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風琴ねずみと夜の電車 一  作者: 倉沢トモエ


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ストライキがあった

 思い出される。かんしゃく玉が鳴り、反対に共感すると表明する学生が押し寄せ、特高も来た。これが火事の年の一年前。

 孤立し困惑する小屋主を何となく捨てても置けない心にもなったのだが、代演を頼まれたよその楽士は様子を目の当たりにした途端、裏切りだと責められることをおそれ、引いてしまった。

 集まった仲間がデモ行進へ行くのを横目にすれば、自分はどうしたものかと迷う気持ちも出てきたが、こうも思った。

 まだ先が読めない不安はあるが、大都会で封切られたフィルムがいくぶん遅れてかかる当地では、どの小屋も当面トーキー一本での興行とはならないのではないだろうか。結局いずれにも立てなかった。

 そのようなことを経たせいもあり、あずかり知らぬ世の流れの中で、やいのやいのと敵味方を決められ騒がしくなるのもつまらない。ぶつからずに進めぬのなら、そろそろこの仕事も潮時ということだろうと、解雇通知が来る前に離れてしまった組なので、未練がどうということは無縁であったそうだ。

 楽士や弁士の仲間は散り散りに、弁士連中は引退したものの別のかたちで興行界に残る者もあれば、チンドン屋や役者へ転身したり、すっぱりと気持ちをあらため乗合自動車の運転士となったり、楽士仲間は辻氏のようにカフェーの楽団に流れたり、新天地を望む人々のご多分にもれず大陸へ渡る者もあった。


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