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連帯
兄上の顔を見るなり房枝くん、ジャムの瓶をそっと見えなくした。
「うまそうな匂いしたから、来てみたど」
「んでは、またパン耳焼いた方がいいっちゃね。そうだ、なんもねえけど砂糖でもつけるかや」
鈴くんも、房枝くんとはかように息が合っているのだった。
「おう。松永くんのパンは、耳までうめえ」
上機嫌である。
けれど、匂いにつられて来てみたのはいいものの、目当ての顔が揃っていないではないか。そちらの鼻は利かなかった。
「あれ、今晩は秀真くんと辻さん、いねえの」
「明日、秀真さん休みだから、辻さん、連れ歩いているんだべ」
「んでは、仕方ねえなあ」




