「商業区防衛戦・前編」その6
「ふむふむ・・・本来なら最低十二人、多くて二十四人で成り立つ計画を実質八人って馬鹿なの!?」
最初から分かっていた、私はほぼ除外すると戦えるのが実質八人しないないということを。そもそもエミちゃんは戦力にならないから実質七人かな?
それはもうキリちゃんがテーブルを叩くのも無理もない。
「大丈夫、六区画の中で二区は私とノア先輩がやるから、残りは貴女達が頑張ればいいわ」
「ぜ、ゼーナも一区画仕切れますので三区です!」
うぅ、やはりこうなると三人の負担が物凄く掛かってしまう、本来なら一人ずつ交代して休ませる的な考えをしたがったけど人数的に厳し過ぎる。
「長期にもなるかもしれないし・・・皆疲れちゃうし・・・だからと言って皆で前進したら虚を突かれて襲撃されちゃうし・・・う〜ん」
キリちゃんとエミちゃん、サナエちゃんにカイト君、ユーゴ君と一応私、ユイさんノア先輩しかいないから今回は死ぬ気でやるしか無いか。
どうしても厳しい状況にしかならないことを四苦八苦していると酒場のトビラが強く開いた・・・そこには何故かあの娘の姿が。
「ユカリちゃん、私も手伝わせて!!」
それは・・・先程病院に行かせた私の親友、アスカちゃんだった。
「な、何で帰ってきたのよ!?」
これにはサナエちゃんも驚愕して怒鳴り散らしてしまった。
「話は聴いたよ!!ユカリちゃんは一番大事な中心に立って状況確認をして欲しい人が必要なんだよね!?」
サナエのお怒りももろともせず私に意見を述べる。その瞳は私なんかよりも決意を固めた力強い眼光が私を捉えていた。
「止めた方が良いぜ?腐敗した腕に薬漬けの身体で戦場に出るなら爆弾抱えながら突っ込むのと同じだぜ?」
アスカちゃんの発言にユーゴ君は異議を唱えるもそれでもテコでも動かんと首を振る。
「私は足手纏いにも綺麗な世界だけを見るお嬢様じゃないよ、私は“ユカリちゃん”と一緒に窮地を乗り越えたい・・・皆さんが必死で作戦を企てているのに一人病室で死ぬかもしれない状況を指で加えてる程馬鹿じゃありません」
アスカちゃん、やっぱり凄い女の子だ、脳が壊れて片腕が使えなくても自信に満ち溢れたキラキラした瞳をしている。
この言葉にユーゴ君は溜息を吐きながら諦めてしまった。
「こりゃ駄目だ、ユカリよりも正義感が強いかもな」
「まるで私が無いみたいな言い方だね?」
だってそうだろ?とちょっと腹立つ言葉に優しく小突く、本来なら猫の手を借りたいが・・・やっぱり一緒に連れて行くのは・・・
「やだよ、ユカリちゃん・・・もう背中を向けて”ごめん“だなんて言わないでよ」
心が読まれたのかその言葉だけで一気に胸が締められた。本当はこんなはずじゃなかったと苦し紛れの言葉を言いたくなった。
でもアスカちゃんは私の手を取った。
「一緒に戦わせて、もう絶対逃さないから、可愛いユカリちゃんの笑顔を二度も踏み潰して逃げる私じゃないよ?」
アスカちゃんは真剣な表情でも最後は私に対して笑顔を見せて一緒に守って今度は一緒に冒険に行こうとなし崩し的に加入してしまった。




