2、試験勉強-①
ミスなどがあったら遠慮なく誤字申請してくださいまし
「というわけでどうしてもアドミラルウェーク魔法学園に入らないとまずいのよ」
次の日、エリックの寮を訪ねて昨日あったことを伝えるとエリックは真面目な顔で、
「いやお前、そりゃちょっと無理があるだろ」
「こちとら死活問題なんだ。しょうがないだろ」
「そんなん言ったって、お前、この地方の魔法学園でさえ実力不足で退学になるんだぞ?そんなんで王立なんていけんのか?」
「安心しろ。この悲劇のヒーロー、ジル・ヴィオローネは過去を気にせず未来だけを見つめて生きていく」
「なんかかっこいいこと言ってるような風だけど言ってることただのニートと同じじゃねえか」
って、俺はこんなことを話しにここにきたんじゃない!俺はただ王立アドミラルウェーク魔法学園の情報を聞きにきたんだ。こんなコントやるつもりできたんじゃないんだよう。
「そうだそうだ。今日はこんな雑談しにきたんじゃないんだ。エリックに王立アドミラルウェーク魔法学園の情報を聞きにきたんだよ」
「俺はそんなん知らんぞ」
「それは想定済みさ。本命はエリックから聞くことじゃなくてコンピューターを借りることだからね」
僕は胸を張りながらドヤっといった感じで言った。
「・・・いやお前なんなんだよ?」
「悲劇のヒーロー、ジル・ヴィオローネですけど?」
「で、話が逸れたけど本題はなんだっけ?」
「ああそうだ。簡単にいうと『コンピューターを貸しやがれこのポンコツ脳筋豚ゴリラが!』って奴だ」
(一瞬の沈黙)
「・・・・・・・・お・ま・え・死・に・た・い・の・?」
こっ、殺される!この僕の本能がこいつは危険だと言っている!あいつはやると言ったら何がなんでもやる奴だ。僕を『殺す』と言ったら絶対殺しにくるに違いない!
「じょ、じょーだんですよー。やだなーエリックの旦那本気にしちゃってー。はっはっはっはっはー(汗)」
「で、話を戻すが、なんなら入試対策ブック的なやつ俺が買ってやってもいいぞ?」
「マジかっ?お前神だろ?」
「ははははは、もっと讃えなさい」
「神は神でも貧乏神だけどな!はっはっはっはっはー」
「・・・・・・・おいそれどういうことだ?」
「だって貧乏人の神やん。つまり貧乏神。ヒーっヒッヒッヒ、おかしい、笑いが止まんない。クックックックック、お腹痛い」
その時エリックの頭で何かが切れた音がした。
「ーー氷の矢嵐」
「ちょいまっ、じょーだんだって、ぎゃー!?」
○△□◇
ということがあって(全然平和じゃないけど)エリックが入試対策ブック?を買ってくれた。
「お兄ちゃん何読んでるのー?」
この声は我が愛しのエリナだ。
「入試対策の本」
「エリナにも見せてー」
ーーーー3.2秒後
「全っ然わかんなーい」
でしょうね。僕もよくわかんないもん。
「まあ読んでみよう。ほうほう、どうやら王立アドミラルウェーク魔法学園の入学試験は魔術合戦といわれる競技らしいぞ」
「魔術合戦ってなにー?」
「え?えーっと、それはねえ。・・・あった。魔法を使ったサバイバルゲームみたいなもののことだね」
するとエリナは嬉しそうに
「へー、楽しそうだね。エリナも大きくなったらやりたいなー」
「任せとけ、お兄ちゃんが教えてやるよ」
○△□◇
そして僕はまたあの貸切状態の草原へやってくる。
「違う属性魔法の融合はできるのかなぁ?できたらかなり強いんだけど」
試しに草属性、『花吹雪』と火属性、『火球』を融合しようとする。
「はっ!あぁ、失敗か」
しかし結果は虚しく出たのは『花吹雪』のみ。それでもほぼ無限大に融合されて、十分通用しそうなのだが、
「でもやっぱり新技作りたいよなぁ」
これもあの入試対策ブックで知ったことなのだが、王立アドミラルウェーク魔法学園を受験する時にオリジナル魔法を使えると大きなアドバンテージになるらしい。だから俺はなんとしてでも融合魔法を開発したいところだ。
ーーーー54時間後
「『切り刻んで焼く花びら』。やったあ、ついにできたぁ!」
やった、六百八十三万六千八百二十五回目にしてついに完成した。僕だけのオリジナル魔法が。
練習しているうちに技名は『切り刻んで焼く花びら』に決めた。この魔法はその名の通り『火球』と『花吹雪』の融合魔法。つまり『花吹雪』の花びらに火がついて飛んでいく。当たったら最後、花びらに切り刻まれてそのまま焼かれると言う魔法だ。おお怖っ。
それにしてもいいことはいつもここで起こる。僕はこの草原に慕われているのかな?やっぱ普段の行いがいいと違いますねえ。
この草原、さっきの『切り刻んで焼く花びら』で完全に草一本ない更地に変わってるけど。
○△□◇
「エリナ!ついにやったぞ」
「どうしたの?ついに強盗でもやっちゃったの?」
・・・・・・なに考えてんだこの子は?エリナに突っ込み入れられたのいつぶりだろう。
「違うよ。オリジナル魔法がついに完成したんだ」
「えっ?それって凄くない?あれって開発すんのに二年はかかるんじゃないの?」
「そうだよ。ついにできたんだ。54時間不眠不休で頑張ってよかったよ」
「ああ呆れた。そんなことやってると本当に死んじゃうよ。でもどうやって作ったの?」
エリナが訪ねてくる。
「『火球』と『花吹雪』を組み合わせたんだ。名付けて『切り刻んで焼く花びら』。当たったら最後、花びらに切り刻まれてそのまま焼かれると言う魔法だよ」
「おおー。お兄ちゃんすごーい」
「もっと言って」
「天才、神、万能・・・」
幸せとはこんなことを言うんだろうなぁ。
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