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幻影道R 第九巻   作者: SAKI
22/83

「商業区防衛戦・中編」その11

「ユカリは本当にいい女で良かったぜ」


 あの後少しだけボコったけど皆には内緒にしてあげることにした、まさか私なんかに欲情するなんて男の子って不思議だ。


「ユーゴ君、本当にえっちなことしてないよね?」


 私は疑いの眼差しを向けると片目だけ一瞬泳いだ気がする。


「大丈夫生おっぱいやパンツの中は見てない――― いだだだだ!!?」


 全く油断も隙もないよ。


「私なんかに欲情しないで他の美人さん狙いなよ?」

 

 過激なことはしてないらしいから特別に許してあげた。取り敢えず中央まで戻ると皆は先に戻っていた。


「ふぇぇぇぇぇぇんユカリちゃん!」

 

 戻ったと思ったら今度はキリ&エミちゃんの泣きつかれてしまった。


「やっぱりアタシ達にはあんなの倒せないよ〜!!」


 キリ&エミちゃんはどうやら応戦はしたけど負けてしまったみたいだ。


「ったくだらしないわよ、女なら根性でしょ?」


「それは男だよ〜!!」


 えんえんと泣き喚きながら離れてくれない二人に私は頭を撫でた。


「うんうん、よく頑張ったね♪」


 二人は元々戦闘が得意ではない、キリちゃんは戦闘は出来るけど二人分を担うのは流石に厳しかった様子で二人の商業区が破壊されてしまった所で近くにいたゼーナちゃんが助太刀して何とか帰ってこれたらしい。


「主様・・・申し訳ありません、この罪は私の命で・・・!」


「待って待って!!?」


「ゼーナはこの命で罪を償いますのでお許しを!!」


「お願いだから話を聞いて!?」


 私は自害しようとするゼーナちゃんを全力で引き止めながら二人をよしよしと訳の分からない状況になってしまい皆呆れた顔をしていた。


☆★☆★ 数分後


「被害状況はこのくらいでしょうか?」


 何とか場が収まり疲労困憊となった私を差し置いて皆が起こった出来事意見交換をしている、私の分はユーゴ君がしてくれた。


「私達にしては良い方じゃない?」


 サナエちゃんは総括して一言述べる、私も被害状況を見ると二人が負けた所以外はそこまで破壊されてはいなかった。


「他の敵は?」


「皆さん爆発音や銃声に気付いて商業区全体で緊急事態と判断して騎士団や冒険者達が総出で防衛しているみたいです」


 遅いとサナエちゃんは舌打ちをするとノア先輩は少し嫌そうに肩を竦める。


「これで彼奴等のお陰で商業区は無事になる・・・突然現れた暴徒を鎮圧した自警団に賛美、そんな顛末になりそうね」


 解せない内容だけど鼻から私達は表に出す気は無い、元はといえば身内がバラした襲撃だ、発言をしたらそれこそ非難は免れないかもしれない。


「ちぇ、アタシ等がいたから最小限に済んだのに」


「なんか納得いかないー」


 皆が皆不満を吐くところで私は何か見逃している事に気付く。


「あれ、そう言えばユイさんのお兄ちゃんは?」


 私の一言にごく一部が反応する。


「そう言えば彼奴等出て来ないわね?」


 続けてノア先輩が口を開く。


「勝てないと分かったから頓挫したとか?」


「お兄ちゃんはそんな事で諦めないわよ、それにこいつらはただの捨て駒よ、全員気を緩めないで」


 ユイさんの発言にごく一部が帯を締め直したその時・・・全員の表情が固まった。


「何あれ?」


 光星からよく見えるサナエちゃんが所属する検問所の頂上に不気味な影が見える。


 それは生物とは形容し難くまるでロボットだ。


「ギャオオオオオオォォォォォン!!!」


 その影が遠吠えらしき電子音を放つと検問所が火の海となった。


 ロボットらしきそれは拳を放ち雷撃が穿ち検問所は一気に大爆散した。


「何よ・・・アイツ?」


 皆が騒然とする中私の胸が大きく弾む、共鳴に近い?


 私を・・・呼んでいる?

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