1.恵まれた弟、恵まれなかった兄
ミスがありましたら遠慮なく申してください
「レグルス・フォン・ティガール、貴様を国外追放とする。明日までに荷物をまとめ、我が王国から出ていけ!」
無駄に広い謁見の間にて俺は父上にそう言われた。本当なら反論したかった、だが俺は反論できない。なぜなら俺は王族の力を継承できなかったから。本来なら15歳になると継承できる王族の力が俺は継承できなかった。
「・・・分かりました。明日までにティガール王国から出ていきます。それと父う・・・陛下に一つだけ頼みがあります。」
俺の国外追放だけならどうでもよい、だが俺はこの国でただ一つだけ心配していることがあった。
「なんだ?」
「我が弟、レイトに無理をあまりさせないであげてください。」
俺の弟、レイトのことだった。
「レイトは私より力も知もあり、誰よりも優しいやつです。ですがその代償なのかあまり体が強くありません。もしレイトに私と同じことをさせようとするとおそらくレイトは幾度も体を壊します。」
レイトは俺が王族の力を継承できないと知った後でも唯一俺に優しくしてくれたやつだ。ならば最後にその恩義に報いろう。
「ふむ、まぁいいだろう。その頼み事、しかと受け取った。」
よかった、陛下は薄情な者だが約束事は絶対に守る者だ。これでレイトの安全は保証された。これで本当にこの国に未練は無くなった。
これからどうしよう?そういえばなにも考えてなかった。これから王立図書館にでも行ってみるか。
「それでは、失礼致しました。」
俺はそう言い謁見の間をあとにした。
俺が謁見の間をあとにした少し後、城下町におりていた。王立図書館に行きティガール王国の隣国の情報を得るために。だが俺は王立図書館に行き前に少し苦悩していた、国民からの視線がいついかなる時も離れないのである。どうやら俺が国外追放されるという情報がもう出回っているらしい。実に迷惑極まりない。
そんなことを思いながら歩いていると王立図書館に到着した。
図書館に入り地理についての場所に行こうとした時、ふとボロボロな一つの絵本を見つけた。
何だこれは、この図書館はちゃんと管理していないのか?
俺はそう思いながらこの絵本を管理人のところに届けようとしたが、
「その本を読んで、それは君にとって役に立つ者だ。」
素早く後ろを振り向く、だが誰もいない。
何だあれは、手放そうとした瞬間耳元で聞こえてきたあの声は。
俺は絵本を見た。
「読んで、か。」
仕方ない、読んでみるとしよう。
俺は図書館にある椅子に座って読んでみることにした。その絵本に書いてあったのはティガール王国の西の位置にある魔の森の呪われた地についての話だった。
俺はこれを見て驚いた。まさか俺と同様に王族の力を継承できなかった者がいたとは。
呪われた地に少し興味が湧いてきた。
どうせ追放される身だ、少しばかり寄り道してもいいだろう。
最初に行ってみる場所を呪われた地、旧レグ王国にした。
翌日、城門にて
「兄様、これを持っていってください。旅の道中で役立つはずです。」
レイトがそう言い、俺は何かを受け取った。どうやら魔物よけの匂い袋のようだ、独特の匂いが漂ってくる。
「ありがとうレイト、遠慮なく使わせてもらうよ。それじゃ、」
俺がそう言い城門を出ようとしたその時、後ろからレイトに抱きつかれた。
「僕は、兄様に、出ていって欲しく、ないのに、僕の、力だけじゃ、父上に、逆らうことが、できなくて、ごめんなさい、兄様、ごめんなさい。」
どうやらレイトは俺が思う以上に責任を感じていたらしい。
恵まれた弟、恵まれなかった兄なのに、本当にレイトはいい子だな、俺の心配をしてくれるなんて。
俺は後ろを向き、レイトを抱きしめた。
「大丈夫だ、レイトのせいじゃない。俺が悪いんだ、王族の力を継承できなかった俺が悪いんだ。だからレイト、責任を感じるな。」
「でも、でも、」
「そうだな、じゃあレイトが王になって俺の国外追放を取り消してくれ。そして俺を迎えにこい。それならいいだろ?約束だ。」
「ぐす、うん、約束。」
俺とレイトはそんな約束をした。
よし、これで大丈夫だろう。今度こそ出発するか。
俺は城門に振り向き歩き始めた。
そして大きな声でこう言った。
「またな。」
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