相談話を続けよう
「で、幻灯、何するの」
「うん、それだ。秀真くんに、この間出勤するところつかまえて、タネ本頼んでたんだけっとも、どうなっているべか」
何の迷いもなくまっすぐに尋ねられて、鈴くんは戸惑った。
「ああ、んだのすか。そういえば、先生が、って言ってたっけ。どうだべ、頭の中ではどうなってるか知らねえけっとも、どうしたべか」
市内電車車掌の業務と帰宅後の休息、そのあいだに、まとまりのあるものを綴るのは難しい。
「詩やら童話どころか、ラジオの組み立ても終わらねえようだ」
押し入れの片隅にリンゴの箱が仕舞われていて、そこにはラジオに限らず、組み立て途中の玩具やら様々な部品が入っているのだった。ラジオは半田付けが先日終わり、そこで作業が止まった。
ここ数年、家と電車の往復である。アンテナとアースを設置したいのだが、休みになると、取り組むべき雑用も生じているものだし、体も休めたくなる。妻はそれを気遣う。
「ありゃあ、おらほのボロ蓄音機とラジオの面倒みてもらったのに、自宅はまだだったのすかや。悪りがしたなあ。
俺、いつも自分は書かねえで秀真くんの作品読み上げるだけの係だったべした。そうだ、それこそラジオまで出てよ」
言われてみればコバト、夕方のラジオ番組、『子供のゆうべ』に一度だけ、お話の朗読と、会員それぞれが作った歌とで出演したことがあった。鈴くんもいつもの上手なハーモニカを吹いたっけ。出演なので、当日どのようにラジオから聞こえたのかは知らない。




