラゴンの顏って表情がわからないけど、なんだか喜んでる?


もしかして……チョロインさんかも……



私は胸の前で両手を握って、ドラゴンに懇願する。



「偉大なる空の王よ! どうか我が街へお越しください! お酒も料理も出して、おもてなしいたします!」


《うむ、苦しゅうない! 案内いたせ!》



そう言ってドラゴンは空高く舞い上がっていく。



なんだかよくわからないけど、ドラゴンに食べられる危機は脱したわ。



私達はドラゴンを案内しながら大空を飛ぶ。


そして街の上を旋回して邸の裏庭へ到着した。



ドラゴンが街の上を飛んだ時、下で人々が逃げ惑って悲鳴をあげでたけど……これって大丈夫なの?



とりあえず見なかったことにして、私はドラゴンへ振り返る。



「ここが私達の街、クレタよ。素敵な住み家でしょ」


《小さき者達の住み家にしては良い街だ。以前に我が破壊した街よりも大きい》



サラっと物騒なこと言わないでよ!


とにかくドラゴンに、この街を気に入ってもらわないと……


そうしないとドラゴンに守ってもらえないだから。



私は両手を大きく広げて、ニコリと微笑む。



「ごゆっくりしていってね。何か欲しいモノがあれば、用意するわよ」


《それでは酒がほしい。昔、人の酒を飲んでハマってしまってな。ワハハハハ》



ドラゴンって酒好きだったの? そんなの聞いたこともなかったわ!



私とドラゴンが話しをしていると、焦った表情をしながらホプキン、リアム、グレースが裏庭に現れた。



「エマ、いったい、これはどういうことじゃい?」


「経緯は後で話すわ。今は大至急でお酒を持ってきてちょうだい。クレタの街にあるだけの酒を集めてきて」


「よくわからんが、酒のことなら任せておけい」



酒と聞いて、ホプキンは満面の笑みで胸を拳で叩く。


そして身を翻して、リアムとグレースに声をかける。



「今日は宴会じゃ。酒をジャンジャン集めるぞい」



え? 宴会? そんなこと一言も言ってないけど?


ドワーフはお酒が大好きだったわね……


みんなもスタンピードのことで不安そうだから、今日ぐらい宴会をしてもいいかな。



太陽が西に傾き始める頃、邸の仲間達はそれぞれに酒樽を持って庭に集まってきた。


ドラゴンの前に、どんどんと酒樽が積まれていく。


私達はドラゴンを囲んで昼間から宴会をすることにした。


私は胸を張って、両手を広げる。



「さードラゴンさん、お酒を用意したわよ。飲んで飲んで!」


《うむ……数十年ぶりの酒か……ワクワクするわい》


「酒と聞いては黙っておれん! ドラゴンよ、ワシと飲み比べじゃ!」



……ドラゴンの大きさと比べると、ホプキンの大きさなんて百分の一よ。


ドラゴンに勝てるわけないじゃない。



《よし、望むところだー。ワハハハハ》



ドラゴンは目の前の酒樽を器用に口に加え、空を放り投げてバキバキを樽を噛み砕いて呑み込む。



ヒョイヒョイヒョイ……バキバキ……ゴクゴク……


うわー、めちゃ豪快! 


酒樽をパクパクと口の中へ入れるなんて。



それを見たホプキンが顔を赤くして上半身の服を脱いで放り投げる。



「ワシも負けてられん!」


「女の子の前で脱ぐんじゃないわよ!」



グレースは慌てて走っていき、ホプキンの頭を平手で叩く。



うわー……ホプキンのお腹って脂肪だと思ったら、筋肉だったのね……胸毛がスンゴイ、モサモサ……



私達が騒いでいると、ドラゴンは体を起して翼を大きく広げる。



《良い気分だ……少しツマミを食べてこよう》



ドラゴンは翼をはためかし、上空へ舞い上がると、すぐ近くの森まで飛翔し、森の中へと下りていった。



ギャオーン ゴォァアーーー ギャァアアー



遠くから魔獣達の声が聞こえてくる。



いったい何が起こっているのかしら?

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