11、救出劇
第十話までかなりに修正の加えました。特に入学試験の三話は大きく変わっているので読んでくださると嬉しいです。
「ふんっ、遅いのはお主の方ではないか」
僕を救いに来たのはなんとアドミラルウェーク魔法学園学園長、プロキオン・ヴァイトメア、その人だった。
後で聞いた話だが、ベリアスが彼にこののっぴきならない事態を伝えてくれたらしい。
「どうやら呪術とやらは魔法陣に頼りがちらしいのう。なんせ二十個以上も展開しているんだからな」
「な、なぜそれを?」
魔法陣?なんのことだろう?
「お主がこの廃屋を魔法陣で囲っていることぐらいとっくにお見通しじゃ。ええと、確か『動体視力及び速力低下』だったかのう?」
「、、、、、!!』
青ざめる自称魔人。しかしプロキオンさんは追撃の手を緩めない。
「後ついでに言っとくがさっきの『ですおーん』とかいうのにも速度低下の効果があるのは知ってるぞ。ダメージはただの『副作用』じゃろう。違うか?」
『副作用』のある補正魔法。シリウスのと同じタイプだ。だからこそプロキオンさんも見抜けたのだろう。
「それにわしにそういうタイプの補正魔法は一切効かん。わしは自慢じゃないが『術式転換』で術式の効果を変えられるのでな。お主の魔法陣も術式を裏返して『動体視力及び速力上昇』に「書き換え」させてもらったぞ」
「、、、、、!!」
もはや何も言えなくなる自称魔人。
そこにプロキオンさんのダメ押しが入る。
「それに副作用の威力も弱すぎる。全然騙せるレベルにない。ジルの『火球』の百分の一も出てないぞ」
「ぐ、この人間風情がぁ〜!!」
言われっぱなしでは顔が立たないのか自称魔人が攻撃の態勢に入る。しかし魔法陣の書き換えで速力を上げているプロキオンさんには敵わずーー
「『鎖の檻』!」
瞬間、プロキオンさんから大量の鎖が伸びて、一瞬で自称魔人を囲む。結局あそこまで迫力のあった自称魔人は何もできずに捕まってしまった。
「それではジル。こいつには色々と聞きたいことがあるから一足先に帰っているよ。じゃあまた後で」
そのままプロキオンさんは帰ってしまった。
あとは僕だけが残された。
○△□◇
「ええーーーーー!?い、今なんて!?」」
あのあと僕はエリナを助け出して無事二人で寮に帰り、くつろいでいるところに少しだけ話があるから、とプロキオンさんに呼び出されたのだが、そこで僕は超ぶっ飛んだことを彼からを聞くことになる。
「ああ、もっかい言うが、今回みたいなことがまた起きないように君の妹をこの学校の小学部に入れないかということなんじゃ。学校にいれば一人で留守番するよりは安全じゃろうと思うが、どうかな?」
「で、でもエリナは魔法なんてできません!」
「安心しろ。この前あったときにこっそり魔力量を見させてもらったが、十分通用するレベルにあったぞ」
「勝手に妹のプライバシーを覗かないでください」
「すまんすまん。で、どうするんじゃ?」
うーん。どうしよう。エリナは魔法より家事とかそっち方面に興味があるからなぁ。困った困った。
「ついでに家事魔法とかも覚えられるし、仮入学の形でも構わんよ」
「、、、、、、、もしかして心読みました?」
「もちろん。さっきの余った魔法陣を使わせてもらった。我が『術式転換』にはこういう使い方もあるのじゃ」
「誇るな!そんなことに魔法陣を使うんじゃない!」
僕が言うと、彼は『オホン』と咳払いをして言った。
「ついでに奨学金は妹さんの分も支給されるぞい」
何?奨学金だとっ!?
くっ!背に腹は変えられん!
すまんエリナ!!
「必ずや貴方様の希望に合った返答ができるようこのジル・ヴィオローネ、誠心誠意努力いたします」
「お前は妹を売るのか、、、、」
○△□◇
でもなんで魔人なんかがわざわざこの毎日を奨学金で食いつないでいるただの学生である僕の妹を誘拐したんだろうか?第一僕がその立場だったら表立った行動はしないで隠れていた方が数倍賢い判断だと思う。
でも今はーー
「結局みんな分からずじまいかぁ〜」
しかしこの時ジルは知らなかった。この事件こそが5700年前の因縁を再び浮かび上がらせるものだとは。
彼は知らなかった。
評価が欲しい。




