表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/30

16.みんな友達、みんな仲間

ネージンの街で、下着姿で引き回されたゲスキワード男爵は、それから邸にこもりっきりで、人前に出なくなったという。


少しは懲りてくれたらいいんだけど……


私、エラ、グレースの三人は応接室で、今後の対策について話し合っていた。


グレースは紅茶を一口飲んで、皿に置く。



「あの男爵、このまま引き下がるとは思えないわ」


「ええ、あれだけの辱めを受けたんだから、相当、エマのことを恨んでいると思うわ」


「え? どうして私なの? 引き回しをしたのはオリビア達じゃない?」


「だってクリタ村の村長はエマでしょ。村民のやったことは村長の責任だからね」



うわー、みんなノリノリでゲスキワード男爵をオモチャにしたのに……。


恨まれるのは私だけなんて、世の中って理不尽よね……。


私達が談笑をしていると、扉を開けてコリンが顔を出した。



「ジンベがエマ様を呼んでいます。会議室まで来てください」


「会議室?」



不思議に思いつつ、会議室へ向かうと、ジンベ、ホプキン、レイラ、シド、ジドウの五人が集まっていた。



「お呼びしてすみません。皆からエマ様に提案がありまして、聞いてほしいのです」


「このままゲスキワード男爵が静かに手を引くとは思えんのじゃ」


「ですから種族を代表する私達で話し合っていたの」



ホプキンとレイラが両手を広げて、私に説明する。


ジドウは椅子に座ったまま、頭の後ろで両手を組む。



「この村の守備を固めるため、俺達、鬼人族は村に留まることに決めたぜ。後から『暗闇の森』に住む仲間も呼んでくるつもりさ」


「竜人族も同じく」


「鬼人族と竜人族も一緒に村で暮らしてくれるの。それは頼もしいわ」



ジドウとシドの申し出を私は快く受け入れた。


ホプキンは長いアゴひげを、何度もなでる。



「隣村のドワーフ達も、ここへ呼び寄せたほうが良かろう。ゲスキワード男爵が八つ当たりで、違う村を攻めるかもしれんしのう」



え……ドワーフ族も引っ越ししてくるの?


一気に村の住人の数が増えるわね。


なんだか楽しくなりそう!


ゲスキワード男爵が他の村へ八つ当たり……あり得そうね……


私は椅子から立ち上がり、みんなを見る。



「それだったら、この近くの村々に声をかけてみない? 小さい村が狙われるなら、この村に集めちゃえばいいのよ」


「おお、それは良い提案じゃ。さっそく手分けして触回るぞい」



それぞれに椅子から立ち上がり、みんなは邸を出て村々へ散っていった。


それから十日後、近隣の村々から移住希望者がクリタ村に現れるようになった。


『暗闇の森』からエルフ族、竜人族、鬼人族、が移ってきた。


隣村のドワーフ族も村へとやってきた。


ホプキンやジンベを中心に村の拡張工事が急ピッチで行われている。


第三外壁の建設現場で、ホプキンは難しい表情をしている。



「壁に使用する石が足りん。このままでは外壁を完成させることができん」


「そうなの? 石がなければレンガで作ればいいじゃない」



前世の日本の記憶に、レンガで作った家やお城もあったもんね。


私の何気ないことばに、ホプキンは表情を輝かせる。



「その手があったわい。さすがはエマじゃ」



ホプキンの指示で、炉でレンガがどんどん焼かれていく。


そして、できあがったレンガを、作業員は壁として、次々と積み上げていく。


壁と同じく、村の道もレンガが敷き詰められ、徐々に整備されていった。


人口の増加により、食料不足になったので、畑を拡大してイモ類を植えることにした。


エラの魔法のおかげで、イモ類はドンドンと育っている。


小川にある魚の養殖場は、上流と下流にセキを作り、規模を三倍にした。


家畜の飼育場も、網の長さを伸ばして拡張する。


織布工場と薬剤工場も、増設をした。


街の拡張工事が始まって二カ月後、やっと村の拡張工事は完成した。


第三外壁なんて高さ四メートル、幅二メートルもあるし、もう立派な城塞都市だよね。


住民達もすっごく増えて、もう、これは村というより街だし。


邸の応接間でソファに座って寛いでいると、コリンが扉を開けて入ってきた。



「アルバン商会の方がエマ様に面会したいと来られています」


「え、アルバン商会が」



来客者が待っている客室へ向かうと、支店長のチャックが立っていた。



「あら、チャック、こんな所まで何しにきたの?」


「実は、お願いがありまして……このクリタの街に支店を開きたいのです」


「え? こんな村……街でいいの?」


「何を言ってるんですか、この街の規模はネージンの街よりも大きくなってるんですよ」



え……いつの間に、そこまで人が多くなったの?



「ネージンの街は税金も髙いし、あの強欲男爵が領主ですから、ネージンの街から、このクリタの街へ人が流れているんですよ」



そんな大事になってるなんて、全く知らなかったわ。


また私が、ゲスキワード男爵に恨まれるような気がするだけど……



「ですので、この街に支店を開きたいのです」


「これからもよろしくね、チャック。みんなで、いっしょにクリタの街を盛り上げていきましょう」



お父様から追放を言い渡された時は、辺境に飛ばされて不安だったけど……


御者が間違って、私を獣人の村に放り出していって……ジンベ、コリン、ゴンベ、ノラ、村のみんなと出会えた。



オリビアとエドモンドは私のために軍を離れて、この村に残ってくれて……


隣村のドワーフ、ホプキン、ネージンの街でリアムと出会って……


ドライアドのエラを森で助けて……


エルフ族のレイラ、竜人族のシド、鬼人族のジドウが来てくれて……


そしてアルバン商会のチャックが来てくれた。


みんな大事な私の友達……私の仲間だよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ