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幻影道R 第九巻   作者: SAKI
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「商業区防衛戦・中編」その5

 サナエ&カイト


「カイト!こっちお願い!」


「了解!!」


 恐るべき速さで敵を薙ぎ倒すと注文の如く疾風怒濤に声が掛かる。


「カイト〜!」


「はーい!!」


 ズバ!ベキ!!スパン!!


 カイトは二刀流でも一つはロングソードに対して片方が異様に長いロングソードを敵に応じて変えたり二刀流で戦ったり、大型には剣をくっつけて特大剣にもなる特注品。


 それを片手で振り回してるからヒョロっこいのに大したものよね。


「っ!!カイト!」


 私の方はと言うと、正直カイトが助太刀無しだと押されて負けそうになる。


「サナエちゃんはやっぱり後衛の方が良かったんじゃん!?」   


「仕方無いでしょ、前後決める時アンタが優柔不断だったからクジで決めたのよ?」


「サナエちゃんが珍しくやる気出してるから控えめにしてただけだよ、そもそもサナエちゃん戦闘不得手だって言ってたよね!?」


 明らかに状況が逆転してることをネチネチ言うもんだからウルサイとゴリ押しするとカイトは周囲の敵の首を全部切り落とした。


「やっぱり戦うのは苦手ね・・・」


「サナエちゃんが蛇腹剣なんて複雑怪奇な武器なんか持つからじゃない!?」


「か、カッコいいでしょ!?アンタの剣褒めたんだからアンタも褒めなさいよ〜!!」


 全くこんなカッコいい武器を馬鹿にするなんて男のクセにセンス無いのかしら?私は怒鳴り散らしてる間小物は全部押し退けたみたい。


「さてと・・・ここは終わり――― っ、カイト!?」


 カイトの背後から何かが此方に向かってるのに気付き声を掛けるも私と話していたせいもあって少し遅れて回避した。


 何かの正体は分からなかったが地面に着弾すると大きな炸裂音と閃光、そして爆風が私達を吹き飛ばす。


「ぐっ!?」


「ひゃあ!!」


 カイトは何とか受け身を取れたけど私はマズイことに吹き飛ばされて雑貨店付近にあるボロい工事開発の為に置かれた資材が私の腹を突き破って貫通してしまった。


「ちっ、こんなの!!」


 突き破ったのは木材だったから無理矢理引き抜く、激痛が伴うけどこんなのへっちゃらよ。


「おいおい、ロケット砲を食らっても二人共ピンピンしてるよ〜?」


 撃ったのは二人の女性みたい、姿を見ただけで分かる、貴族みたいな服装をしたこいつ等は水星出身者ね。


「女は度胸と根性よ、知らないの?」


 息は苦しいが減らず口くらいならまだまだ叩ける余裕はある。姉妹はそれを聞くなり小馬鹿にした態度をする。


「それは男よおばさん?」


「おばさんのクセに頭は良さそうね?」


 このクソガキは歳上に生意気言うなんて結構じゃない、嫌いじゃ無いけど殺そうとする時点で返り討ちしてやりたくなるじゃない。


「ふふ、若いくせにお姉さんにそんな態度言うなんてなってないわね!!」


 私は蛇腹剣を靡かせるように叩きつけると二人は逆向きに逃げて挟み打ちを仕掛けて来る、大体予想はついた。


「っ!?」


 片方のクソガキはツインテールで顔は少し痩せてるけど磨けば綺麗な宝石になりそう、一方は完全に薬依存症で口元が緩い、瞳が汚れて何かに溺れて堕落した・・・ところかしら?


 悪いけどクソガキにあっさり殺られる程弱くないわよ、私の本領発揮はここからなんだから。


「ヴェノムリフレクト:蛆乱れ」


 片方の薬中クソガキに毒魔法形成で塵サイズの蛆を目元に発射する、小さくて避けれないみたいね。


「隙見せてんじゃないわよ」


 視界が塞がれば私の高めの素材で作ってもらったトリッペンサンダルは足の指が出てるから遠慮無く毒を注入出来る。


「ベルベットベノム!!」   


 爪先が背中に突き刺さるとすぐに避けて片方のクソガキが遠ざけようと衝撃波を放つがカイトは私を庇い使い捨ての盾で守ってくれた。


「ちっ、おばさんのクセに!」


 誰がおばさんよ、こいつらには教育が行き届いていないみたいだから死ぬ前に教えてあげようなんて私って本当に優しいお姉さんよね!


「ダベってないでさっさと来なさいよ、死ぬ運命からは逃れられないんだから」


 片方はどうせ死ぬ、ジワジワと毒が回るが短期決戦だと勝つ確率が下がりそうね、私は盾を捨てたカイトと共に激戦を繰り広げる準備をすることになった。

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