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風琴ねずみと夜の電車 一  作者: 倉沢トモエ


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東京音頭

 たとえば同じく一昨年大流行した『東京音頭』。

 ラジオ屋も時計屋も呼び込みのため、日に何度も蓄音機で流していたのだが、そこに「面白おもせぐねえ」と石を投げ込んだ。

 幸いけが人はなかった。叔父さんだけではなく、尋常の校長先生や綴り方の先生まで対応に追われた。

 当人は転校して間もない新参者扱いだったはずである。活動小屋での例の件も単独の犯行だったくらいだ。

 それがこの一件で名前がおおいに売れ、一目置く取り巻きが一気に増えたという。

「そうしてマサジくんは、どんどん出世していったんだが、僕らはと言えば、冴えないもんだなあ」

 辻氏が情けない声を出す。

「いや、おれは冴えねくとも、情けなくはねえな」

「そうかね」

 マサジはこっちだ、こっちだ、と、二人を連れてゆこうとする。

 しばし小英雄についていこう。


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