三話 兄弟との交流
「ああー!」
僕は思わず声をあげて頭を抱えた。まだ子供なので難しい言葉を読めないことに気付いたのだ。
(なんでそんな大切な事を忘れていたんだ僕は)
本が読めないことに落ち込んでいるとトントンと扉を叩かれる。
「お兄ちゃま、あそびましょー」
そう言ってアルが部屋の中に入ってきた。まだ4歳だ正直可愛くてしかたがない。前世の弟も可愛かったがアルとシェリー、ノワはほんとに可愛い。癒しだわー。お兄ちゃんはアルたちが世界一で一番可愛いと思ってます。
「じゃあ、お兄ちゃまが絵本を読んであげるよ」
「やったぁー!!」
えほん、えほん、とキラキラとした目で待ちきれない様子のアルを横目に部屋にある本棚から絵本を一つ取り出す。そしてアルを膝に乗せ絵本を読み始める。なんで部屋に絵本があるかって?弟や妹のために準備をすることは兄として当然の役目だよ(キリッ)。ちなみにメイドたちは絵本を読んでいる僕たちを微笑まそうに見ている。
◇
コクりと舟を漕いでいるアルを見て自分の部屋に帰るように促すと…。
「いやっ、今日はお兄ちゃまと一緒にねるう!」
この様子だと帰すのは無理だな。まだ一人で寝るのが寂しいのだろう。本当は母さんたちが一緒に寝てあげればいいんだけど。父さんの仕事を手伝っていて忙しそうだし。
「う~ん、まあいっか。今日は一緒に寝よアル」
「うん!」
とりあえず、僕の専属メイドのアンナに伝えておくか。
「アンナさん、今日はアルと一緒に寝ます」
「かしこまりました」
寝巻きに着替えベットに入るとアルはすぐに寝てしまった。かくいう僕もすぐに睡魔が襲ってきた。
◇
あれからアルは一週間に一度は僕の部屋で寝るようになった。アルだけじゃなくシェリーやノワもたまに僕の部屋に来て寝る。まだ子供だから寂しいのだろう。お母さんたちの仕事が安定するまで好きにさせることにした。でも一つの問題があって暇なときは日中でも僕から離れないでくっついている。
まぁそんなことは置いといて、あの本は兄さんに読んでもらうことにした。兄さんは正真正銘の天才だ。僕みたいな紛い物とは才能が違う。魔法はオールラウンダー=全魔法適性ありな上にその全てで強力な魔法を使え、武芸のセンスも飛び抜けているし、頭も良いし、兄さんにできないものはないと感じられるくらい完璧な人だ。その上、顔も良く優しい尊敬できる兄さんだ。才能溢れる兄さんだけど体が弱くてしょっちゅう寝込んでる。そんな兄さんの唯一の欠点は感情に乏しいというか常にポーカーフェイスであるところかな、これもある面からみたら長所になるかもしれないが…。あっ、兄さんは父さんに似て金髪碧眼で年は9つだよ。
ということで兄さんの部屋に向かっていると赤い髪をした女の子、いやルナ姉さんに遭遇した。
「おっ、フェイだ。やっと見つけた」
「お、おはよう。ルナ姉どうしたの」
「なにがルナ姉だ。お姉ちゃんだろ」
「や、やめてよ、姉さん」
頭をぐりぐりしてくる姉さんに文句を言うと「ああん」と言って睨んできた。怖い。今でさえこんなに怖いのに大人になったらどうなるんだろ。考えるだけで寒気がする。
「おい、フェイ!今から剣の稽古をやりに行くぞ」
「あははー。実は今から予定があって」
「そうか。なら仕方がない。でも今度一緒に剣の鍛練しような」
姉さんは怖いけど悪い子ではない。ただ脳筋なだけだ。姉さんは武芸全般できるが武器を使わず自分の肉体で戦うの得意である。それに剣の稽古に誘ってくるのは僕にカッコいい所を見せたいからみたい。ルナ姉にとって初めての弟でよく懐いてくる弟はよほど可愛かったのだろう。つい最近までは何をするにもべたべたとくっついていたが何か心情の変化でもあったのかそういうことはなくなった。代わりに剣の稽古に誘ってくるようになったが…。ルナ姉はお姉ちゃんと呼んで欲しいみたいだけど記憶が戻った今は恥ずかしくお姉ちゃんとは呼べない。
その後兄さんの部屋に行き、本を読んでもらった。
おかしい所は後々直します。