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流れ流れる
実家の状況が良くなったとは聞かないから、尋常を出るまでは叔父さんの仕事先へついていくことになるのだろうが、それは仙台市内とは限らない。動物園開園のその時が、今のような仲間に囲まれた暮らしの期限かもしれないのだ。それに。
「今晩は叔父さん、いつもみてえにちょいちょい顔が赤くなってきたところで飲み代もそこそこに、ぺろっとおさらばして、帰るなり寝てしまうんだべな。おれにはその間、ひまができて都合がいいけっとも」
マサジ、水の入ったコップを片手に、なにかも一緒に飲み下し、
「たぶん、あの人で間違いねえと思うんだ」
辻氏も秀真くんも、黙って聞いていた。
辻氏たちの前に小英雄としてあらわれたマサジ。本屋の大将のもとで働くようになり、そうして一年を過ぎた頃、ようやく打ち明けた話があった。
出稼ぎに出てそろそろ四年にもなる姉がいるということ。




