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風琴ねずみと夜の電車 一  作者: 倉沢トモエ


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たたり

 いや、それにしても、ならばなぜ、什器ほかすべてを替えぬ? コネコ時代からのなじみ客は、どうにも店が改められた印象をもてずに居る。まあまあそれより先は控えていただこう、そこが未練というものだよ。カフェー・コネコのたたりとも呼べるものである。気を利かせた別のなじみ客が片目を閉じて耳打ちした。

 さてこのカフェー・コネコ。いや、カフェー・プティ・シャ・ノワのマッチ箱はよく知られている。

赤、青、黒の三色刷りで、くわえ煙草に断髪のモダンガール。【Café putit chat noir】の飾り文字。そのモダンガールの影が黒猫となっている。

「いつもの『化け猫』だべした」

 口の悪い者は、みなそう呼ぶ。

「そうかねえ」

 にやりと笑った。

「よく見給え」

 窓から差し込む西日が移ろってゆくこの時間だが、カフェーの店内のこと。女給たちを美女に化かすために、もとよりさほど明るいわけでもない。

「あっ」

 わかった時にはぎょっとした。

 マッチ箱の飾り文字は、よく見ればこう読めた。

【Café BAKENEKO】

「カフェー・バケネコ……」

「ははは、マダムが見たら本性を見破られご立腹だぜ。

 さらに、見給え」

 その手からマッチ箱を、今度はさらう。

「さあ」

 箱を開ける。

 内箱は真っ黒で赤い頭のマッチ棒が一本きり、あるのだった。

「さて」

 一度くるりと返し閉じて、開ける。

 すると。

 マッチ棒が消失しているではないか。

「あら、なんだべ」

 手品の種であったか。

「どこさあったの、そんないいもの」

「なあに、先ほど電車の中で隣り合った紳士がね。

 散々披露して、お坊ちゃんに飽きられてしまったから、と、僕に賜ったのさ」

「んだのすか」


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