2.晴れて追放の身
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「さて、それでは呪われた地、旧レグ王国に行くとするか。」
晴れた追放の身となった俺は、呪われた地、旧レグ王国に向かおうと足を進めた。
魔の森とは人が住んでいる大陸の中心から少し西側にある巨大な森のことだ。
ちなみにティガール王国はこの大陸の中心から少し東側にあり、魔の森から東側のところを全て領地として持っている大国だ。
ここ、ティガール王国から魔の森まで1月程かかる。
確か魔の森の方面に村が1つあったはずだ。
今日はそこまで行こう。
日が暮れた少し後、俺は村に到着した。
「美味い!こんな美味いものを食ったのは久しぶりだ。」
そう言いながら夕食を食っていた。俺は一応王族だが王族の力を継承できなかったと知れてからはずっと不味いスープと硬いパンだけだったからな、本当に懐かしい味だ
「もう、旅人さん。そんなに美味しいものじゃないですよ、大袈裟です。」
この宿の看板娘がそう言っていた。別に大袈裟じゃないんだか。
「いや、本当なんだ。こんな美味しいものを食ったのは実に3年ぶりだからな。」
看板娘が驚いた。
「お客さん今までどこで生活してきたんですか、このくらいの料理ならどこの宿でも提供されますよ。」
看板娘がそう言った。ということは俺は今まで宿以下の扱いをされてきたのか、泣きなくなる。
そんな世間話をした後俺は部屋に行きぐっすり眠った。
翌日
「昨日は俺の話に付き合ってくれてありがとう、これはささやかな礼だ。受け取ってくれ。」
俺は感謝の気持ちにこの村に来るまでに狩った魔物の魔石を渡した。
看板娘はいらないと言っていたが、少しした後どうやら諦めたらしく受け取ってくれた。
「それじゃ、またな。」
「またきてくださいねー、その時はもっといい料理を振る舞いますので!」
「ああ、ありがとう。」
そう言い村をあとにした。
その少しあと、馬車を見つけそれに乗せてもらい5日早く魔の森に着いた。
そして15日かけて旧レグ王国の入口に到着する。
どうやらあの絵本の話は本当のようで、入り口は謎の黒い光に覆われていた。
「ふむ、本当に不思議だな、この壁は。そういえばこの壁は壊れるのかな。」
そう言いながら壁に触れた。その瞬間、黒い触手のようなものが俺の体に張り付いた。
「な、何だこれは、こんなの書いてなかったぞ!」
どんどん壁に呑まれてゆく。
「だ、誰か、助け、」
どぷん。
俺は黒い光に呑まれてしまった。
「う、うぅ、こ、ここは。う、何だこの匂いは。」
目が覚めると同時に俺は鼻を塞いだ。この空間には血生臭い匂いが充満していて、鼻を塞がないと鼻が壊れてしまうくらいだ。辺りを見渡すと空は赤く、家が倒れ木が燃えていた。まるで戦争のあとのように。
「何なんだここは、俺は確か、黒い光に呑み込まれたはずだが。まさか!ここがあの中なのか?まさかこの中は時が進んでないのか?」
疑問が解決した。どうやらここは黒い光の中、旧レグ王国のようだ。なぜ俺は入れたんだ?いや、こんなことを考えていても仕方ない、まぶはどうすればいいか考えるんだ。
おそらくだが出口は、ないだろうな。ならばレグ王国の王城に行ってみるしかないか。何かヒントがあるかも知れないしな。
そう考え、俺は足を進めた。レグ王国の中心、王城に向かって。
うぅ、やはり慣れないな。人の死んだ姿は。
俺は王国の街道を歩いていた、死体がたくさん転がった街道を。街道には逃げ遅れた子と母、老人、騎士など様々な人が死んでいた。
まさか成人してすぐにこんな光景を見るとは、俺はつくづく運が悪いな。
そう思いながらも足を進めた。
王城に着いた。案外大きく、その大きさはティガールの王城の3分の2ほどである。
門が壊れていたので、その隙間から入った。中も予想通り荒れていた。
「誰!」
背後から声がした。しまった、背後をとられた。
「どうしてここに入ってこられたの、あの障壁はレグリスしか受け付けないはずなのに。」
そう言っていた。
「あの、まずは話し合わないか?俺もなぜ入れたのか分からないんだ。」
両手を上げつつ、相手に話し合いの意思があるのかを聞いてみる。
「あ、た、確かにそうね。失礼したわ。」
剣を下ろしてくれた。どうやら警戒は解いてくれたようだ。俺は後ろを向いた。
「え?」
つい言葉が漏れてしまった。
だってそうだ、俺の前に立っていたのは白く長い髪をしてボロボロな騎士服を身に纏っていた少女なのだから。
「自己紹介が遅れたわね。私はリーハ、レグ王国の王レグリスの近衛、リーハよ。」
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